DC(短編)
ジリジリと焼き付くような暑さ。
必要最低限と趣味の詰まった狭いアパートに私は今何故か暑さとは別の汗が流れている。
「……」
「……(なに?透さんなんかすっごく怒ってるんだけど。怒ってるのわかってるんだけど理由がまったく思いつかない!!)」
ポアロの店員であり人気ある透さんこと安室透と付き合っている私。
本来ならばこんなやっすい(ボロ)アパートに住んでる私と私立探偵とポアロのバイトをかけもちしていて尚且ついつも小奇麗な服と高級な車を併せ持つ目の前にいる透さんとは接点があれど付き合っているなんて天地がひっくり返ってもないことだと思っていたんだけど…ひょんなことから透さんから私に告白してきて(私はポアロに通う透さんのいちファンでしかなかったのだが)あれよあれよいう間に(いいくるまれて?)付き合って数ヶ月が経つ。
にしても暑い…いや、でも目の前にいる透さんはこの暑さと反対にとっても冷たい目をしてジッと穴が開くほどに私をみている。
「あ、の……」
事の経緯は…そう長くはない。
今日は休日であり家でのんびりと過ごそうかどうしようと考えていたところに来訪を知らせるチャイムがなり開ければそこには透さん。
最初こそ「こんにちは」といつもポアロでも見る笑顔を見せて挨拶をしてくれたのだがその後からキッと鋭く見つめられて今に至る。
そしてそれは雰囲気から察するに何かに怒っているのだがその理由がまったく思い浮かばないのである。
さらに言えば私の今の格好はハーフパンツにラフなTシャツで玄関を開けたままの体勢というなんとも形容しがたい姿だ。
「ぅわっ!」
そう思っていたら急にドアを開けている手を掴まれ透さんに引き寄せられる。
不意なことに女性らしい声もあったもんじゃない。
急なことに目の前には見た目にはわからないが透さんのたくましい胸板。
それにドキドキとしていると透さんの私を掴んでいない方の手が首にかけられる。
「これ。誰に付けられたんですか…」
「こ、これ…??」
いつもより冷たいような低い声で言われちょっと恐怖を感じながらも
一体なんのことだ?と触られている首筋にくすぐったさと痒みを覚える。
「あなたにはぼく以外の人がいたということですか…」
「は?ちょ、ちょっと待って透さん!本当になんのこと…」
「しらばっくれるんですか?鏡でも見てきたらどうですか?」
全く検討もつかない私は彼の言うとおりアパートに入り(その間に透さんも入ってきた)
洗面所にある鏡で彼のいう鏡を見てみた。
「……(た、確かに赤い…けどこれって…)」
「…で、誰なんです……」
「ひゃ!」
透さんに言われた通りに鏡を覗けば確かにその首筋にキスマークのような赤いアザがある。
急に鏡越しに後ろから現れた透さんが後ろから抱きつかれそれでいて耳元で囁かれる。
ぐっとお腹に回された腕に力がこもるのがわかった。
「……ぷっ…」
「…何がおかしいんですか…僕は真剣に…」
あまりにも単純でいてでもそれを勘違いしている透さんが可愛くて嬉しくて思わず吹いてしまった。
「クスクス…だって、透さん……ふふっ…」
「だからなんなんですか…」
訝しげな表情をする透さんにそろそろ言ってあげないとこの先が怖いから伝える。
「これ、蚊ですよ」
「蚊…?」
「はい、昨日の夜寝るときに飛んでいましたから。いつのまにか刺されたんですよ。意識したら痒くなってきた…」
鏡越しに見える透さんの表情はまさにキョトンとしていた。
それとは反対に言われてしまえば意識せざるを得なくなった私は赤くなっているそこを掻く。
でもこれを透さんは“誰かに付けられたキスマーク”と勘違いして尚且つ嫉妬したんだって思うと嬉しい半面別の意味でもむず痒い。
あの頭の切れる私立探偵をしている安室さんでもこんな勘違いをするってことは私は愛されてるって自惚れてしまう。
今の彼に当てる言葉があるとするならばそれはきっと“恋は盲目”だ。
普段の彼ならばこんなこと直ぐに見破れそうなものをそれを他の男の人からのものと勘違いするくらいなのだから…。
「ひゃっ!」
「ん…」
「ちょ…透、さん?////」
ふいに首筋…それもさっき透さんが指摘した蚊に刺された赤っくなっているところに唇と寄せて吸い付かれた。
数秒だったそれは長く感じられて離れ間際にそこをさらに透さんの舌がペロッと舐めた。
アパートの私の部屋であるため今いるのは私と透さんの二人だけだと分かっているけども顔に熱が集まるのが分かる。
これは夏の暑さだけじゃないって。
「な、にするんですか…////」
「例え蚊だとしても貴方の体に何らかの跡が残ることが許せなかった…それだけですよ…」
加えて“消毒です”と言って今度は私の肩に持たれるように顔をおいた透さん。
その腕にはやっぱり力がこもっていて鏡でみる表情はなんら変わらないけれども、でも私は気付いた。
勘違いだってわかって恥ずかしかったのか透さんの耳がほんのり赤く染まっていることに。
それに密着していたやっぱり暑いと思ったけどもそれよりも今感じる温もりがそんな厚さなんて吹き飛ばしてしまった。
そんな夏のある日だった。
必要最低限と趣味の詰まった狭いアパートに私は今何故か暑さとは別の汗が流れている。
「……」
「……(なに?透さんなんかすっごく怒ってるんだけど。怒ってるのわかってるんだけど理由がまったく思いつかない!!)」
ポアロの店員であり人気ある透さんこと安室透と付き合っている私。
本来ならばこんなやっすい(ボロ)アパートに住んでる私と私立探偵とポアロのバイトをかけもちしていて尚且ついつも小奇麗な服と高級な車を併せ持つ目の前にいる透さんとは接点があれど付き合っているなんて天地がひっくり返ってもないことだと思っていたんだけど…ひょんなことから透さんから私に告白してきて(私はポアロに通う透さんのいちファンでしかなかったのだが)あれよあれよいう間に(いいくるまれて?)付き合って数ヶ月が経つ。
にしても暑い…いや、でも目の前にいる透さんはこの暑さと反対にとっても冷たい目をしてジッと穴が開くほどに私をみている。
「あ、の……」
事の経緯は…そう長くはない。
今日は休日であり家でのんびりと過ごそうかどうしようと考えていたところに来訪を知らせるチャイムがなり開ければそこには透さん。
最初こそ「こんにちは」といつもポアロでも見る笑顔を見せて挨拶をしてくれたのだがその後からキッと鋭く見つめられて今に至る。
そしてそれは雰囲気から察するに何かに怒っているのだがその理由がまったく思い浮かばないのである。
さらに言えば私の今の格好はハーフパンツにラフなTシャツで玄関を開けたままの体勢というなんとも形容しがたい姿だ。
「ぅわっ!」
そう思っていたら急にドアを開けている手を掴まれ透さんに引き寄せられる。
不意なことに女性らしい声もあったもんじゃない。
急なことに目の前には見た目にはわからないが透さんのたくましい胸板。
それにドキドキとしていると透さんの私を掴んでいない方の手が首にかけられる。
「これ。誰に付けられたんですか…」
「こ、これ…??」
いつもより冷たいような低い声で言われちょっと恐怖を感じながらも
一体なんのことだ?と触られている首筋にくすぐったさと痒みを覚える。
「あなたにはぼく以外の人がいたということですか…」
「は?ちょ、ちょっと待って透さん!本当になんのこと…」
「しらばっくれるんですか?鏡でも見てきたらどうですか?」
全く検討もつかない私は彼の言うとおりアパートに入り(その間に透さんも入ってきた)
洗面所にある鏡で彼のいう鏡を見てみた。
「……(た、確かに赤い…けどこれって…)」
「…で、誰なんです……」
「ひゃ!」
透さんに言われた通りに鏡を覗けば確かにその首筋にキスマークのような赤いアザがある。
急に鏡越しに後ろから現れた透さんが後ろから抱きつかれそれでいて耳元で囁かれる。
ぐっとお腹に回された腕に力がこもるのがわかった。
「……ぷっ…」
「…何がおかしいんですか…僕は真剣に…」
あまりにも単純でいてでもそれを勘違いしている透さんが可愛くて嬉しくて思わず吹いてしまった。
「クスクス…だって、透さん……ふふっ…」
「だからなんなんですか…」
訝しげな表情をする透さんにそろそろ言ってあげないとこの先が怖いから伝える。
「これ、蚊ですよ」
「蚊…?」
「はい、昨日の夜寝るときに飛んでいましたから。いつのまにか刺されたんですよ。意識したら痒くなってきた…」
鏡越しに見える透さんの表情はまさにキョトンとしていた。
それとは反対に言われてしまえば意識せざるを得なくなった私は赤くなっているそこを掻く。
でもこれを透さんは“誰かに付けられたキスマーク”と勘違いして尚且つ嫉妬したんだって思うと嬉しい半面別の意味でもむず痒い。
あの頭の切れる私立探偵をしている安室さんでもこんな勘違いをするってことは私は愛されてるって自惚れてしまう。
今の彼に当てる言葉があるとするならばそれはきっと“恋は盲目”だ。
普段の彼ならばこんなこと直ぐに見破れそうなものをそれを他の男の人からのものと勘違いするくらいなのだから…。
「ひゃっ!」
「ん…」
「ちょ…透、さん?////」
ふいに首筋…それもさっき透さんが指摘した蚊に刺された赤っくなっているところに唇と寄せて吸い付かれた。
数秒だったそれは長く感じられて離れ間際にそこをさらに透さんの舌がペロッと舐めた。
アパートの私の部屋であるため今いるのは私と透さんの二人だけだと分かっているけども顔に熱が集まるのが分かる。
これは夏の暑さだけじゃないって。
「な、にするんですか…////」
「例え蚊だとしても貴方の体に何らかの跡が残ることが許せなかった…それだけですよ…」
加えて“消毒です”と言って今度は私の肩に持たれるように顔をおいた透さん。
その腕にはやっぱり力がこもっていて鏡でみる表情はなんら変わらないけれども、でも私は気付いた。
勘違いだってわかって恥ずかしかったのか透さんの耳がほんのり赤く染まっていることに。
それに密着していたやっぱり暑いと思ったけどもそれよりも今感じる温もりがそんな厚さなんて吹き飛ばしてしまった。
そんな夏のある日だった。
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