第6話
夢小説設定
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「ほらおまえら、でけぇ奴は後ろ行け」
リーダーが真ん中でトロフィーを持ち、決勝戦に出ていたメンバーが中心に集まる。
「皆さん、準備はいいですか」
三、二、一と天霧の声と共にシャッターが切られる。
勝ったのは。
「咲良さん、優勝おめでとうございます」
「私は何もしていませんから」
優勝したクラスの写真撮影の後、生徒会には机やら得点板やらの後片付けが残っている。
あれだけ皆で練習したのに、終わるのはあっという間だ。
「でも、楽しかったでしょう?」
「……そうかもしれません」
中学の時には味わえなかった、この感覚。
そうか、これは楽しいというのか。
「学校にいる間は、家の事を忘れていいと思います。咲良さんはまだ高校生なのですから」
「でも、私は」
高校を出れば、咲良の自由は完全になくなる。
後三年も残っている戸考えるべきか、三年しかないと考えるべきか。
「大丈夫です。そのためにこの学校に入ってきたのでしょう?」
だから諦めないでくださいと、天霧は言った。
「諦めない、か」
いつから諦めない事を諦めるようになったのだろう。
(私は、何の為にここに……)
一つの行事が、終わった。
一年の中でたくさんある行事の内、一つめが終わりひとまずホッとする。
体育祭は二学期から。そしてその後は文化祭。
一番大変なのは文化祭だろう。多忙なのは天霧から聞いた。
(文化祭が終わる頃には私死んでいるんじゃないだろうか)
今からその心配をするとフッと目が遠くなる。
「……やめだやめ。先のことは後で考えよう」
とりあえず後片付けも終わったことだし、教室に戻ろう。
「お疲れ様です。クラスの方達も待っているでしょう」
「どうでしょう……」
皆疲れているし、さっさと帰っている様な気もするが。
足首を庇いながら教室へ戻る。
他の教室からはちらほらと帰っていく生徒がいる。
やはり皆帰ったのだろう。ガラリと自分のクラスの教室の扉を開ける。
「おう、やっと帰ってきたな」
「咲良ちゃんお疲れ様」
「お疲れ様です!!」
開けた瞬間パチパチと拍手が鳴り響いた。
(え? え?)
何のことか分からず呆気にとられる。
「こいつらが如月が帰ってくるまで待ちたいって言い出してな。せっかく優勝したんだ、全員で祝いたいだろう」
「……わざわざ、待っていたんですか」
なんとも言えない感情が、胸からこみ上げてくる。
「咲良ちゃん、土方先生が優勝祝いにってお菓子とジュース買ってきてくれたんだよ。皆で食べよう」
「せんせー、あざっす!」
「乾杯しようぜ!」
机をいくつか並べ、その上にはたくさんのお菓子とジュースが置かれている。
これを土方が。
「……先生、ありがとうございます」
「ああ。ほら、さっさと食え食え」
「先生、乾杯の音頭とらなきゃ!」
「挨拶お願いします!」
そう言われると土方は少し面倒そうな表情になった。こういった場で挨拶をするのは苦手なのだろうか。
「かたっくるしいのは苦手でな。簡単にいくぞ。おまえら今日はよく頑張った。乾杯!」
かんぱーい! と元気な声が教室の中で響く。
咲良も小さく乾杯、といいジュースを飲む。
(この学校に入って良かったのかは、まだ分からないけど)
「……楽しいね、千鶴ちゃん」
「……! うん、楽しかったね!」
千鶴は嬉しそうに微笑む。
「やっと馴染めたか」
男子生徒が咲良や千鶴に話しかけている様子を見て、土方はホッとする。
一時はどうなるかと思ったが、これはこれでいい。
冷めた顔をしているより、今のように少し戸惑いながらも笑っている方が似合っていた。
リーダーが真ん中でトロフィーを持ち、決勝戦に出ていたメンバーが中心に集まる。
「皆さん、準備はいいですか」
三、二、一と天霧の声と共にシャッターが切られる。
勝ったのは。
「咲良さん、優勝おめでとうございます」
「私は何もしていませんから」
優勝したクラスの写真撮影の後、生徒会には机やら得点板やらの後片付けが残っている。
あれだけ皆で練習したのに、終わるのはあっという間だ。
「でも、楽しかったでしょう?」
「……そうかもしれません」
中学の時には味わえなかった、この感覚。
そうか、これは楽しいというのか。
「学校にいる間は、家の事を忘れていいと思います。咲良さんはまだ高校生なのですから」
「でも、私は」
高校を出れば、咲良の自由は完全になくなる。
後三年も残っている戸考えるべきか、三年しかないと考えるべきか。
「大丈夫です。そのためにこの学校に入ってきたのでしょう?」
だから諦めないでくださいと、天霧は言った。
「諦めない、か」
いつから諦めない事を諦めるようになったのだろう。
(私は、何の為にここに……)
一つの行事が、終わった。
一年の中でたくさんある行事の内、一つめが終わりひとまずホッとする。
体育祭は二学期から。そしてその後は文化祭。
一番大変なのは文化祭だろう。多忙なのは天霧から聞いた。
(文化祭が終わる頃には私死んでいるんじゃないだろうか)
今からその心配をするとフッと目が遠くなる。
「……やめだやめ。先のことは後で考えよう」
とりあえず後片付けも終わったことだし、教室に戻ろう。
「お疲れ様です。クラスの方達も待っているでしょう」
「どうでしょう……」
皆疲れているし、さっさと帰っている様な気もするが。
足首を庇いながら教室へ戻る。
他の教室からはちらほらと帰っていく生徒がいる。
やはり皆帰ったのだろう。ガラリと自分のクラスの教室の扉を開ける。
「おう、やっと帰ってきたな」
「咲良ちゃんお疲れ様」
「お疲れ様です!!」
開けた瞬間パチパチと拍手が鳴り響いた。
(え? え?)
何のことか分からず呆気にとられる。
「こいつらが如月が帰ってくるまで待ちたいって言い出してな。せっかく優勝したんだ、全員で祝いたいだろう」
「……わざわざ、待っていたんですか」
なんとも言えない感情が、胸からこみ上げてくる。
「咲良ちゃん、土方先生が優勝祝いにってお菓子とジュース買ってきてくれたんだよ。皆で食べよう」
「せんせー、あざっす!」
「乾杯しようぜ!」
机をいくつか並べ、その上にはたくさんのお菓子とジュースが置かれている。
これを土方が。
「……先生、ありがとうございます」
「ああ。ほら、さっさと食え食え」
「先生、乾杯の音頭とらなきゃ!」
「挨拶お願いします!」
そう言われると土方は少し面倒そうな表情になった。こういった場で挨拶をするのは苦手なのだろうか。
「かたっくるしいのは苦手でな。簡単にいくぞ。おまえら今日はよく頑張った。乾杯!」
かんぱーい! と元気な声が教室の中で響く。
咲良も小さく乾杯、といいジュースを飲む。
(この学校に入って良かったのかは、まだ分からないけど)
「……楽しいね、千鶴ちゃん」
「……! うん、楽しかったね!」
千鶴は嬉しそうに微笑む。
「やっと馴染めたか」
男子生徒が咲良や千鶴に話しかけている様子を見て、土方はホッとする。
一時はどうなるかと思ったが、これはこれでいい。
冷めた顔をしているより、今のように少し戸惑いながらも笑っている方が似合っていた。
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