愛結び
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
午後からは各自オフとなり、皆は私服に着替え楽しみに体を弾ませていた。
赤「せんぱーい!ショッピングセンター近くにあるみたいっスよ」
丸「マジ?美味いもんたんまり食うぞぃ!!」
赤「よっしゃー!」
丸井と赤也はガッツポーズを取り、ダーッと走り去って行った。
真「通路は走るな!!」
柳「まぁ良いじゃないか、浮かれるのもわかる。
弦一郎は今日どうするんだ?」
真「…そうだな、ハレアカラ国立公園に興味がある」
柳「ならば俺も同行しよう。精市は…」
柳は周りを見渡してみるが、幸村の姿は何処にもなかった。
仁「柳生ー暑いなり」
柳生「暑いと言うなら少しは離れて下さい!」
コート付近を歩く柳生と、それに寄り掛かるようにして歩く仁王。
柳生「私は跡部くんのゴルフ場に行くんですからっ」
仁「…ここに来てもゴルフか」
仁王はパッと離れた。
日差しが苦手な彼にとっては、ゴルフなんてとてもしていられないらしい。
そんな仁王を見て、ハァと溜め息を吐く。
柳生「休むとこもあるみたいですよ。冷房完備で」
仁「……」
柳生「一緒に行きますか?」
コクッと頷いた仁王に、柳生は小さく笑った。
一方、りんは…なかなか出掛けることが出来なかった。
その理由は、
『あの、ごめんなさい。今日は行きたいところがあるので……』
本当に申し訳なさそうに何度も頭を下げる。
桑「いや、いいんだ…!俺も急に誘って悪かった」
ジャッカルは慌てて手を横に振り、肩を落として去って行った。
りんはその姿を見届けチクリと胸が痛む。
これで何人目だろう。
青学の皆を始め、何処かへ行こうと誘ってくる者が流れるようにやって来て。
それでもりんは、すべて断わっていた。
『…行かなきゃ』
ぽつりと呟き、丸くて可愛らしい麦わら帽子を被って部屋を出た。
幸「あれ、白石」
幸村が別荘を出ると、丁度出掛けるところだったのか、白石とバッタリ遭遇した。
白「幸村、」
幸「誰か待ってたの?」
近くの手すりに寄り掛かっていた白石は、「…いや」と呟き腰を離した。
白「何処か出掛けるん?」
幸「ああ。ケアナエ植物園に行こうかと思って」
白「ほんま?俺も行こうとしてたんや」
そこには食用、医療用植物が数多く揃えてあると聞いて、白石は行ってみたいと目星を付けていた。
幸「そっか、折角だから一緒に行こうよ」
白「はは、せやな」
その言葉に頷き、2人は同じ場所に向かって歩き始めた。
白石は一瞬だけ振り返りドアの方を見つめたが、すぐに背中を向けた。
桃「えーちぜん、そんな落ち込むなって」
リョ「…別に落ち込んでないっス」
大きな水槽の中で泳ぐエイをバックにして、桃城はリョーマの肩に手を置いた。
青学の皆は、マウイ島最大の水族館に来ている。
不「でも、1人で出掛けるなんて…りんちゃん大丈夫かな」
河「迷子になってないといいけど…」
この過保護発言にツッコむどころか、皆もうんうんと頷く。
特にリョーマは断わられるなんて微塵も思っていなかったので、ショックが大きかった。
菊「はぅわ~…大石、ラッコ、ラッコ!!」
心配で胃が痛い人達を余所に、水族館をエンジョイ中の菊丸。
大石は苦笑しながらも一緒になって眺める。
菊「りんにも見せたかったなー…」
大「……英二」
無邪気にはしゃいでいるが、彼も彼なりに心配している。
しゅんと落ち込む菊丸に、大石は「お土産買ってあげような」と優しく笑った。
カランコロンとお店を出ると音が鳴り、夏の日差しが容赦なく降り注ぐ。
りんは帽子を深く被り直して、今さっき買った小包みをキュッと抱え込んだ。
『(早く帰らなきゃっ)』
そう強く思い歩きだした時、ドンッと前から来た人とぶつかってしまった。
慌てて謝り顔を上げた瞬間、びくっとりんの体が揺れた。
「What is done!It is painful!(何すんだよ、痛えな)」
「See when prevenient and walk.(前見て歩け)」
がたいの良い男2人に睨まれ、りんはガタガタと震える。
ぶつかった拍子に男が持っていたジュースが零れ、服を汚してしまった。
『I′m sorry…(ごめんなさい)』
「This clothes high.Make amends.(この服高いんだよなー、弁償して貰おうか)」
男はそう言うと、パッとりんから帽子を取った。
顔が顕になった瞬間、その目は途端に見開かれる。
男達は顔を見合わせニヤッと口角を吊り上げた。
「Do you pay by the body?(体で払ってもいいぜ)」
『!ふぇ…』
腕を掴まれ、ぐっと体を近付けられる。
必死にその手を振り払おうと抵抗しても、力の差では勝てない。
『や…!』
過ぎ去る人々か、呆然とその光景を眺めている人々しかいない。
絶体絶命と思った、その時。