「うぅ～～……それだけは……」
「起きろ、カレン」
「あっああーー……目玉焼きに……それだけは！！」
「フヌッ！！」
「ハグッ！？」
　C.C.の拳で、カレンは現実へと引き戻された。
「イッツゥー！　殴る事ないでしょ！！」
「お前こそ、うなされる程の事じゃないだろ？」
「いや、あれはゼロの正体並にショックだった……」
　あと何故、夢の中で信也に食べる事を強要されたのか凄い疑問である。
「この工場の壁を破ればすぐ突入だと言うのに、居眠りができるとはいい度胸だ。全員所定の位置についたぞ」
「あとは時間を待つだけかぁ」
「今度はメープル男の情報が正確だといいがなぁ」
「卜部ちゃ〜ん、頼んますよぉ〜。日本の将来かかってんだからさぁ～」
　カレンの口からは深い深いため息がこぼれ、虚空を眺める。
「こんな事しててゼロを取り戻せるの？」
「資材を強奪し、資金を集める。何をするにも必要だろ？」
「そりゃあそうだけど――」
　その瞬間、カレンは閃いた。
「ねぇ！　アッシュフォード押し込んで、ルルーシュ掠っちゃった方が早くない？　見張りが付いてるて言っても多寡が知れてるんだし」
「いいのか？　そんな事をしたら学園は取り潰しだぞ？」
「え？」
「アッシュフォードは今やルルーシュを飼う為だけに存在を許されている。アイツが消えれば証拠隠滅で消されるだけだ。想い出の場所も、何もかも……」
「へぇ～……意外」
「何がだ？」
「そんな事、気にしてくれるんだと思って」
「別にお前の為ではない」
「じゃあ誰の？　フ～ン♪　ルルーシュには優しいんだぁ♪」
「フン、勘違いしているぞ、私程ルルーシュに優しくない女はいない」
「ええー、そう？」
「私自身の為さ」
「ん？」
　アッシュフォード学園と縁が無いC.C.が自分の為という意味がわからずカレンは首を傾げる
「私は何も持っていない、C.C.に残されているのは想い出だけだ」
「皆一緒よ。何もかも無くして、だからこうやって取り戻そうと……」
「そう、お前達まだ間に合う。私には……もう手が届かない」
「だから他人の想い出も大事にするってわけ？」
「そうだな。少なくともシャルルのやり方は趣味ではないな。だから……」
「シャルル？　誰？」
　急にシャルルとか言われても誰かわからない。
「だから手初めにルルーシュのバカをひっぱたいて全てを思い出させよう。その後はアイツの手が世界を目覚めさせるだろう」
「C.C.」
「なんだ？」
「時間よ」
「いいだろう」
　二人は黒の騎士団としての活動を開始する。
「動くな！　ブリタニア人ドモ！」
「抵抗しなければ泣かさないで置いてやる」
「この工場で作っている薔薇の香りの入浴剤！　全て黒の騎士団が貰ったぁー！！！」
「美しく」
「クールに」
「そして、優雅に」
「「それが……黒の騎士団だ！！」」







「お願いだ。お願いだから……俺が戻るまでそれ以上、無茶苦茶な事はしないでくれぇーーー！！！！」







　総司令代行の受難は続く。