愛結び
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
*りんside*
「…ぐ!」
突然伸びて来た拳により、男は地面に弾かれるように倒れた。
恐る恐る閉じていた目を開けると、誰かが私の前に立ち塞いでいた。
「Get out.(失せろ)」
その低い声にハッと気付いて、私は驚いてその人を見上げる。
「Do you want to die?(死にたいのか?)」
男達の顔は次第に青ざめていき、チッと舌打ちをすると去って行った。
『……クリス…?』
確かめるように名前を呼ぶと、その人はゆっくり振り向いた。
大きなサングラスを外し、ふっと口元を緩め…
ク「相変わらずだな、りん」
それは確かに幼なじみの姿で。
嬉しくて…気付いたらクリスに抱き付いていた。
『クリス…っ久しぶり!』
ク「お前、びっくりするから…」
ピョンピョン飛び跳ねる私に小さく溜め息を吐いて、ギュッと抱きしめ返してくれた。
「若頭、そろそろ行かないと…」
ク「あ゙?…空気読みやがれ」
クリスは不機嫌そうに眉を寄せると、私をゆっくり離した。
(今若頭って…)
クリスと話をするその人は、黒のスーツにサングラスをしていた。(暑くないのかな?)
良く見るとクリスも派手なYシャツを着ていて、上着をその人に預かって貰ってるようだった。
ク「俺はもうやることはやったんだ。後はお前らに任せる」
「そんな!御頭が何て言うか、」
ク「知るか。兎に角俺はもう休むから」
「早く行け」とクリスが一睨みすれば、その人は仕方なく車に乗り込んだ。
遠ざかる車をポカンと見つめる。
ク「悪いな、会合の帰りでバタバタしてて」
『う、ううん!』
ク「軽い仕事は押し付けてくんだよ、あの親父」
罰が悪そうに頭を掻くクリス。
仕事…とはマフィアのことで、大変なんだなぁと染々思った。
ク「りんは?旅行か何かか?」
『えと、合宿に来てるんだ』
ふと、ある考えが浮かんだ。
『そうだ!良かったら、クリスも跡部さんの別荘においでよっ』
ク「は?」
『だってお兄ちゃんにも会わせたいし…』
『それにね…』と下を向く。
首を傾げるクリスと視線を合わせ、
『久しぶりに会ったし、クリスに話したいこといっぱいあるんだっ』
そう言って微笑めば、クリスはすっと視線を逸らす。
顔を覆うように手を当てて、何かに堪えてるような…
ク「…お前もう喋るな」
『?う、うん』
暑さのせいで顔が赤いのかと思い、パタパタと手で団扇を作って、クリスの顔を冷やすのを手伝った。
日も暮れかけ、夕食の席は賑やかな声で溢れていた。
リョ「まだテニスしてるの?」
ク「当たり前じゃん。休日も毎日やってるって」
リョ「ふーん…まぁ俺の方が強いだろうけど」
ク「何?」
『お、落ち着いて2人共…』
バチバチと火花が散りそうになったので、慌てて2人の間に入った。
『ほ、ほらクリス、これも美味しいよっ』
ク「…ん」
『跡部さんの家のシェフが作ったんだって』
豪華な料理の数々は、フレンチやイタリアンで。
帰ったら私も作ってみようかな。
ク「そーいや、あいつは?」
『あいつ…?』
ク「お前の王子様」
首を傾げてたけど、ある人が頭に浮かびボンッと顔が熱くなった。
ク「付き合ってんだろ?」
『え!何で知って…』
ク「まだくっついてねぇの?」
本当にびっくりしたように目を丸くされて、私は顔を真っ赤にしながら首を小さく振った。
ク「白石だっけ、あいつりんにベタ惚れだったもんな」
『!そんなこと…ないよ』
きっと、嫌われてしまった。
呆れられてしまったから。
思わず頭が下がり、あの時白石さんに言われたことを思い出した。
ク「…上手くいってないのか?」
答えない私に、クリスは暫くしてポケットから何かを取り出した。
それを私の目の前にコトリと置く。
見れば小さな小瓶で、中にはピンク色の液体?が入っていた。
ク「飲め」
『ふぇ、』
すごい命令口調…!
ク「きっと、あいつも喜ぶから」
白石さんが、喜ぶ…?
ゴクリと唾を飲み、その小瓶を手に取った時、
菊「りん~俺も構ってよー」
『菊丸先輩!』
ガバァと後ろから抱き付いてきた菊丸先輩。
『はい、じゃああっち行きますね』
菊「本当??」
菊丸先輩はパアッと花が咲いたように笑い、私の腕を取り自分の席へと連れて行った。
その途中、何処の席にも白石さんの姿は見当たらなかった。