桜の下で 前編
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菊「じゃあ、百人一首大会の始まり~!」
「「「おー!!」」」
何故か始まった百人一首大会。
皆で輪になり、菊丸は札を並べてゆく。
大「百人一首かぁ。英二、良くやるのか?」
菊「へ?んーん、初めて」
大「………」
では何故…と大石は疑問に感じて仕方がなかったが、楽しそうな菊丸を見れば言えなかった。
不「りんちゃん?どうかした?」
腕時計を見てそわそわしているりんに気付き、首を傾げる不二。
『あ、えと…白石さんと四天宝寺の皆さんが駅に着いたみたいで。迎えに行きたいんですけど、』
不「本当に?僕が代わりに行こうか」
『ありがとうございます!』
周りが盛り上がる中、りんもすっかり参加するような雰囲気に包まれていて。
性格上、抜けることは出来ないのだろう。
立ち上がる不二に、りんは感謝しつつ頭を下げた。
桃「何か優勝商品はないんスか?」
芥「じゃあさじゃあさ、両隣の人に愛してるって言って貰うのは!?」
両隣?と皆は勢い良く隣を見る。
鳳「あ、俺は宍戸さんですね」
宍「あ、ああ…」
桃「何だ?海堂かよ」
海「ぜってぇ勝つんじゃねーぞ」
ギャアギャアと色んな声が飛び散る中、りんはそっと隣を見る。
隣は…
リョ「…はぁ、」
うるさい先輩達を見て溜め息を吐くリョーマ。
大好きな兄に、愛してると言って貰える…と、りんの中の何かが目覚め始める。
ハッと気付き、慌てて反対側に座る人も見つめた。
『よ、宜しくお願いします…』
跡「…ああ」
何処かぎこちない会話を残し、百人一首大会は始まるのだった。
菊「いっくよー…ひさかたの~」
ひゅんと、一瞬の内に札が消えた。
『?あの、これですよね…?』
菊「う、うん」
驚く皆にも気付かず、りんは嬉しそうにニッコリと笑った。
気を取り直して…
菊「あさぼらけ~」
岳「お、これか『はい!』
岳人が手を伸ばす前に別の手が伸びて来て、一瞬の内に取られた。
岳「(……は、)」
「「「(はぇぇえ)」」」
可愛らしい声に似合わず、その激しい動きに一同目を点にする。
ここで、別の人物が動いた。
跡「…お前の持つ札、俺様のインサイトで見抜いてやるぜ」
これかぁ!と、跡部は華麗な手さばきでそれを弾き取る。
手「…お手つきだ、跡部」
跡「!!」
静かな手塚の声に、跡部は何も言わず次に回って来るのを待ったのだった。
が、その後の彼の追い返しは流石と言えた。
近くの札は勿論、遠くの札までもを弾き飛ばしていき…
対するりんも、負けじと札を自分のものにしていく。
『はい!』
跡「ほらよ!」
もう、二人の接戦だった。
リョ「熱くなりすぎ…」
忍「ちょ、落ち着きぃや二人共…」
息を乱す二人を止められるものは、誰もいない。
ただその対決を眺めるので精一杯で、気付いた時にはすべての札がなくなっていた。
菊「えーっと、結果は…跡部とりんの優勝~!」
二人の手札は同じ枚数で、優勝はりんと跡部になった。
菊「あれ、こういう時どうするの??」
岳「もう二人で言い合えば良くね?」
跡「『な!』」
岳人の提案に、りんは顔を真っ赤にする。
札を取ることに夢中になっていた為、肝心な商品?を忘れていた。
りんが戸惑っていると、トントンと肩を叩かれる。
『お兄ちゃん…』
振り向けば、自分を真剣な表情で見つめるリョーマの姿で。
リョ「…りん、愛してる」
『!!』
突然の愛の告白に、一気に周りが騒めき出した。
リョ「だって優勝商品でしょ?」
桃「あ、そういうことか…」
はははと笑う桃城に、リョーマは?マークを浮かべる。
どうもリョーマが言うと本気に聞こえるのだ。
りんは口をパクパクとさせて、恥ずかしそうに顔を俯かせた。
『わ、私も…愛してる///』
「「「(あれ、言うんだ…)」」」
小さくなって恥じらう姿は可愛らしいが、色んな意味で皆は心配になった。
菊「はいっじゃあ次は跡部ね~」
「どぞ!」と、マイク代わりにしていた木の枝を渡される。
跡部のもう隣に座るジローはすっかり夢の中で、提案者の癖に…と、心の中で軽く舌打ちをした。
跡部はゆっくり振り返り、りんと視線を合わせた。
跡「……愛してる」
『!』
その真っ直ぐな瞳を見て、りんは思わずドキンとする。
岳「(今絶対本気入ったな)」
鳳「(はい、入りましたね)」
忍「(入ったなぁ)」
そんな跡部を見て、頷く皆。
りんは暫く顔を赤く染めて戸惑っていたが、勇気を出して口を開けた。
『あ、えと…私も…///』
言葉を繋げようとしたけど、続かない。
突然脳裏に、あの人の顔が浮かんだのだ。
『……わ、私も…』
゙俺はりんちゃんと、こうして一緒におるだけで嬉しいから゙
そうだ
この言葉は、
あの人じゃなきゃ
跡「…りん」
跡部の声に、ハッとして体を揺らした。
『あ、えと…っ』
遊びなんだからと、りんは視線を合わせ大きく息を吸う。
自分が言わなければ、皆も困ってしまうから。
『私も…跡部さんのこと、あ、愛してます…っ』
緊張からか思いっきり叫んでしまい、跡部も少し目を見開いている。
が、その表情はりんに対してじゃなかった。
その視線をたどり、りんも後ろを振り向けば…
白「………」
何とも良いタイミングで、到着した白石。
暫くの沈黙の後…ぞわっと彼の背後から黒いオーラが飛び立った。
『(はゎわ…っ)』
この後のお花見が楽しいものになると思った人は、誰もいない。