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from:白石さん
sub:綺麗やな
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おおっ!めっちゃ綺麗やなー
朝からええもん見せてくれて、ほんまにおおきに。
幸せや。
うん。今度一緒に見に行こーな。
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『……………』
な、何度も何度も、携帯電話の画面を見つめてしまいます…!
朝、いつものように朝練に行くお兄ちゃんを見届けた後、お弁当を忘れて行ってしまったことに気付いて。
それを届けに駆け足で青学に向かう途中、近道に…と思っていつもと違う道に向かったら、綺麗なイチョウ並木を見付けた。
1人感動していると、真っ先に白石さんにも見せたいって思って……
白石さんからのメールを見返していると、自然と頬が緩んでしまう。
雪「りん~おはよ!!」
『は、はわわわ…!』
後ろからドンッと突進?されて、携帯が手から落ちそうになり慌ててキャッチした。
ほっと安心する私を見て「ごめんごめん」と笑う雪ちゃん。
雪「何?ニコニコしちゃって…白石さんからメール?」
『!な、何でわかるの?』
雪「…顔に書いてあるもん」
えええ!と思ってペタペタ頬を触ってみる。
雪ちゃんは可笑しそうに笑って私の隣で歩き出した。
雪「全く朝からラブラブなんだから。『早く会いたいです』とか『昨日は白石さんの夢見ました』とかでしょー?」
『そ、そんな恥ずかしいこと言わないよ!///』
「いーなぁ」と嘆く雪ちゃんの横で、私の顔はどんどん熱く上昇する。
冷ます為に勢い良く顔を横に振るい、慌てて別の話題を探した。
『雪ちゃんもご機嫌だね…?』
いつも明るいけど、今日は…いつにも増して元気いっぱいな気が…
私の問いに雪ちゃんはピタリと足を止め、「フフフ…」と俯きながら笑い出した。
雪「…とうとう、来たじゃない」
『?何が?』
もしかして、秋の学食のメニューのことかな?
確か今日から、炊き込みご飯になるんだよね。
雪ちゃんも楽しみだったんだね、と仲間がいたことを嬉しく思っていると、
雪「た・い・く・さ・い!!!」
『ふぇ!?』
大声で叫ばれて耳の中がキーンとなった。
近くにいた人達が一斉にこちらを見る。
『体育祭…?』
雪「そうよ!あと2週間後にあるじゃない!しかも今年は…今年は…」
ワナワナ震えだす雪ちゃんは、何て言うか…相当興奮してるみたい。
体育祭、去年は台風だったから中止になっちゃったんだよね。
走ったり体を動かすことが好きな私にとって、楽しみな行事だったりする。
雪「今年はねぇ、お「キャアアア!!」
突如響いた黄色い声。
雪ちゃんと一緒になって振り向けば、その横を1台のバイクが颯爽と通り過ぎた。
『(あ……)』
この学校にバイク通学してくる人物は1人しかいない。
やがて指定位置に止まると、その人はヘルメットを外し振り向いた。
要「おー、おはよ」
ニッコリと綺麗に微笑んだ要先生は、私の担任です。
23歳という若さ、おまけにモデルさんのような端正なルックスもあり、先生は新任してから1ヶ月も経たないうちに女子生徒の人気を集めた。
さっきの黄色い声は日常茶飯事なので、もう驚かないけれども…
雪「要せんせー!おはようございますっ今日もとてもかっこいいですね!」
要「おう、知ってるぞー」
光の速さで先生に近付く雪ちゃん。
は、速い…!
要「りん、はよ」
『おはようございます』
先生はニッと笑い私の頭に手を乗せ、ぽんぽんと撫でる。
いつもいつもこの動作をされるから、きっと先生の癖なんだと思う。
要「朝から元気だね雪ちゃんは」
雪「はい元気ですっ!てゆーか先生、私も呼び捨てにして下さいって言ってるじゃないですか!」
要「はいはい、ごめんね」
頬を膨らませる雪ちゃんに、少し困ったように笑う要先生。
時々、先生の笑った顔が何処か白石さんに似てるなぁと思うことがある。
体格とか全体の雰囲気とか…
要「体育祭?そういや後少しだったな」
雪「はいぃ!しかも、あの聖臨学院と一緒にやるんですよ!?」
盛り上がる2人の会話から取り残されていたけど、ん?と引っ掛かった。
『へ、聖臨学院?』
聖臨(せいりん)学院と言ったら、確か聖華女学院の兄弟校だったはず。
全寮制の男子校だっけ…
雪「え、りん知らないの?毎年、体育祭は共同でやることになってるんだよ!!」
『ええ!そうなの?』
初めて知った事実にポカンと口が開く。
同時に、雪ちゃんがそんなに楽しみにする理由がわかった。
要「体育祭実行委員は今日集まりだからな」
雪「はい!頑張ります!」
要「…言っとくけど合コンじゃないから」
要先生はふと気付いたように、「それから」と私の顔を見る。
要「りん足速いんだって?」
雪「りんスポーツ得意だもんね」
『はぇ?』
突然振られたので変な声を出してしまい、おまけに…2人の視線が痛い。
何だか嫌な予感がして、無意識に一歩後退りした。
要「じゃ、リレーの選手決定」
『……………!!』
呆然と固まる私の頭上から「放課後練習あるから」と降ってくる。
慌てて先生を見れば、まるで肯定しか許さないような、ニッコリと綺麗な笑みを浮かべていた。