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寒くなってきた十一月、私はアパートのドアを開けると誰も居ない部屋に向かってただいまと呟く。
部屋は暗く、寒く、明かりをつけて靴を脱いで、次にする事は暖房をつける事だ。
最近、工事現場の仕事が忙しいカイジさんは夜に出勤して早朝に帰ってくる。
私はカイジさんが帰ってくる前に出社して、カイジさんが出社後に帰宅するから、最近彼とあまり一緒にいられない。
今日も、カイジさんと過ごせる時間は無さそうだ。
メールをしても、私も彼も仕事中か就寝中の為、一日一件くらいのやり取り。
夕飯を作り、シャワーを浴びて、いつものように眠りにつく。
カイジさんからのメールは一日前で、彼の仕事が忙しくなったのは三週間前の事。
三週間、会えてない。おはようとおやすみと、少しの会話だけを交わしただけだ。
そう考えるとなんだか切なくて、寂しくて。
彼が仕事で忙しいのは分かっているけれど、甘えたくて、会いたくて、抱きしめてほしくて、抱きしめたくて、触れ合いたい。
彼のゴツゴツとした、傷だらけの優しい手。太陽のように明るい笑顔。笑うと垂れる目元、ちょっとゴワゴワした黒い髪。
物寂しくて、肌寒いので、私はカイジさんが普段使っている布団を広げて体を丸めて潜り込む。
一緒に暮らしているはずなのに、私と彼の匂いは不思議と違う。少し、煙草の匂いが染み付いている。
まるで、カイジさんに抱きしめられているみたいだ。
「会いたいなぁ、カイジさん」
布団に包まりぬくぬくとしていると、眠気が襲ってきて私はそのまま彼の布団で眠りについた。
ふと、目が覚めたのは布団とは違う温かさを感じたから。
何かが頬に触れている。これは、指だ。
それから抱きしめられているからか、とても温かくて、心地よい。
「カイジ……さん?」
「名前」
優しいカイジさんの声、これは夢なのだろうか。夢ならば──どうか、覚めないでほしい。
「カイジさん……すき、すき……」
溶けていく意識の中、私は彼への想いをたどたどしく言葉にした。
目が覚めると、がっしりとした腕が私の体を抱き込んでいた。背後には密着した私よりも大きな体が密着していて、寝息を立てている。
大好きな体温、大好きな匂い──カイジさんだ。
「……カイジ、さん?」
「ん、おはよ…… 名前」
少し掠れた彼の声が私の鼓膜に響く。この声が、私は好きだ。
「おはよう、それからおかえり。お仕事は?」
「ん、ただいま。……仕事は昨日早めに終わったから帰ってきた」
「そっか」
そう返事をして、私は彼の腕に手を重ねた。優しい武骨なその腕を愛撫すると、彼の抱きしめる力がほんの少し強くなる。
「……夢かと思った」
そう呟くと、カイジさんは私の項に顔を埋めてきた。
「夢じゃねえよ。……ごめんな、あんまり会えなくて」
「……寂しかった」
「みたいだな、俺の布団で寝てるし」
カイジさんに言われ、昨日は彼の布団の中で眠りについた事を思い出す。
「仕事落ち着いたからさ、今度美味いもんで食べてデートしような」
「デートもいいけど」
カイジさんは首を傾げる。私は彼の方に身体を向けると、ぎゅっと抱きつく。離れていた時間を埋めるように。
「今日は一日、こうしてたい」
「……うん、俺も」
彼の逞しい腕が私を包む。また睡魔がやってきて、私も彼も目を閉じる。
──カイジさん、好き。ううん、夢の中でも、リアルでも、愛してるの。
「カイジさん、愛してる」
眠る前にそう告げると、遠くで「俺もだ」と声が聞こえた。
部屋は暗く、寒く、明かりをつけて靴を脱いで、次にする事は暖房をつける事だ。
最近、工事現場の仕事が忙しいカイジさんは夜に出勤して早朝に帰ってくる。
私はカイジさんが帰ってくる前に出社して、カイジさんが出社後に帰宅するから、最近彼とあまり一緒にいられない。
今日も、カイジさんと過ごせる時間は無さそうだ。
メールをしても、私も彼も仕事中か就寝中の為、一日一件くらいのやり取り。
夕飯を作り、シャワーを浴びて、いつものように眠りにつく。
カイジさんからのメールは一日前で、彼の仕事が忙しくなったのは三週間前の事。
三週間、会えてない。おはようとおやすみと、少しの会話だけを交わしただけだ。
そう考えるとなんだか切なくて、寂しくて。
彼が仕事で忙しいのは分かっているけれど、甘えたくて、会いたくて、抱きしめてほしくて、抱きしめたくて、触れ合いたい。
彼のゴツゴツとした、傷だらけの優しい手。太陽のように明るい笑顔。笑うと垂れる目元、ちょっとゴワゴワした黒い髪。
物寂しくて、肌寒いので、私はカイジさんが普段使っている布団を広げて体を丸めて潜り込む。
一緒に暮らしているはずなのに、私と彼の匂いは不思議と違う。少し、煙草の匂いが染み付いている。
まるで、カイジさんに抱きしめられているみたいだ。
「会いたいなぁ、カイジさん」
布団に包まりぬくぬくとしていると、眠気が襲ってきて私はそのまま彼の布団で眠りについた。
ふと、目が覚めたのは布団とは違う温かさを感じたから。
何かが頬に触れている。これは、指だ。
それから抱きしめられているからか、とても温かくて、心地よい。
「カイジ……さん?」
「名前」
優しいカイジさんの声、これは夢なのだろうか。夢ならば──どうか、覚めないでほしい。
「カイジさん……すき、すき……」
溶けていく意識の中、私は彼への想いをたどたどしく言葉にした。
目が覚めると、がっしりとした腕が私の体を抱き込んでいた。背後には密着した私よりも大きな体が密着していて、寝息を立てている。
大好きな体温、大好きな匂い──カイジさんだ。
「……カイジ、さん?」
「ん、おはよ…… 名前」
少し掠れた彼の声が私の鼓膜に響く。この声が、私は好きだ。
「おはよう、それからおかえり。お仕事は?」
「ん、ただいま。……仕事は昨日早めに終わったから帰ってきた」
「そっか」
そう返事をして、私は彼の腕に手を重ねた。優しい武骨なその腕を愛撫すると、彼の抱きしめる力がほんの少し強くなる。
「……夢かと思った」
そう呟くと、カイジさんは私の項に顔を埋めてきた。
「夢じゃねえよ。……ごめんな、あんまり会えなくて」
「……寂しかった」
「みたいだな、俺の布団で寝てるし」
カイジさんに言われ、昨日は彼の布団の中で眠りについた事を思い出す。
「仕事落ち着いたからさ、今度美味いもんで食べてデートしような」
「デートもいいけど」
カイジさんは首を傾げる。私は彼の方に身体を向けると、ぎゅっと抱きつく。離れていた時間を埋めるように。
「今日は一日、こうしてたい」
「……うん、俺も」
彼の逞しい腕が私を包む。また睡魔がやってきて、私も彼も目を閉じる。
──カイジさん、好き。ううん、夢の中でも、リアルでも、愛してるの。
「カイジさん、愛してる」
眠る前にそう告げると、遠くで「俺もだ」と声が聞こえた。
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