第1話
夢小説設定
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彼は、変わり者である。
顔は良い。成績も良い。運動も出来る。そんなモテる要素を全て持っているというのに彼は全く女性に興味を持っていない。
碓氷真澄。それが彼の名前。
高校一年生、誕生日は三月三十日。血液型はB型。
彼のことは、それぐらいしか知らない。
同じクラスなだけで、モテる人という印象しかなかったしまず周りの女子が怖い。
なのに。
「お願い! 一人で行くの寂しいしチケット二枚買っちゃったし!」
「ええ……」
真澄ファンの一人であるクラスメイトが今度、真澄が出るらしい舞台のチケットを買ったと。
そもそも二枚買うということは誰かと一緒に行く前提にしているということだ。
つまり瀬奈に拒否権なんてはなからない。
「いいの!? ありがとう栗生さん!」
舞台なんてあまり見ない、ましてやあの真澄が舞台に出るなんて全く想像がつかない。
「……面白いのかな」
そんな不安は見事に破壊された。
天鵞絨町にある、MANKAI劇場という小さな劇場。席は満員。
アナウンスが流れて緞帳が開く。
話はロミオとジュリエットをモチーフにした友情物。
ジュリエットはジュリアスという男性にして、そのジュリアスが真澄だった。
意気投合したロミオとジュリアスだけど、二人の家は互いに敵対している。互いが敵同士の家だと気づいて苦悩する。
「……割と面白い」
ロミオとジュリエットの話は知ってるから難しくはない。ジュリエットを男性にするというアレンジも面白かった。
なによりも、ジュリアス役の真澄が格好良い。
「……あれ」
ひょっとしてこれはまずいやつではないのか。
「違う違う……ジュリアスが格好いいだけで」
自覚してはいけない気持ちを必死にごまかす。
目の前にいるのは碓氷真澄ではなくジュリアス。瀬奈が格好良いと思っているのはジュリアス。分かっている。だけど。
目が離せない。学校でも目立つ彼は舞台の上でもキラキラと輝き目立っていた。
そして終幕。仮死状態から蘇った二人は互いに笑いながら旅に出る。
「ありがとうございました!!」
ロミオ役の少年がお礼を言い、次に他の役を演じた人が挨拶をする。
「真澄君、格好良かったね! 栗生さん」
「え、ああ、うん」
(舞台ってこんな面白いものなんだ)
逸る心臓の音はきっと舞台が面白かったから。
顔は良い。成績も良い。運動も出来る。そんなモテる要素を全て持っているというのに彼は全く女性に興味を持っていない。
碓氷真澄。それが彼の名前。
高校一年生、誕生日は三月三十日。血液型はB型。
彼のことは、それぐらいしか知らない。
同じクラスなだけで、モテる人という印象しかなかったしまず周りの女子が怖い。
なのに。
「お願い! 一人で行くの寂しいしチケット二枚買っちゃったし!」
「ええ……」
真澄ファンの一人であるクラスメイトが今度、真澄が出るらしい舞台のチケットを買ったと。
そもそも二枚買うということは誰かと一緒に行く前提にしているということだ。
つまり瀬奈に拒否権なんてはなからない。
「いいの!? ありがとう栗生さん!」
舞台なんてあまり見ない、ましてやあの真澄が舞台に出るなんて全く想像がつかない。
「……面白いのかな」
そんな不安は見事に破壊された。
天鵞絨町にある、MANKAI劇場という小さな劇場。席は満員。
アナウンスが流れて緞帳が開く。
話はロミオとジュリエットをモチーフにした友情物。
ジュリエットはジュリアスという男性にして、そのジュリアスが真澄だった。
意気投合したロミオとジュリアスだけど、二人の家は互いに敵対している。互いが敵同士の家だと気づいて苦悩する。
「……割と面白い」
ロミオとジュリエットの話は知ってるから難しくはない。ジュリエットを男性にするというアレンジも面白かった。
なによりも、ジュリアス役の真澄が格好良い。
「……あれ」
ひょっとしてこれはまずいやつではないのか。
「違う違う……ジュリアスが格好いいだけで」
自覚してはいけない気持ちを必死にごまかす。
目の前にいるのは碓氷真澄ではなくジュリアス。瀬奈が格好良いと思っているのはジュリアス。分かっている。だけど。
目が離せない。学校でも目立つ彼は舞台の上でもキラキラと輝き目立っていた。
そして終幕。仮死状態から蘇った二人は互いに笑いながら旅に出る。
「ありがとうございました!!」
ロミオ役の少年がお礼を言い、次に他の役を演じた人が挨拶をする。
「真澄君、格好良かったね! 栗生さん」
「え、ああ、うん」
(舞台ってこんな面白いものなんだ)
逸る心臓の音はきっと舞台が面白かったから。
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