scene02:総司令代行
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
不意に遠くから近付いてくる人の気配を感じて、カレンは目が覚めた。紅蓮の脚にもたれる様にして呆然としている内にいつの間にか眠っていたらしい。空をボンヤリと眺めれば、此処に来た時は登り始めたばかりだった日がいつの間にか傾き出している。
(そう言えば、昨日の晩はトウキョウ租界で戦ってたから一睡もしていなかったんだっけ)
ボンヤリとそんな事に思いを巡らしている間も物音はドンドンと此方に近付いて来ている。
振り返って確認しなくてもわかる、ブリタニア軍だろう。どうやらスザクの奴は見逃すつもりなど無かったようだ。
我が身に迫る危機を他人事の様に考えながら特に身構えるでも逃げるでもなくただ呆然としていると、ガサガサと茂みをかき分ける音は遂にすぐ近くまで来た。
「殺したければ殺せ……煮るなり焼くなり、好きにすれば?」
カレンは背後に来た人間へ向かって自暴自棄にそう吐き捨てる。もうどうでもよかった。今はそんな事に興味も関心もなかった。
「今のところお前を殺す理由なんて全く無いな」
「……?」
背後の人間に全く興味はなかったのだが、聞き覚えのある声にカレンはノロノロと振り返る。
「それに『どうしても死にたいなら私を殺してからにして!!』とは言われているが、今のところ俺自身も死ぬつもりはないな」
「…………」
振り返ると予想通りの見慣れた人物がいた。
「だってお前が『絶対に生きててよかったって思わせてくれる』らしいからね」
そう言うと彼は此方に向かって優しく微笑みかけてくれた。
さすがに彼が誰なのかは認識できたが、彼に対して何等かの反応を示せる様な精神状態ではなかった。
彼は此方の反応に気付いているのか、いないのか、或いは気にもならないのか、近付いて来るとすぐ側に腰を下ろした。
「何があったのかはわからないけど、ともかくカレンが無事で本当によかった」
そう言った信也に優しく頭を撫でられた。その瞬間、色々な感情がこみ上げて来て決壊した。
感情と一緒に涙腺も決壊した為、此方を見て吃驚している信也に抱きついてわんわん泣いた。
「ッ!? ど、どうした?」
彼は目を白黒させて驚いているだろうとは思ったが、一度決壊して噴き出した感情を抑える事ができなかった。
暫くそんな事を続けていると、ちょっと落ち着いてきた。
此方の感情が落ち着くのを待っていてくれたのだろう。彼はもう一度頭を撫でてくれた後にそっと身体を離してから目を合わせながら尋ねてきた。
「一体、何があったんだ?」
「実は――」
尋ねられるままに答えようと思った瞬間、
「ッ!?」
思い出した。彼はゼロの正体を知っていた。
「?」
そう思った瞬間、今の今まで抱きついていた彼の胸をかなり強く押して突き飛ばした。
「イッツ!?」
怪我をしている彼が思いの外吹っ飛んだ事に驚いたが、今は彼への気遣いよりも感情が勝った。
起き上がった彼はやれやれと言った感じでぼやく。
「泣きながら抱き着いてきたと思ったら今度は怒って突き飛ばす。全く忙しい女だな」
「アンタは知ってて何も教えなかったものね!!」
信也は何の話だか全くわかっていないらしく怪訝な表情を浮かべているが、今はそれさえも無性に腹が立った。
「ゼロの正体よ!!」
「はっ? 何を今更……」
「『い・ま・さ・ら』ですってぇ?!」
わざわざ地雷を踏んで感情を逆撫でする彼に怒りのベクトルが更に跳ね上がり立ち上がり彼の前に仁王立ちする。
「アンタがゼロの正体を教えてくれなかったせいで何も知らずに、ゼロ、ゼロ、言って御主人様に尻尾を振る犬っころみたいにして!! こんな島まであんな奴を助けに来たのよ!! いいように利用されてるとも知らずにね!!」
「……」
「アイツなんて言ったと思う? 『世界を手に入れる男だ』ですって! 私の事も利用していただけだったのよ!!」
「……」
「それなのに何にも知らずにゼロ、ゼロ、ゼロって慕って……」
カレンはそこでキッと信也を睨み付ける。
「『ゼロの正体を知っていた』アンタにとってはそんな私はさぞかし滑稽で……、間抜けで……、見ていて傑作だったでしょうねぇ!!」
「…………」
「バカにするのもいい加減にしろ!!」
「…………」
彼は泣きながら叫ぶ此方の反応等無視する様に、何か考える様な素振りをした後に、ちょっとニヤケながら答えを返してきた。
「結論から言えば確かに傑作だったな」
「アンタねぇ!!」
頭の中で何かがキレて思わず胸ぐらを掴んだが、彼はいたって平常通りである。
「だって『ルルーシュと言う人間を認めずにゼロと言う存在を慕う』なんて、正体を知っている俺からすれば『仮面の脱着だけで態度がコロッと変わるものだから』笑いを堪えるのに必死だったよ」
「ナッ!?」
「だいたい気付かないカレンだって悪い」
「ナッ!? 私のせいにするつもり?!」
「考えてみろよ。いくら血迷っていたとは言え“ソフィの一件”で真田信也である俺が学園の友人であるルルーシュ・ランペルージの手を借りたりしないだろ?」
「ソフィの一件? 一体なんだって言うのよ!!」
「あの時、誰が周りにいたか覚えてる?」
「? ……あっ」
一瞬何を言ったのかわからなかったが、誘導されてかなり不自然だった事に気付いた。
「な?」
「…………確かに」
思い返せばあの件以外にも色々と違和感を感じてはいた。信也に少し誘導されただけで脳内でバラバラだったパズルのピースがパチパチとはまっていく様にして違和感の正体に気付いた。答えを言われてみれば到って簡単な事だったが身近すぎて逆に気付かなかった。
急速に頭から熱が下がり、信也を突き放すと俯いてムクレながら背を向けて呟いた。
「だいたい、なんでブリタニア人のアイツがゼロなのよ」
「それは――」
「スザクはナナリーがどうとか、ユーフェミアがどうとか、挙げ句の果てには“ぎあす”がどうとか意味不明な事を言い出すし」
「へぇ?! どうしてスザクがギアスの事を知ってるんだ?」
「えっ!? アンタ、知ってるの?」
驚いて振り返り射抜く様な視線を向けると、何か考えている風だった信也だが罰が悪そうにしながら視線を反らした。
だが、絶ッ対に逃がさない。
両頬に手で押さえて正面を向かせて強制的にガッツリと視線を合わせた。カレンの経験上、信也にはこれが一番効果がある。
「う~~ん……まあ、いいか」
「?」
信也は少し悩んで考える風だったが、決心したのか泳がせていた視線をがっつりと向けてきた。
「そこまで知られたらアイツもカレンには隠す意味がない。と考えるだろうしなぁ」
「それって……」
「ちょっと話が長くなるんだが――」
そこから彼は『彼の知るルルーシュ』について語りだした。名前、出生、経歴、反逆の理由とゼロとなった事実、ルルーシュが持つ王の力、彼の庇護者である桐原がどうしてゼロをブリタニアの敵と見定めたのか、そして、それらの事実を彼がどうして知り、どう言う経緯で共闘関係を築いたのか。
(そう言えば、昨日の晩はトウキョウ租界で戦ってたから一睡もしていなかったんだっけ)
ボンヤリとそんな事に思いを巡らしている間も物音はドンドンと此方に近付いて来ている。
振り返って確認しなくてもわかる、ブリタニア軍だろう。どうやらスザクの奴は見逃すつもりなど無かったようだ。
我が身に迫る危機を他人事の様に考えながら特に身構えるでも逃げるでもなくただ呆然としていると、ガサガサと茂みをかき分ける音は遂にすぐ近くまで来た。
「殺したければ殺せ……煮るなり焼くなり、好きにすれば?」
カレンは背後に来た人間へ向かって自暴自棄にそう吐き捨てる。もうどうでもよかった。今はそんな事に興味も関心もなかった。
「今のところお前を殺す理由なんて全く無いな」
「……?」
背後の人間に全く興味はなかったのだが、聞き覚えのある声にカレンはノロノロと振り返る。
「それに『どうしても死にたいなら私を殺してからにして!!』とは言われているが、今のところ俺自身も死ぬつもりはないな」
「…………」
振り返ると予想通りの見慣れた人物がいた。
「だってお前が『絶対に生きててよかったって思わせてくれる』らしいからね」
そう言うと彼は此方に向かって優しく微笑みかけてくれた。
さすがに彼が誰なのかは認識できたが、彼に対して何等かの反応を示せる様な精神状態ではなかった。
彼は此方の反応に気付いているのか、いないのか、或いは気にもならないのか、近付いて来るとすぐ側に腰を下ろした。
「何があったのかはわからないけど、ともかくカレンが無事で本当によかった」
そう言った信也に優しく頭を撫でられた。その瞬間、色々な感情がこみ上げて来て決壊した。
感情と一緒に涙腺も決壊した為、此方を見て吃驚している信也に抱きついてわんわん泣いた。
「ッ!? ど、どうした?」
彼は目を白黒させて驚いているだろうとは思ったが、一度決壊して噴き出した感情を抑える事ができなかった。
暫くそんな事を続けていると、ちょっと落ち着いてきた。
此方の感情が落ち着くのを待っていてくれたのだろう。彼はもう一度頭を撫でてくれた後にそっと身体を離してから目を合わせながら尋ねてきた。
「一体、何があったんだ?」
「実は――」
尋ねられるままに答えようと思った瞬間、
「ッ!?」
思い出した。彼はゼロの正体を知っていた。
「?」
そう思った瞬間、今の今まで抱きついていた彼の胸をかなり強く押して突き飛ばした。
「イッツ!?」
怪我をしている彼が思いの外吹っ飛んだ事に驚いたが、今は彼への気遣いよりも感情が勝った。
起き上がった彼はやれやれと言った感じでぼやく。
「泣きながら抱き着いてきたと思ったら今度は怒って突き飛ばす。全く忙しい女だな」
「アンタは知ってて何も教えなかったものね!!」
信也は何の話だか全くわかっていないらしく怪訝な表情を浮かべているが、今はそれさえも無性に腹が立った。
「ゼロの正体よ!!」
「はっ? 何を今更……」
「『い・ま・さ・ら』ですってぇ?!」
わざわざ地雷を踏んで感情を逆撫でする彼に怒りのベクトルが更に跳ね上がり立ち上がり彼の前に仁王立ちする。
「アンタがゼロの正体を教えてくれなかったせいで何も知らずに、ゼロ、ゼロ、言って御主人様に尻尾を振る犬っころみたいにして!! こんな島まであんな奴を助けに来たのよ!! いいように利用されてるとも知らずにね!!」
「……」
「アイツなんて言ったと思う? 『世界を手に入れる男だ』ですって! 私の事も利用していただけだったのよ!!」
「……」
「それなのに何にも知らずにゼロ、ゼロ、ゼロって慕って……」
カレンはそこでキッと信也を睨み付ける。
「『ゼロの正体を知っていた』アンタにとってはそんな私はさぞかし滑稽で……、間抜けで……、見ていて傑作だったでしょうねぇ!!」
「…………」
「バカにするのもいい加減にしろ!!」
「…………」
彼は泣きながら叫ぶ此方の反応等無視する様に、何か考える様な素振りをした後に、ちょっとニヤケながら答えを返してきた。
「結論から言えば確かに傑作だったな」
「アンタねぇ!!」
頭の中で何かがキレて思わず胸ぐらを掴んだが、彼はいたって平常通りである。
「だって『ルルーシュと言う人間を認めずにゼロと言う存在を慕う』なんて、正体を知っている俺からすれば『仮面の脱着だけで態度がコロッと変わるものだから』笑いを堪えるのに必死だったよ」
「ナッ!?」
「だいたい気付かないカレンだって悪い」
「ナッ!? 私のせいにするつもり?!」
「考えてみろよ。いくら血迷っていたとは言え“ソフィの一件”で真田信也である俺が学園の友人であるルルーシュ・ランペルージの手を借りたりしないだろ?」
「ソフィの一件? 一体なんだって言うのよ!!」
「あの時、誰が周りにいたか覚えてる?」
「? ……あっ」
一瞬何を言ったのかわからなかったが、誘導されてかなり不自然だった事に気付いた。
「な?」
「…………確かに」
思い返せばあの件以外にも色々と違和感を感じてはいた。信也に少し誘導されただけで脳内でバラバラだったパズルのピースがパチパチとはまっていく様にして違和感の正体に気付いた。答えを言われてみれば到って簡単な事だったが身近すぎて逆に気付かなかった。
急速に頭から熱が下がり、信也を突き放すと俯いてムクレながら背を向けて呟いた。
「だいたい、なんでブリタニア人のアイツがゼロなのよ」
「それは――」
「スザクはナナリーがどうとか、ユーフェミアがどうとか、挙げ句の果てには“ぎあす”がどうとか意味不明な事を言い出すし」
「へぇ?! どうしてスザクがギアスの事を知ってるんだ?」
「えっ!? アンタ、知ってるの?」
驚いて振り返り射抜く様な視線を向けると、何か考えている風だった信也だが罰が悪そうにしながら視線を反らした。
だが、絶ッ対に逃がさない。
両頬に手で押さえて正面を向かせて強制的にガッツリと視線を合わせた。カレンの経験上、信也にはこれが一番効果がある。
「う~~ん……まあ、いいか」
「?」
信也は少し悩んで考える風だったが、決心したのか泳がせていた視線をがっつりと向けてきた。
「そこまで知られたらアイツもカレンには隠す意味がない。と考えるだろうしなぁ」
「それって……」
「ちょっと話が長くなるんだが――」
そこから彼は『彼の知るルルーシュ』について語りだした。名前、出生、経歴、反逆の理由とゼロとなった事実、ルルーシュが持つ王の力、彼の庇護者である桐原がどうしてゼロをブリタニアの敵と見定めたのか、そして、それらの事実を彼がどうして知り、どう言う経緯で共闘関係を築いたのか。