無人島
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*りんside*
練習は、朝食後すぐに始まった。
跡「そこ!ダッシュ遅れてんじゃねぇ!!」
全然眠ってないはずなのに、跡部さんはメンバー1人1人を指導していた。
その姿に申し訳なさを感じ、ボールの入った籠を持ちながらしゅんと頭が下がる。
『……わっ』
とぼとぼと下を向いて歩いていたら、前から来た人とぶつかってしまった。
慌てて謝り前を見ると、ドキンと心臓が跳ね上がる。
『白石さん…っ』
籠から落ちたボールを拾おうとすれば、白石さんの手が先に伸びて来て、それを拾ってくれた。
『あ、ありがとうございます』
籠に戻し、ニッコリと笑う白石さん。
でも…何処か雰囲気が違うような…?
思わずじっと見てしまっていると、白石さんはすっと私の髪をすくった。
『!』
その髪を引き寄せ、口付けようとする。
びっくりして身を引くのも忘れてしまっていると、
柳生「仁王くん、何してるんですか!」
柳生さんの声がコートから聞こえ、目の前の白石さん…仁王先輩は動きを止めた。
『仁王、先輩…?』
少しだけむくれたように、仁王先輩はカツラを取った。
「つまらんのぉ」と言いながら銀色の髪を掻き上げる。
『もしかしたらって思ってました。ちょっと雰囲気が違ったから』
仁「あいつはこういうこと、普通にするじゃろって思うて」
『そんな、白石さんはしませ……』
否定しようとしたのに、ピタッと言葉が途切れてしまう。
顔が無意識に熱くなり、仁王先輩はそんな私を見てニヤッと笑った。
仁「するんじゃな?」
『……た、たまに…///』
フシュウと音がしそうな程真っ赤になると、先輩は勝ち誇ったような顔をした。
仁「しかし…本当に好いとるんじゃな」
『?』
仁「俺の変身を見破るなんて相当ぜよ」
゙本当に好いとる゙
顔が同じでも、仕草や雰囲気ですぐにわかった。
それはきっと、いつも彼を見てるからで。
大好きだからで……
『…先輩、白石さん何処にいるか、知ってますか…?』
今、すごくすごく、白石さんに会いたい。
仁「さてな?柳生ー、知っとるか?」
柳生「白石くんですか?確かテラスの方にいたと…」
それを聞き、くるっと足の向きを変えた。
『ありがとうございました、先輩…っ』
笑顔でお礼を言い、だーっと走りだす。
背中越しに小さな声で、「頑張れ」って聞こえた気がした。
何段もある別荘の階段を駆け上がる。
やがて広いテラスが目に止まり、息を調えながら近付いて行けば…
(……いた)
テラスの中心にある長椅子に、探していた後ろ姿があった。
ゆっくりと歩み寄っていくと、白石さんが頬杖を付きながら眠っていることに気付いた。
『…寝不足、なんだよね……』
すぅと微かに寝息を立てる姿を見つめていたら、罪悪感が襲う。
静かに隣に腰を下ろして、ちらりとその顔を盗み見た。
(…睫毛、長いなぁ)
初めて見る白石さんの寝顔に、ドキドキと鼓動が鳴りだした。
ミルクティー色の綺麗な髪は、風が吹くたびにふわふわと揺れて。
気付いたら……そっと手を伸ばしていた。
(私、何やって…!)
ハッと気付き慌てて手を戻そうとしたら、突然別の腕が伸びてきてそれが掴まれた。
驚いて隣を見ると、ニコッと微笑む白石さんで…
『お、お、起きてたんですか…?』
白「りんちゃんが触ってくれるんやったら、このままでいよ思うたんやけど」
それを聞き、顔が一気に赤く染まるのがわかった。
自分から触れようとしてたなんて、恥ずかしすぎる。
『ごめんなさい!えと…髪にゴミが付いてたから…っ』
必死に言い訳を探す。
白「なんや…残念」
しゅんと肩を落として、白石さんは私の腕を離した。
『寝顔が綺麗で見惚れてました』なんて死んでも言えないもん…っ
白「急いでたみたいやけど…どうかしたん?」
『その、…白石さんに会いたくて』
白「…俺に?」
コクンと頷く。
「何か急用?」と聞かれ、首を横に振った。
『…会いたくて』
理由なんてない。
ただ、それだけだった。
白石さんは一瞬目を丸くしてから、ふわっと口元を緩めた。
白「ほんまりんちゃんって…かわええな」
『!///』
頭を優しく撫でられて、頬が熱くなる。
やっぱり、本物は全然違うや。
触られる1つ1つが、優しくて…ドキドキする。
『…本当に、すみませんでした。迷惑かけて』
白石さんだけじゃない。
皆、目の下にクマができる程心配してくれて。
私1人の行動で、たくさんの人に迷惑を掛けた。
白「もうええよ。ただな、りんちゃんの身に何か起こったらって思うて…心配でしゃーなかっただけやから」
また優しく頭を撫でてくれる。けど…頷くのに躊躇ってしまう。
『あ、財前さんは私について来てくれたんです。だから悪くなくて、』
ふと、それを言った瞬間白石さんの雰囲気が変わった気がした。
頭に置かれていた手をゆっくりと下ろす。
白「…2人きり、やってんな」