ヴァリアー編 第4話
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「数日だけでいい。私を匿ってくれないか」
その日は雨が酷かった。少女は傘もささず、ずぶ濡れで家に来た。
「準備が出来たら、すぐにイタリアを発つ。準備が終わるまで、どうかここにいさせてくれ」
生活費は出す。と少女はこの上なく悲壮な目でディーノに訴えてくる。
「何があったかは知らないが、金はいらない。ずっと家にいたっていいんだぞ」
実の妹のようにかわいがっていた少女からの頼みだ。断るはずがない。
だが。だがしかし。ある日いきなり机の上に十分すぎるほどの金だけを置いて消える者がどこにいる?
~
「怪我の容態は」
「傷は浅いぜ。よく鍛えられてるようだ」
今は廃業となった病院にバジルは運ばれた。
どこから情報が漏れるか分からないため、それを阻止するためにわざわざこの場所を選んだそうだ。
綱吉達は病室にいるが、一人ニナは不機嫌そうに外の椅子に座っていた。
だが外からでも話は聞こえてくる。
スクアーロが持って行ったあのボンゴレリングは偽物で、本物のリングはディーノが持っていた。
(バジルは囮だったということか。酷なことをさせる)
「す、ストップ! 俺家に帰って補習の勉強しなきゃ!」
そう言って綱吉は逃げるようにして部屋を出た。
「ツナ……」
ツナヨシ、と声をかけようと思ったが当の本人はニナに気づかずそのまま走って行った。
「ツナの奴、本気で逃げられると思っているのか?」
苦笑いしながらディーノも部屋の外に出ると、ニナと目が合った。
ニナは気まずそうに目を逸らすが、どうやら彼は怒っているらしい。
「で、どうしておまえはここにいるんだ」
ボンゴレリングの話と打って変わって、今度はニナの非難の話になってしまった。
「……落ち着いたら連絡は入れようと思ってた」
「それに、リボーンもなんでニナが日本にいるって教えてくれなかったんだ」
「ニナに口止めされてたからな」
それを聞いてディーノは思わずため息をついた。
「ちゃんと謝礼金は置いてきたはずだが。足りないなら追加もする」
「そういうことじゃない。あのな、突然おまえが消えてどれだけ心配したか分かるか?」
そこから延々と説教が続く。
だから見つかりたくなかったんだ、と内心辟易する。
でも心配させたことは事実だ。ニナにも非があることは承知している。
(こういう時はどうするんだったか)
一発で男性を黙らせる方法。それは確か。
ニナは伏し目がちになり悲しそうな声色で告げる。
「……ごめんなさい」
弱気になったニナにディーノはたじろぐ。
部下から「やりすぎじゃないか?」とでも言いたげな非難の目にディーノは慌てて取り繕った。
「あ、いやー……俺もちょっと言いすぎたな。ごめん。とにかくおまえが無事でよかった」
ポンポンとあやすように頭を撫でる。
(どいつもこいつも私を妹扱いする……)
「とにかく、スクアーロに見つかった以上アイツがここに来るのも時間の問題だ。その間までに私は日本を去る」
「残念だが、そういうわけにはいかねーんだ。おまえも守護者に選ばれたからな」
「……なんだと? 私はボンゴレから抜けたんだ。組織内同士のいざこざに巻き込むな」
「事態は一刻を争う。ツナ達は経験も力もねぇ。そんな奴らの中でニナ、おまえの力が必要なんだ」
「冗談じゃない。それに私はもう、戦うことを」
やめた。と小さく呟く。
目の前で散った小さな命。仕方がなかったとはいえ、それは言い訳に過ぎない。
あの時、ナイフを持つ手がとてつもなく重たかった。その重さは今まで自分が摘み取った命の重さ。
その重さを一気に理解したニナは逃げた。耐えられなかった。
「……分かっている。ニナに酷な選択をさせていることも。だが、この戦いに負ければツナ達は死ぬ。1日待つ。それまでに決めてほしい」
そう言ってディーノはハーフボンゴレリングをニナに渡す。
「これは、何のリングだ」
「風のリングだ。役目は、障害となるものを全て吹き飛ばす荒々しき突風」
「……風」
その日は雨が酷かった。少女は傘もささず、ずぶ濡れで家に来た。
「準備が出来たら、すぐにイタリアを発つ。準備が終わるまで、どうかここにいさせてくれ」
生活費は出す。と少女はこの上なく悲壮な目でディーノに訴えてくる。
「何があったかは知らないが、金はいらない。ずっと家にいたっていいんだぞ」
実の妹のようにかわいがっていた少女からの頼みだ。断るはずがない。
だが。だがしかし。ある日いきなり机の上に十分すぎるほどの金だけを置いて消える者がどこにいる?
~
「怪我の容態は」
「傷は浅いぜ。よく鍛えられてるようだ」
今は廃業となった病院にバジルは運ばれた。
どこから情報が漏れるか分からないため、それを阻止するためにわざわざこの場所を選んだそうだ。
綱吉達は病室にいるが、一人ニナは不機嫌そうに外の椅子に座っていた。
だが外からでも話は聞こえてくる。
スクアーロが持って行ったあのボンゴレリングは偽物で、本物のリングはディーノが持っていた。
(バジルは囮だったということか。酷なことをさせる)
「す、ストップ! 俺家に帰って補習の勉強しなきゃ!」
そう言って綱吉は逃げるようにして部屋を出た。
「ツナ……」
ツナヨシ、と声をかけようと思ったが当の本人はニナに気づかずそのまま走って行った。
「ツナの奴、本気で逃げられると思っているのか?」
苦笑いしながらディーノも部屋の外に出ると、ニナと目が合った。
ニナは気まずそうに目を逸らすが、どうやら彼は怒っているらしい。
「で、どうしておまえはここにいるんだ」
ボンゴレリングの話と打って変わって、今度はニナの非難の話になってしまった。
「……落ち着いたら連絡は入れようと思ってた」
「それに、リボーンもなんでニナが日本にいるって教えてくれなかったんだ」
「ニナに口止めされてたからな」
それを聞いてディーノは思わずため息をついた。
「ちゃんと謝礼金は置いてきたはずだが。足りないなら追加もする」
「そういうことじゃない。あのな、突然おまえが消えてどれだけ心配したか分かるか?」
そこから延々と説教が続く。
だから見つかりたくなかったんだ、と内心辟易する。
でも心配させたことは事実だ。ニナにも非があることは承知している。
(こういう時はどうするんだったか)
一発で男性を黙らせる方法。それは確か。
ニナは伏し目がちになり悲しそうな声色で告げる。
「……ごめんなさい」
弱気になったニナにディーノはたじろぐ。
部下から「やりすぎじゃないか?」とでも言いたげな非難の目にディーノは慌てて取り繕った。
「あ、いやー……俺もちょっと言いすぎたな。ごめん。とにかくおまえが無事でよかった」
ポンポンとあやすように頭を撫でる。
(どいつもこいつも私を妹扱いする……)
「とにかく、スクアーロに見つかった以上アイツがここに来るのも時間の問題だ。その間までに私は日本を去る」
「残念だが、そういうわけにはいかねーんだ。おまえも守護者に選ばれたからな」
「……なんだと? 私はボンゴレから抜けたんだ。組織内同士のいざこざに巻き込むな」
「事態は一刻を争う。ツナ達は経験も力もねぇ。そんな奴らの中でニナ、おまえの力が必要なんだ」
「冗談じゃない。それに私はもう、戦うことを」
やめた。と小さく呟く。
目の前で散った小さな命。仕方がなかったとはいえ、それは言い訳に過ぎない。
あの時、ナイフを持つ手がとてつもなく重たかった。その重さは今まで自分が摘み取った命の重さ。
その重さを一気に理解したニナは逃げた。耐えられなかった。
「……分かっている。ニナに酷な選択をさせていることも。だが、この戦いに負ければツナ達は死ぬ。1日待つ。それまでに決めてほしい」
そう言ってディーノはハーフボンゴレリングをニナに渡す。
「これは、何のリングだ」
「風のリングだ。役目は、障害となるものを全て吹き飛ばす荒々しき突風」
「……風」