第2話
夢小説設定
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その日は、瀬奈は日直ではない日だ。
だが放課後の日誌や掃除当番を代わってくれと言われ、断る理由が見つからない為日誌を書いていた。
だけどその日は少し違った。
(……起こした方がいいかな)
右斜め前の席。この時間は皆教室にいないというのに、瀬奈ともう一人、真澄だけが残っていた。
普段ならすぐに帰るのだが今日は帰らずに寝ている。
(でも起こさないと駄目だよね。鍵閉められないし)
「う、碓氷君……?」
ソッと声をかけてみるが起きる気配がない。
さて、どうしようか。
「碓氷君」
軽く揺さぶると「う……」と唸るだけで起きなかった。
(こうやって近くで見るの初めてだな)
いつもは女子に囲まれて遠くから見ている存在だった。
だけど今は女子もいない。教室にいるのは二人だけだ。
(何考えてんだ自分)
「碓氷君」
もう一度、今度は強く揺さぶってみる。
「……何」
がしりと強く腕を捕まれる。
寝起きのせいか機嫌が悪そうだ。
「あ、あのもう放課後だし、教室閉めるから起きてほしいなと……」
「アンタ、誰」
分かってはいたが中々、精神的にくるものがあった。
「……同じクラスの栗生瀬奈だよ」
「瀬奈? 至が言ってた……」
(え?)
「……帰る」
そう言って真澄は瀬奈に目もくれず教室から出て行った。
(さっき、至が言ってたって……至さん?)
心臓がドキドキと音を立てている。
強く握られた腕の感覚はまだ残ったまま。
「ああ、駄目だ」
気づいてしまったら止められない。止まることを知らない。
相手は名前をオウム返ししただけにすぎないのに。
自分は、私は。
「碓氷君の事、好きなんだ……」
その日の夜。瀬奈はLIMEで至にメッセージを送っていた。
内容は、「碓氷君に私の事を話しましたか?」だ。
返事が来るまで少し時間がかかった。
スマホで振動で揺れ、瀬奈はすぐに返事を読んだ。
『軽く言っただけ。真澄のクラスメイトに会ったって』
(軽く言った?)
それでも真澄が自分の名前に反応したというだけで、胸が締め付けられる。
(単純すぎ)
『何、もしかして真澄が何か言ってた?』
『ちょっと色々あって』
答えになっていない答えだが、本当の事を言うのも恥ずかしい。
だが次に来た返事はとんでもないものだった。
『てかさ、瀬奈さんって真澄のこと好きだよね』
(……は)
瀬奈はたった今日気づいたというのに。
至に気づかれていたことに思わず頬が熱くなる。
『もしそうなら、手伝ってあげようか?』
「……手伝う?」
『真澄が瀬奈さんに振り向いてもらえるようにするってこと』
それは、悪魔の誘いだった。天使ではなく。
喉から手が出る程、すがりつきたい提案だ。
瀬奈の震える手は、返信することなくそのままスマホの電源を消した。
だが放課後の日誌や掃除当番を代わってくれと言われ、断る理由が見つからない為日誌を書いていた。
だけどその日は少し違った。
(……起こした方がいいかな)
右斜め前の席。この時間は皆教室にいないというのに、瀬奈ともう一人、真澄だけが残っていた。
普段ならすぐに帰るのだが今日は帰らずに寝ている。
(でも起こさないと駄目だよね。鍵閉められないし)
「う、碓氷君……?」
ソッと声をかけてみるが起きる気配がない。
さて、どうしようか。
「碓氷君」
軽く揺さぶると「う……」と唸るだけで起きなかった。
(こうやって近くで見るの初めてだな)
いつもは女子に囲まれて遠くから見ている存在だった。
だけど今は女子もいない。教室にいるのは二人だけだ。
(何考えてんだ自分)
「碓氷君」
もう一度、今度は強く揺さぶってみる。
「……何」
がしりと強く腕を捕まれる。
寝起きのせいか機嫌が悪そうだ。
「あ、あのもう放課後だし、教室閉めるから起きてほしいなと……」
「アンタ、誰」
分かってはいたが中々、精神的にくるものがあった。
「……同じクラスの栗生瀬奈だよ」
「瀬奈? 至が言ってた……」
(え?)
「……帰る」
そう言って真澄は瀬奈に目もくれず教室から出て行った。
(さっき、至が言ってたって……至さん?)
心臓がドキドキと音を立てている。
強く握られた腕の感覚はまだ残ったまま。
「ああ、駄目だ」
気づいてしまったら止められない。止まることを知らない。
相手は名前をオウム返ししただけにすぎないのに。
自分は、私は。
「碓氷君の事、好きなんだ……」
その日の夜。瀬奈はLIMEで至にメッセージを送っていた。
内容は、「碓氷君に私の事を話しましたか?」だ。
返事が来るまで少し時間がかかった。
スマホで振動で揺れ、瀬奈はすぐに返事を読んだ。
『軽く言っただけ。真澄のクラスメイトに会ったって』
(軽く言った?)
それでも真澄が自分の名前に反応したというだけで、胸が締め付けられる。
(単純すぎ)
『何、もしかして真澄が何か言ってた?』
『ちょっと色々あって』
答えになっていない答えだが、本当の事を言うのも恥ずかしい。
だが次に来た返事はとんでもないものだった。
『てかさ、瀬奈さんって真澄のこと好きだよね』
(……は)
瀬奈はたった今日気づいたというのに。
至に気づかれていたことに思わず頬が熱くなる。
『もしそうなら、手伝ってあげようか?』
「……手伝う?」
『真澄が瀬奈さんに振り向いてもらえるようにするってこと』
それは、悪魔の誘いだった。天使ではなく。
喉から手が出る程、すがりつきたい提案だ。
瀬奈の震える手は、返信することなくそのままスマホの電源を消した。