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プロローグ

 「うわ、すっげー!見ろよあれ」

少年がそう叫んで指さした先には、巨大な、黒い塊があった。

「空母化でマスコミが騒ぎ立てるのも少しわかる気がするわぁ」

 そう、これは海上自衛隊最大の護衛艦、「いずも」。夏休みを利用して中学一年生の仲良しグループ6人で、その一般公開に訪れている。

「私も護衛艦なんて見るの初めてだよ」

グループメンバーの一人、美月が呟く。

「しかも、海自一の大きさ、全長248mだっていうもん」

「流石美月。ミリオタだな」

なんでそんなん覚えてるんだよ、と笑う歩夢。普段から真面目な彼も、興奮を隠せないようだった。

「あれってでかいエレベーターあるんだよな?」

はしゃぐスポーツマンショートの少年、正樹が言う。

「ああ聞いた聞いた!乗るの楽しみ!」

それに共感を示す慶太。

「ほんと、そういうの好きだよなお前ら」

ゲラゲラ笑い、話に加わる真人。

「ブキだってこういうやつ興奮するでしょう」

真人をあだ名呼びして言い返す莉奈。
 6人はいつも一緒だった。
 簡単な荷物検査を過ぎ、艦に乗る。ちょうどエレベーターが上昇するところであり、艦内が一気にどよめいた。これほどの重さのものをどうして持ち上げることができるのか、と歩夢は疑問を抱く。

「次、俺たちも乗るぞ」

考えこむうちに、いつのまにかエレベーターが下降していた。乗組員に誘導されて乗りこみ、しばらく待つと、広い床が再び上昇する。

「こんなに重いのを動かせるなんて。やっぱり強度があるんだな」

 エレベーターを降り、甲板を歩いていると、真人が話題を切り出す。

「そういえばさ、歩夢のお父さんって自衛隊関係の仕事してるんだっけ」
「普段は会社勤めだけど?」

「もしかして予備自衛官?」

あーそうそう、と頷く歩夢。そんなこと気にしたことも無かった。ネットでたまに見る、極端な思考の教師が担任に当たったことはないので、馬鹿にされることもない。かと言って、「すごい」と言われたことも無い。でも、自衛隊イベントで言われると何故か考えさせられる。

「夏休みの自主勉、自衛隊にしようかな」

「いいんじゃない?調べものでもいいっぽいし」

「日本を守ってくれる人たちだもの」

そういうと、莉奈はデジカメを取り出し、目線の先にある日章旗を写した。

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