ヴァリアー編 第5話
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「嵐はハヤト、雨はタケシ。雲は……キョウヤ」
この三日間、山で訓練をしつつ他の守護者が誰か調べていた。
「晴れは笹川了平。ああ、キョウコの兄か」
机に四人の写真を並べる。分からなかったのは雷と霧の守護者。
もっと自分にも情報屋のような収集力があればいいのに。と後悔する。
もう一つ、問題なのは。
「……一人で訓練というのも、限界があるな」
三日で鈍った分は取り戻せた。だがこれ以上に進むには実践が必要だ。生身の相手と戦う事。それが次の段階へと進む為に必要なことだった。
「誰がいるかな」
剣の使い手だと尚更良い。勘でしかないが、恐らくニナの相手はあの人だ。
了平はボクシング。獄寺は爆弾。
となると。
「タケシか」
剣の使い手でなくてもいい。要は訓練の際に戦える相手がいればいいのだから。
そうと決まれば、善は急げだ。山本の住所は調べ済みなので分かっている。
(父親が寿司屋をやっていると聞いたな)
住所通りの場所へ来ると、竹寿司と書かれた暖簾を見つけた。
ここが山本の家だ。だが戸の前に準備中と書かれた張り紙が貼られている。
ニナはそれを無視してガラリと開ける。いざとなったら漢字が読めなかったと言い訳すればいい。
「すみません」
中には誰もいなかった。電気も点いていないので暗い。
さてどうしようか。このまま中に入っていくのも悪いだろう。
「はいはい。すみませんねぇ、今準備中でして」
すると奥の方から山本の父親らしき人物が出てきた。
「初めまして。ニナ・クラルヴァインと申します。タケシ君のクラスメイトで今日会う約束をしていたのですが」
「武が? アイツは今道場にいるんだ。よかったら上がってくれ」
願ったり叶ったりだ。父親の案内でニナは道場まで連れて行ってもらった。
「おう武! おまえこんな可愛いお嬢さんがいるなんてなんで教えてくれなかったんだよ」
「え? って、ニナさん!?」
「こんにちは。随分と大きな道場だな」
「え、ていうかなんでここに」
指にはめたリングを山本に見せた。それだけで、山本は全てを理解したようだ。
「皆みたいに、教師がいるわけじゃないんだ。だからちょっと練習に付き合ってほしくて」
「おう。俺でよかったらいくらでも付き合うぜ」
「ありがたい」
「何だ。デートとかじゃないのか」
「違うって! 俺の稽古に付き合ってくれるんだ」
袴姿に竹刀を構える。対するニナは何も持たずに構える。
「何も持たないのか?」
「ああ」
ニコリと笑うニナに心配する山本。
だが構えるニナには隙がない。
(こりゃ、油断してるとやられるな)
「にしても、おまえ何者なんだ?」
「秘密だ」
「ハハッ。なんだそりゃ」
「……そうだな、私に一度でも勝てたら、教えてやる」
それは絶対にニナが負けることはないという絶対の自信。
そこまで言われたらこちらも負けるわけにはいかない。山本はにやりと笑ってニナに斬りかかった。
~
五日目。刻々とヴァリアーが日本へ来る時間が近づいてくる。
リングが偽物だとバレなければという前提で十日間だから、バレてしまえば大幅に予定が崩れる。
「いっそ二度と来なければいい……のに」
郵便受けに一通の手紙。差出人は不明。
どうやらニナの希望は儚く散ってしまったらしい。
ため息をついて封を開ける。
――偽物とバレた。敵はもう日本に上陸している。雷に気をつけろ。
「随分と早いな」
十日の半分の日数でバレてしまうとは。
ヴァリアーが来たと言う事は、あの人も。
そんなことより最後の一文だ。
「雷に気をつけろ。……誰かが雷の守護者を狙っているのか?」
考えられるとすれば、ヴァリアー内で一番仕事が早いレヴィ・ア・タンか。レヴィが雷の守護者だとすれば、同じ雷を狙うだろう。
しかしこちらは雷の守護者が誰か分かっていない。
「……とにかく行かなくては」
黒い服を着て、急いで外へ出た。こちらの守護者が分からなくても、レヴィを見つけられれば済む話だ。
(屋根を伝って行く方が早いな)
人の家の屋根を渡るのは少し悪い気もするが、今はなりふり構っていられない。
精神を集中させる。例えどれだけ気配を消していても、わずかな殺気を放てばすぐに見つけられる。
(……いた)
数百メートル先。隠すことのない殺気を感じた。
一人か。ニナはすぐに駆ける。
(間に合えよ)
この三日間、山で訓練をしつつ他の守護者が誰か調べていた。
「晴れは笹川了平。ああ、キョウコの兄か」
机に四人の写真を並べる。分からなかったのは雷と霧の守護者。
もっと自分にも情報屋のような収集力があればいいのに。と後悔する。
もう一つ、問題なのは。
「……一人で訓練というのも、限界があるな」
三日で鈍った分は取り戻せた。だがこれ以上に進むには実践が必要だ。生身の相手と戦う事。それが次の段階へと進む為に必要なことだった。
「誰がいるかな」
剣の使い手だと尚更良い。勘でしかないが、恐らくニナの相手はあの人だ。
了平はボクシング。獄寺は爆弾。
となると。
「タケシか」
剣の使い手でなくてもいい。要は訓練の際に戦える相手がいればいいのだから。
そうと決まれば、善は急げだ。山本の住所は調べ済みなので分かっている。
(父親が寿司屋をやっていると聞いたな)
住所通りの場所へ来ると、竹寿司と書かれた暖簾を見つけた。
ここが山本の家だ。だが戸の前に準備中と書かれた張り紙が貼られている。
ニナはそれを無視してガラリと開ける。いざとなったら漢字が読めなかったと言い訳すればいい。
「すみません」
中には誰もいなかった。電気も点いていないので暗い。
さてどうしようか。このまま中に入っていくのも悪いだろう。
「はいはい。すみませんねぇ、今準備中でして」
すると奥の方から山本の父親らしき人物が出てきた。
「初めまして。ニナ・クラルヴァインと申します。タケシ君のクラスメイトで今日会う約束をしていたのですが」
「武が? アイツは今道場にいるんだ。よかったら上がってくれ」
願ったり叶ったりだ。父親の案内でニナは道場まで連れて行ってもらった。
「おう武! おまえこんな可愛いお嬢さんがいるなんてなんで教えてくれなかったんだよ」
「え? って、ニナさん!?」
「こんにちは。随分と大きな道場だな」
「え、ていうかなんでここに」
指にはめたリングを山本に見せた。それだけで、山本は全てを理解したようだ。
「皆みたいに、教師がいるわけじゃないんだ。だからちょっと練習に付き合ってほしくて」
「おう。俺でよかったらいくらでも付き合うぜ」
「ありがたい」
「何だ。デートとかじゃないのか」
「違うって! 俺の稽古に付き合ってくれるんだ」
袴姿に竹刀を構える。対するニナは何も持たずに構える。
「何も持たないのか?」
「ああ」
ニコリと笑うニナに心配する山本。
だが構えるニナには隙がない。
(こりゃ、油断してるとやられるな)
「にしても、おまえ何者なんだ?」
「秘密だ」
「ハハッ。なんだそりゃ」
「……そうだな、私に一度でも勝てたら、教えてやる」
それは絶対にニナが負けることはないという絶対の自信。
そこまで言われたらこちらも負けるわけにはいかない。山本はにやりと笑ってニナに斬りかかった。
~
五日目。刻々とヴァリアーが日本へ来る時間が近づいてくる。
リングが偽物だとバレなければという前提で十日間だから、バレてしまえば大幅に予定が崩れる。
「いっそ二度と来なければいい……のに」
郵便受けに一通の手紙。差出人は不明。
どうやらニナの希望は儚く散ってしまったらしい。
ため息をついて封を開ける。
――偽物とバレた。敵はもう日本に上陸している。雷に気をつけろ。
「随分と早いな」
十日の半分の日数でバレてしまうとは。
ヴァリアーが来たと言う事は、あの人も。
そんなことより最後の一文だ。
「雷に気をつけろ。……誰かが雷の守護者を狙っているのか?」
考えられるとすれば、ヴァリアー内で一番仕事が早いレヴィ・ア・タンか。レヴィが雷の守護者だとすれば、同じ雷を狙うだろう。
しかしこちらは雷の守護者が誰か分かっていない。
「……とにかく行かなくては」
黒い服を着て、急いで外へ出た。こちらの守護者が分からなくても、レヴィを見つけられれば済む話だ。
(屋根を伝って行く方が早いな)
人の家の屋根を渡るのは少し悪い気もするが、今はなりふり構っていられない。
精神を集中させる。例えどれだけ気配を消していても、わずかな殺気を放てばすぐに見つけられる。
(……いた)
数百メートル先。隠すことのない殺気を感じた。
一人か。ニナはすぐに駆ける。
(間に合えよ)