日付の変わった遅く、組織の仕事を終えた僕は彼女と住まう家に帰ってきた。


「ただいま」


と声をかけるが、日付も変わってるしもう寝てるのだろうと思い寝室を覗く。が…


「(いない…あぁそう言えば…)」


彼女は今日会社の飲み会があると言っていた事を思い出す。
にしてももう深夜も回った時間。
二次会にでも連れて行かれたのだろうとは簡単に予想はつくがここまで遅いのは付き合って初めてのような気がする。


時間も時間だしと唯月の番号をスマホからかける。


すると案外すぐに近くから「はぁーい、透さぁん？」
と声がする。
と同時にガチャと今しがた自分が帰ってきた玄関の鍵が回される音がした。


「もしもーし…とーるさんー？」


彼女は僕が家からかけていることに気づいてないのだろう。
間の抜けた声が僕の名を呼びながら近づいてくる。


「唯月…こんな時間まで何をしていたんですか？」

「…あ、透、しゃん？」


互いに受話口を耳に当てながら向かい合う形で再会する。

唖然とする唯月とやや頬が引き攣る感じがした僕。


ほんのりと赤くなった頬と回っていない呂律。
僕を見て姿勢を正したつもりだったのかややふらついてる唯月を見やる。


「もう一度聞く。こんな時間まで何をしてたんだ？」

「飲み会行ってなかなか帰してもらえませんでした。ごめんなさい」


素直に謝る彼女。酔いが覚めたのか。
しゅんと項垂れてる唯月は可愛いが如何せん時間も時間だ。
夜中の女性のひとり歩きを放っておくほど僕の心は広くない。


「飲み会に行くのは付き合いもあるから仕方ないと踏んでいた。だが…」

「(ビクッ)きゃわっ…！」


唯月になにかあったらと思うと気が気でなくなりそうだ。
そう思いながら彼女に近付きグイッと手を引き僕の胸におさめ強く抱きしてる


「終わったら連絡してくれないか？
夜道の一人歩きは俺が心配なんだ……」

「透、くん……うん、ごめんなさい。
今度から終わったらすぐに連絡するね」


そっと背中に回された手に力が入るのが分かった。
そのまま唯月は顔を上げて僕を見上げもう一度ゴメンね。と謝った。
そんな上目遣いと酒が入ってるのか微かに潤んだ瞳で見つめられれば僕は寄せられるようにそっと彼女の唇に自分の唇を重ねた。


啄むようなキスをいくつかしてから離れ僕はそのまま彼女を横抱きにし寝室を目指す。


「と、透くん？！」

「僕を心配させたお仕置きです。
今日は寝かせてあげられませんね、あぁ確か明日は休みだから大丈夫ですね。」


ベッドへと押し倒す形で唯月を下ろしそんな言葉を交わすと宣言通りに彼女を抱き先に力尽きたのは彼女の方だった。

次に目を覚ました時に彼女はちゃんと夜中のことを覚えていたから飲み会での約束事をしたのだった。

以降彼女は飲み会の時は僕の迎えを待っててくれるようになったとか。