過保護応援団
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菊&桃&海「「「!!」」」
河「あれって、」
不「…もしかして」
リョ「……………」
皆の視界の先には、ピョンピョンと必死にジャンプするりんの姿。
トップで辿り着いたまでは良かったのだが…身長のせいで、肝心なパンに届かないのだ。
『(…うう、あと、少しっ)』
本当にあと少しで届きそうなのに、なかなか上手くいかない。
りんが苦戦している間に、他の走者がパンに向かって全力疾走で走ってくる。
岳「…なんか」
忍「…わかるわ岳人」
岳&忍「「((保護者になったみたいだ・や))」」
それを見ている側はハラハラとしていて、青学だけじゃなく、氷帝までもが父親になった気分でいた。
跡「おい、あの棒を下げれないのか?」
さらっと発言する跡部は、きっとまだルールを理解していない。
桃「りん、特訓を思い出せ!!」
「「「(特訓て何)」」」
叫ぶ桃城に冷静にツッコんでいれば、りんは声のする方を見てコクンと頷いた。
タイミングをつけ、力いっぱいジャンプし…
次の瞬間、あんぱんにかじりついた。
他の生徒はりんより前を走っていたのに、突然ヒュッと風が通り過ぎる。
前を向くと、いつの間にかりんが自分達より先を走っていた。
『(ゴ、ゴール…?)』
ゴールのテープを切って、キョロキョロと周りを見渡してしまう。
あんぱんを加えたまま呼吸を調えていると…
りんの頭に、ふわっと大きな拳が置かれた。
跡「やればできるじゃねーの」
『あ、跡部さ…』
りんは少しだけ驚いた表情を見せたが、跡部に誉められたことが嬉しくて、だんだんと笑顔になっていく。
コクンと頷くりんの頭を、跡部はよしよしと言うように優しく撫でた。
忍「(…あれがしたかったんやなぁ)」
忍足は、先ほど跡部が見せた表情を思い出していた。
目を細め頭を撫でながら微かに微笑む彼は、決して保護者目線なんかじゃない。
恋をしていなければ。
あんなに優しい顔で笑わないだろう…
暫くじっと見守っていたが、忍足はふと顔を背けてしまった。
忍「(なんで俺が照れなアカンねん…)」
跡部にあんな顔をさせることが出来るのはりんだけで、まだ彼が想いを寄せていることも、忍足は知っている。
あんな顔を見せられてしまえば、りんが好きだと言っているようなものなのに。
一途な親友の恋心は、いつか彼女に届くだろうか。
芥「跡部ズルE~俺もりんちゃんの頭なでなでしたいっ!」
跡「な!//」
ジローの出現で自分がしている行動に気付いたのか、跡部は一瞬赤い顔をして手を離した。
そんなジローに、空気読めと忍足は思わず深い溜め息を溢したのだった。
午前の種目が全て終わり、ランチ休憩となった。
りんはモグモグとまるでハムスターのようにおむすびを頬に詰め込んでいる。
頬いっぱいにする理由は…このお弁当にあった。
リョーマが早起きして、菜々子と一緒にお弁当を作ってくれていたのだ。
先ほどその事実を知り、りんは感動のあまり泣きそうになった。
リョーマだけではなく、河村が自宅から寿司を運んできてくれたり、
菊丸が卵焼きを作ってきてくれたので、りんは頬張る結果になったのだ。
彼女を溺愛する白石なら、この姿にさえ可愛いと萌えてそうだが……
河「りんちゃん、沢山食べてね。親父と朝から気合い入れて作ったんだ」
『はい!』
菊「ねーねー俺の卵焼き美味しい?」
『はいっとっても美味しいです!』
忍「りんちゃん、こっちのも食べとる?」
『は、はい。頂きます…!』
跡部が用意させたご馳走は何処のホテル?と尋ねてしまうほど、豪華だった。
使用人達が周りを囲んでいるので、他の生徒達からは「何なんだろう」と思われていた。
リョ「はい、お茶」
『あ、ありがとうお兄ちゃんっ』
もうすぐで喉に詰まりそうなりんを見て、リョーマはお茶の入ったコップを差し出した。
無理に頬張らなくても…と小さな溜め息が溢れる。
『…あのね、お兄ちゃん』
リョ「?」
『え、えとね、』
りんはリョーマの服の裾をくいと掴むと、こっそりと小さな声で呟いた。
『お兄ちゃんが作ってくれたお弁当がね、一番美味しかったよ///』
リョーマは一瞬目を丸くして、照れながら微笑むりんを見つめる。
が、すぐにふいっと視線を逸らした。
リョ「……うん」
『ほ、本当だよっ』
リョ「わかった」
信じてくれてないのかと不安になって、何回も伝えるりんは、微かに顔の赤いリョーマに気付いていない。
そんな兄妹に対して…
海「…不二先輩、何してるんスか」
不「ふふ、」
カメラを楽しそうに構えた不二がいたのだった。
楽しい?昼食の後は、午後の競技が控えている。
りんも残すはリレーだけとなった。
『(き、緊張する…)』
同じレーンには男子も交えているので、元々小柄なりんと比べても、体格差が圧倒的だ。
それでも負けたくないと思うのは、あの負けず嫌いの越前リョーマの妹だからか…
赤組と白組の得点は同じくらいなので、このリレーが勝敗を分ける鍵となる。
暫くして…前の走者がスタートラインに立ち、走り出した。
岳「ジロー起きろ!りんのリレー始まったぞ!」
芥「…んー…」
昼間から寝ていたジローは、岳人に体を揺さぶられて重い瞼を微かに開けた。
ぼう…とする思考の中、りん、リレーと言う単語がこだまする。
芥「………はっリレー!りんちゃん頑張れ!」
岳「(ったく…)」
先ほどの徒競走とはレベルが違いすぎる。
それに心なしか、最後の種目であるからか…走者の雰囲気もピリピリして見える。
りんはアンカーにバトンを渡さなければならない、重要な役目。
『(きた!)』
微かに震える足を感じながら、バトンを受け取った。