第3話
夢小説設定
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結局、あの後返事は返せなかった。
モヤモヤとした感情が瀬奈を支配する。
授業も集中できず、締まりのない一日となってしまった。
(そりゃあ知り合いが好きな人と交流あるって、結構有利かもしれないけど)
だからといって、至に協力を申し込むのは、少し違う気がした。
そしてこれは至に返事を返さなかった天罰なのか。
「あ、こんにちは。瀬奈さん」
「こ、こんにちは……」
今日はゲームセンターに行くつもりはなかった。なかったのだ。
それなのに、帰る途中でスーツを着た至に会ってしまった。
「仕事帰りですか」
「うん。で、この後稽古」
そういえばこの人は役者だった。
今思えば役者と会社員の両立なんて難しいのではないか。
「大変と言えば大変だけどね。楽しいから両立出来るって言うか」
「好きなんですね、舞台」
「……そうだね」
恥ずかしそうに笑う至を見て、本当に舞台が好きなのだと分かる。
この良い流れでそのまま去ろうと瀬奈はもくろんでいたが、
「待った。昨日の返事聞いてないんだけど?」
「ウッ」
至が見せたスマートフォンの画面には昨日の会話内容がそのままのってある。
「真澄の事が好きなら、手伝うけど」
「……」
非常に甘美な誘惑だった。一瞬お願いしますと返事しそうになった。
だが、
「お、お断りします」
「なんで?」
「だって、ずるいじゃないですか。碓氷君の知り合いだからって至さんを利用するなんて」
「俺は別にいいけど?」
そういうことじゃない! と叫びそうになったがなんとか堪える。
「私はっ。そのために至さんと仲良くなったんじゃありません。話が合うし、いろんな事を教えてくれるから、純粋に友達としての付き合いをしたいんです」
純粋な友達として。その言葉に至は呆気にとられた。
「ごめん。怒らせたかったわけじゃないんだ。……駄目だな。仕事上の付き合い以外だと、どう接して良いか分からない」
「社畜みたいなこと言わないでください」
「社畜だからね」
あやすように瀬奈の頭を撫でる。
それはそれで子供扱いされているようで気に入らないのだが。本人は本気でどうしていいか分かっていない。
「でも嬉しいよ。瀬奈さんが俺のこと友達だって思ってくれてたのは」
「至さん友達多そうですけど」
「そんなことないよ。近づいてくる人はスクールカーストの上に立ちたいみたいな奴ばっかだったし」
(学生時代に何があったのか……)
「で。俺すっごい失礼なこと言っちゃったけど、まだ瀬奈さんの友達でいていいの?」
「……アイス奢ってくれるなら許します」
安いな。と言って至は笑う。
学生時代に何があったのかは分からないし、何故ここまで自分と真澄の仲を取り持とうとするのかも分からない。
ただ、至は純粋に瀬奈のことを手伝おうとしていたらしい。やり方はアレだけど。
(……なんでそこまでしようとするんだろう)
モヤモヤとした感情が瀬奈を支配する。
授業も集中できず、締まりのない一日となってしまった。
(そりゃあ知り合いが好きな人と交流あるって、結構有利かもしれないけど)
だからといって、至に協力を申し込むのは、少し違う気がした。
そしてこれは至に返事を返さなかった天罰なのか。
「あ、こんにちは。瀬奈さん」
「こ、こんにちは……」
今日はゲームセンターに行くつもりはなかった。なかったのだ。
それなのに、帰る途中でスーツを着た至に会ってしまった。
「仕事帰りですか」
「うん。で、この後稽古」
そういえばこの人は役者だった。
今思えば役者と会社員の両立なんて難しいのではないか。
「大変と言えば大変だけどね。楽しいから両立出来るって言うか」
「好きなんですね、舞台」
「……そうだね」
恥ずかしそうに笑う至を見て、本当に舞台が好きなのだと分かる。
この良い流れでそのまま去ろうと瀬奈はもくろんでいたが、
「待った。昨日の返事聞いてないんだけど?」
「ウッ」
至が見せたスマートフォンの画面には昨日の会話内容がそのままのってある。
「真澄の事が好きなら、手伝うけど」
「……」
非常に甘美な誘惑だった。一瞬お願いしますと返事しそうになった。
だが、
「お、お断りします」
「なんで?」
「だって、ずるいじゃないですか。碓氷君の知り合いだからって至さんを利用するなんて」
「俺は別にいいけど?」
そういうことじゃない! と叫びそうになったがなんとか堪える。
「私はっ。そのために至さんと仲良くなったんじゃありません。話が合うし、いろんな事を教えてくれるから、純粋に友達としての付き合いをしたいんです」
純粋な友達として。その言葉に至は呆気にとられた。
「ごめん。怒らせたかったわけじゃないんだ。……駄目だな。仕事上の付き合い以外だと、どう接して良いか分からない」
「社畜みたいなこと言わないでください」
「社畜だからね」
あやすように瀬奈の頭を撫でる。
それはそれで子供扱いされているようで気に入らないのだが。本人は本気でどうしていいか分かっていない。
「でも嬉しいよ。瀬奈さんが俺のこと友達だって思ってくれてたのは」
「至さん友達多そうですけど」
「そんなことないよ。近づいてくる人はスクールカーストの上に立ちたいみたいな奴ばっかだったし」
(学生時代に何があったのか……)
「で。俺すっごい失礼なこと言っちゃったけど、まだ瀬奈さんの友達でいていいの?」
「……アイス奢ってくれるなら許します」
安いな。と言って至は笑う。
学生時代に何があったのかは分からないし、何故ここまで自分と真澄の仲を取り持とうとするのかも分からない。
ただ、至は純粋に瀬奈のことを手伝おうとしていたらしい。やり方はアレだけど。
(……なんでそこまでしようとするんだろう)