ヴァリアー編 第6話
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「極限太陽 !」
今まで使わないでいた右の拳がルッスーリアに当たる。あえて休めていたおかげで細胞がベストな状態となっていたのだ。
「当たったとはいえ、浅いな」
「いいや、彼の狙いはそこじゃない」
家光がそう言うと、今まで明るく照らしていた照明が割れ始めた。
「な、なるほど。笹川殿は視覚を確保するためにわざと外したのですね!」
だが気になることはまだある。照明を割るほどの拳圧は一体どうなっているのか。
違う。拳圧で割ったのではない。よく見ると了平の体の周りにキラキラと輝いてるものがある。
「あれは、塩か」
汗の水分が証明の熱で蒸発し、塩分のみが残った。その塩を了平は散弾のように放ったと言う事だ。
だがルッスーリアは焦るどころか高笑いをする。
「この程度の猿芸なら私にもできるわ!!」
そう言って目にも見えぬ速さで了平の頬をめがけてアッパーを放つ。
かすめた頬から塩の結晶が散弾し、照明が割れた。
「これがヴァリアークオリティ……」
声を震わせながらバジルが言った。
人間業では到底クリアできない殺しを、いかなる状況でも完璧に遂行できる能力の高さ。人々は畏怖の念を込めてヴァリアークオリティと呼んでいる。
状況が不利なのは変わらない。いや、以前よりもっと悪くなったと言うべきか。
「やっぱり、勝つなど無理だろう。……? イエミツは」
ふと周りを見ると家光が消えていた。
「え? あ、親方様!?」
バジルも今気づいたのか、慌てて辺りを見回す。
(一体何をやってんだか)
家光は放っておいて改めてリングを見る。一方、了平は諦めていなかった。あの燃えるような目はまだ輝きを失っていない。
右拳の一撃に全てを賭けていた。もっと力を、力を溜めることができたら。
「極限太陽 !」
ガッ、と。腕が壊れる音がした。了平のストレートは虚しくルッスーリアの左足に負けてしまった。
(右手まで……。これではもう)
「お兄ちゃん……?」
すると、予期せぬ来訪者が現れた。
「京子ちゃん!? なんでここに」
「俺が案内した」
そこに姿を消したはずの家光が現れた。
家光が消えたのは京子をここまで案内するためだったか。
「お兄ちゃんもうやめて! 喧嘩はしないって約束したのに!」
ボロボロの了平とその前に立つルッスーリアを見て、京子は叫んだ。
「喧嘩、か」
クスリと笑みが漏れた。あの少女には、今の状況が喧嘩に見えるらしい。
だが妹が来たことによって、彼女を思う気持ちと覚悟が了平の支えとなる。
再び立ち上がった了平は、また構え直す。
先ほどとは違う。そうニナは感じた。だがルッスーリアにそれが分かっているのか。
「みさらせ!! これが本当の」
「――極限太陽 !!」
その時、右ストレートが輝いて見えた。
ルッスーリアのメタル・ニーが粉々に砕ける。これではもう了平の攻撃を防ぐ術はない。
(決まったな……)
ヴァリアーに負けるという選択肢はない。許されない。
その先に待っている物をニナは知っている。
そしてルッスーリアもそれを知っている。
「ま、まだよ! まだ私は戦えるわ!! 片足でだって戦えるんだから!」
「先ほどから、ルッスーリアの様子が妙ですね」
「知らないのか? ヴァリアーの掟を。そして負けた者はどうなるのか」
ドォンと大砲のような音がした。
リングを見るとヴァリアー側から撃たれたルッスーリアが倒れている。
ルッスーリアを撃ったのは、あの機械のようなモノか。
(あれは、何だ?)
ニナも初めて見るモノに疑問を抱く。
少なくとも自分が居た頃にあんなモノはなかった。
「……これは改めて調べる必要があるな」
綱吉達にとっては後味が悪い終わり方だろうが、勝ちは勝ちだ。
「晴のリング争奪戦は笹川了平の勝利です。それでは次回の対戦カードは雷の守護者同士の対決です。では明晩、お会いしましょう」
チェルベッロが去るとリングがバラバラになって崩れた。
晴のリングは手に入れた。ひとまずまだ自分の出番ではないと分かると、ニナは去ろうとする。
「お待ちください! 今は違うとは言え、元は貴方もヴァリアーの一員だったはず。なのに今の光景に何も思わないのですか!?」
バジルの糾弾は、深く胸に刺さった。
だが、
「……そうだな、普通なら悲しいと思うはずだな。だが、そんな普通の感情すら私は忘れてしまっていたのか」
「……!」
垣間見えたニナの横顔は、どこか泣きそうな表情だった。
言葉を失ったバジルを無視し、ニナは闇へと消えていく。
今まで使わないでいた右の拳がルッスーリアに当たる。あえて休めていたおかげで細胞がベストな状態となっていたのだ。
「当たったとはいえ、浅いな」
「いいや、彼の狙いはそこじゃない」
家光がそう言うと、今まで明るく照らしていた照明が割れ始めた。
「な、なるほど。笹川殿は視覚を確保するためにわざと外したのですね!」
だが気になることはまだある。照明を割るほどの拳圧は一体どうなっているのか。
違う。拳圧で割ったのではない。よく見ると了平の体の周りにキラキラと輝いてるものがある。
「あれは、塩か」
汗の水分が証明の熱で蒸発し、塩分のみが残った。その塩を了平は散弾のように放ったと言う事だ。
だがルッスーリアは焦るどころか高笑いをする。
「この程度の猿芸なら私にもできるわ!!」
そう言って目にも見えぬ速さで了平の頬をめがけてアッパーを放つ。
かすめた頬から塩の結晶が散弾し、照明が割れた。
「これがヴァリアークオリティ……」
声を震わせながらバジルが言った。
人間業では到底クリアできない殺しを、いかなる状況でも完璧に遂行できる能力の高さ。人々は畏怖の念を込めてヴァリアークオリティと呼んでいる。
状況が不利なのは変わらない。いや、以前よりもっと悪くなったと言うべきか。
「やっぱり、勝つなど無理だろう。……? イエミツは」
ふと周りを見ると家光が消えていた。
「え? あ、親方様!?」
バジルも今気づいたのか、慌てて辺りを見回す。
(一体何をやってんだか)
家光は放っておいて改めてリングを見る。一方、了平は諦めていなかった。あの燃えるような目はまだ輝きを失っていない。
右拳の一撃に全てを賭けていた。もっと力を、力を溜めることができたら。
「
ガッ、と。腕が壊れる音がした。了平のストレートは虚しくルッスーリアの左足に負けてしまった。
(右手まで……。これではもう)
「お兄ちゃん……?」
すると、予期せぬ来訪者が現れた。
「京子ちゃん!? なんでここに」
「俺が案内した」
そこに姿を消したはずの家光が現れた。
家光が消えたのは京子をここまで案内するためだったか。
「お兄ちゃんもうやめて! 喧嘩はしないって約束したのに!」
ボロボロの了平とその前に立つルッスーリアを見て、京子は叫んだ。
「喧嘩、か」
クスリと笑みが漏れた。あの少女には、今の状況が喧嘩に見えるらしい。
だが妹が来たことによって、彼女を思う気持ちと覚悟が了平の支えとなる。
再び立ち上がった了平は、また構え直す。
先ほどとは違う。そうニナは感じた。だがルッスーリアにそれが分かっているのか。
「みさらせ!! これが本当の」
「――
その時、右ストレートが輝いて見えた。
ルッスーリアのメタル・ニーが粉々に砕ける。これではもう了平の攻撃を防ぐ術はない。
(決まったな……)
ヴァリアーに負けるという選択肢はない。許されない。
その先に待っている物をニナは知っている。
そしてルッスーリアもそれを知っている。
「ま、まだよ! まだ私は戦えるわ!! 片足でだって戦えるんだから!」
「先ほどから、ルッスーリアの様子が妙ですね」
「知らないのか? ヴァリアーの掟を。そして負けた者はどうなるのか」
ドォンと大砲のような音がした。
リングを見るとヴァリアー側から撃たれたルッスーリアが倒れている。
ルッスーリアを撃ったのは、あの機械のようなモノか。
(あれは、何だ?)
ニナも初めて見るモノに疑問を抱く。
少なくとも自分が居た頃にあんなモノはなかった。
「……これは改めて調べる必要があるな」
綱吉達にとっては後味が悪い終わり方だろうが、勝ちは勝ちだ。
「晴のリング争奪戦は笹川了平の勝利です。それでは次回の対戦カードは雷の守護者同士の対決です。では明晩、お会いしましょう」
チェルベッロが去るとリングがバラバラになって崩れた。
晴のリングは手に入れた。ひとまずまだ自分の出番ではないと分かると、ニナは去ろうとする。
「お待ちください! 今は違うとは言え、元は貴方もヴァリアーの一員だったはず。なのに今の光景に何も思わないのですか!?」
バジルの糾弾は、深く胸に刺さった。
だが、
「……そうだな、普通なら悲しいと思うはずだな。だが、そんな普通の感情すら私は忘れてしまっていたのか」
「……!」
垣間見えたニナの横顔は、どこか泣きそうな表情だった。
言葉を失ったバジルを無視し、ニナは闇へと消えていく。