過保護応援団
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岳「お~やってるやってる」
芥「うわぁ…何かわっくわくしてきたC!」
『が、がっくん?ジロちゃん!?』
小さな子供のようにキラキラ目を輝かせるジローは、やがてりんに気付くとだっと駆け出してきた。
芥「りんちゃーん!…わあっ」
が、ぐいっと襟首を掴まれ、ジローの体は後ろに引っ張られた。
皆はというと、その人物に又もや驚いていて…
跡「はしゃぎすぎだジロー」
芥「えーいいじゃん!」
忍「まぁこんだけ豪華な体育祭やし、気持ちもわからんでもないけどな」
海「跡部さん、忍足さんまで…」
跡部は眉間に皺を寄せ、むーと頬を膨らませるジローに溜め息を溢す。
呆然と立ち尽くす者達に気付くと、ふっと何処か口元を緩めた。
河「ええと、氷帝の皆がどうしてここに…?」
大「(ナイス隆さんっ)りんちゃんが誘ったの?」
『い、いえっ…あ、でもこの間、』
普段から仲良しの岳人とジローと一緒に遊んだ時、体育祭の話をしたことを思い出した。
忍「急に来てしもーて堪忍な。2人だけやと心配やし、」
岳「侑士、りんに会いたいとか言ってたじゃん」
忍「…岳人黙っとき」
少しだけ焦る忍足に、『え、えと…』と言葉を探すりん。
戸惑っている内に跡部と目が合った。
跡「…そういうことだ」
『!』
カアッと赤くなる頬を感じていると、「頑張って応援するC!」とジローがVサインをする。
こんなに幸せで良いのだろうかと、りんは泣きそうになるのをぐっと堪えた。
『ありがとう。すごく…嬉しい、です』
素直な気持ちを伝えれば、跡部と忍足も微笑み返してくれた。
精一杯頑張ろうと自分に活を入れ、背中を向けて駆け出したのだった。
雪「ちょ、ちょ、りん!」
『あ、雪ちゃんっごめんね遅れて』
何とか間に合ったりんは、列に並ぶ雪に引き留められた。
雪「何で跡部さん達がいるのよ!?」
『え、えと、応援してくれるみたいで…』
雪「何よそれぇー!」
「ノートとカメラ教室に置いて来ちゃったよ!」と嘆く雪に、そこ!?とツッコみたい気分になる。
「りん!誰か紹介してよっ」
『へ?でもさっきは応援団の人が良いって、』
「あんなのと比べもんになんないわよー」
「うわ、あの眼鏡の人かっこいいい」
先程までまるでジェットコースターに乗った時のように叫んでいたのに…この友人の切り替えの早さには驚く。
今度聞いてみると言うことで、何とか話は治まったのだった。
一方で、噂の的のこの人達は…
跡&忍「「はっくしゅ…っ」」
2人揃ってくしゃみをし、「?」と首を捻っていた。
河「あ、りんちゃんが走るみたいだよ」
乾「良いデータが取れそうだな」
大「不二、2レーン目にいる子」
不「うん、大丈夫」
MYカメラを持参し、大石の指す方向に向かって構える不二。
その姿は愛する娘の姿を撮る親にしか見えない。
海「……先輩」
そんな自分の先輩を見ながら、海堂は何処か遠い目をしていた。
菊「おチビ~見える?」
リョ「…見えるっス」
背が低い為人の影に隠れてしまっているリョーマに、悪戯っ子のように笑う菊丸。
リョーマはムッとしながらも、前を見据える。
桃「お、始まった!」
桃城の言葉と共にスタートの合図が響き、一斉に駆け出した。
芥「うわぁりんちゃんすごEー!」
岳「ダントツじゃん…」
りんは、1人だけ飛び抜けて遥か先を走っていた。
テニスに関しても女子テニス部と比べ物にならないくらいに、強い彼女。
運動神経は良いと感じていたが…
まさかここまでとは思っていなかったのだ。
走り終えたりんは、暫く乱れた息を調えるとくるっと振り向く。
そして感動している親(青学の皆)の元へ小走りで近付いて来た。
『せ、先輩先輩っ1位ですっ!』
少し興奮気味で、本当に嬉しいと伝わってきて。
桃「良かったな、りん!」
不「おめでとう」
『…はい!』
優しく微笑みながら皆に頭を撫でて貰い、りんは一層嬉しそうに頬を緩めた。
リョーマにも「おめでとう」と言って貰って、幸せ気分でいっぱいになる。
跡「…………」
忍「(…何か言いたそうやな)」
何も言わず、ただ喜ぶ彼女の姿を瞳に映している跡部に、忍足は肩を竦める。
やがて次の種目に行ってしまったりんの背中を、彼は暫し目で追っていた。
海「次は何だ?」
桃「りんが出るのは、次にパン食い競争…学年対抗リレーだな」
プログラムを一緒になって覗く2人は、珍しく喧嘩もせず物静かだ。
りんのことになると一致団結するらしい。
そうこうしている間にパン食い競争が始まった。
「位置についてー…」
掛け声と共に走り出す生徒達を目で追いながら、首を傾げている者がいた。
跡「おい、何でパンが吊るしてある?」
忍&岳「「((言うと思った…))」」
パン食い競争なのだから吊るされて当たり前なのだが、初めて見るだろう跡部には理解不能らしかった。
「見とればわかる」と言う忍足に眉を寄せながら監察していれば、ようやく主旨を理解した。
やがてりんの番になり、颯爽と誰よりも速く駆け出したように見えた。
……のだが、