20日目:この世でただ一人だけ(隼海)
ゆっくりと意識を浮上させた海は目を開き、ふわぁとあくびをする。
何時なのだろうかとごそごそと枕もとを探って携帯電話を握る。電源を入れるとそこに表示された時間は起きようと思っていた時間より二時間も早い。
「うわ~もうひと眠りするかぁ」
そう小さく呟いて寝返りを打つと、白い頭が視界いっぱいに広がった。
その美しい寝顔に海は思わず見惚れる。
隼はいつも綺麗だ。何をしていても優雅で美しい。始の事を語っている時のテンションは異常だが、そんな時でも隼は綺麗だと海は思う。
「……絶対言ってやんないけどな」
海はふふっと笑って、手を伸ばし隼の髪を触った。指の間からさらり流れ落ちる髪を何度も拾って触る。
好きなように髪を弄んでも隼は全く起きる気配が無い。
ならばと海は顔を近づける。隼の寝息が先程よりもはっきりと聞こえてきた。
二人きりの部屋なのに海は周りを確認して、誰も見ていないことを確認してから隼の唇にキスをした。
ちゅっと小さなリップ音が静かな部屋に響く。
「…………大胆だねぇ、かぁい」
唇を離してすぐ隼から視線をそらした海の耳に、聞こえないはずの声が聞こえる。
ばっと海が視線を戻すと、微笑む魔王様の姿がそこにはあった。
「え、あ、なんで、」
「おはよう。っていつもより早いけど」
「は、お前いつから起きてたの」
「ん~、海が髪を触り始めた時かな」
ということは海が顔を近づけた時にはすでに隼は起きていたのか。海は自分の行動を振り返り顔を真っ赤にする。
そんな海の姿を見て、隼は楽し気に笑う。
「ふふふ、海が僕の寝こみを襲うなんてね」
「あ~……もう本当嫌だ……」
顔を俯かせる海の顎を隼は掴み、自分の方に顔を寄せる。
近づいた顔にそのまま唇を重ね合わせた。
深く深く海の中に潜るように、息をするのも忘れて互いの唇を求めあう。
「んっふ……ぁ」
苦しくなった海が唇を離すと、銀色の糸が二人の間を繋ぐ。美しくて妖艶な糸はすぐに切れてしまう。
もう一度と海が隼を見ると、隼の目は熱に煽られていた。
「海」
「ん……?」
「僕をこんな風に煽るの、海だけだよ」
「へ? それどういう意味、っ」
海が言い切る前に隼はもう一度その唇を塞いだ。
今度は歯列をなぞり、海の口内を侵していく。それと同時に隼は海の胸にも手を伸ばした。
海が危機感を抱くも時すでに遅く。隼が唇を離し、舌なめずりをする。
「まだ時間があるし、海のこと食べてもいいよね?」
「……っ、いいよ。その代わり残さず食べてくれ」
「もちろん」
隼はくすりと笑って、海の鎖骨にキスマークを落とした。
何時なのだろうかとごそごそと枕もとを探って携帯電話を握る。電源を入れるとそこに表示された時間は起きようと思っていた時間より二時間も早い。
「うわ~もうひと眠りするかぁ」
そう小さく呟いて寝返りを打つと、白い頭が視界いっぱいに広がった。
その美しい寝顔に海は思わず見惚れる。
隼はいつも綺麗だ。何をしていても優雅で美しい。始の事を語っている時のテンションは異常だが、そんな時でも隼は綺麗だと海は思う。
「……絶対言ってやんないけどな」
海はふふっと笑って、手を伸ばし隼の髪を触った。指の間からさらり流れ落ちる髪を何度も拾って触る。
好きなように髪を弄んでも隼は全く起きる気配が無い。
ならばと海は顔を近づける。隼の寝息が先程よりもはっきりと聞こえてきた。
二人きりの部屋なのに海は周りを確認して、誰も見ていないことを確認してから隼の唇にキスをした。
ちゅっと小さなリップ音が静かな部屋に響く。
「…………大胆だねぇ、かぁい」
唇を離してすぐ隼から視線をそらした海の耳に、聞こえないはずの声が聞こえる。
ばっと海が視線を戻すと、微笑む魔王様の姿がそこにはあった。
「え、あ、なんで、」
「おはよう。っていつもより早いけど」
「は、お前いつから起きてたの」
「ん~、海が髪を触り始めた時かな」
ということは海が顔を近づけた時にはすでに隼は起きていたのか。海は自分の行動を振り返り顔を真っ赤にする。
そんな海の姿を見て、隼は楽し気に笑う。
「ふふふ、海が僕の寝こみを襲うなんてね」
「あ~……もう本当嫌だ……」
顔を俯かせる海の顎を隼は掴み、自分の方に顔を寄せる。
近づいた顔にそのまま唇を重ね合わせた。
深く深く海の中に潜るように、息をするのも忘れて互いの唇を求めあう。
「んっふ……ぁ」
苦しくなった海が唇を離すと、銀色の糸が二人の間を繋ぐ。美しくて妖艶な糸はすぐに切れてしまう。
もう一度と海が隼を見ると、隼の目は熱に煽られていた。
「海」
「ん……?」
「僕をこんな風に煽るの、海だけだよ」
「へ? それどういう意味、っ」
海が言い切る前に隼はもう一度その唇を塞いだ。
今度は歯列をなぞり、海の口内を侵していく。それと同時に隼は海の胸にも手を伸ばした。
海が危機感を抱くも時すでに遅く。隼が唇を離し、舌なめずりをする。
「まだ時間があるし、海のこと食べてもいいよね?」
「……っ、いいよ。その代わり残さず食べてくれ」
「もちろん」
隼はくすりと笑って、海の鎖骨にキスマークを落とした。