桜の下で 前編
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*りんside*
午後から部活があるから、校門まで白石さんに送って貰い、そこでお別れした。
白石さんは、お母さんの買い物に付き合ってくれるみたい。(お母さんが無理矢理誘ったの…)
『お花見、か…』
誰もいない部室で一人ドリンクを作りながら、言われた言葉を思い出す。
明日が楽しみで、口元が緩みかけていると突然ドアが開いた。
リョ「りん、審判やって欲しいんだけど」
『お兄ちゃん!今行くね』
作り終えたドリンクを両手いっぱいに持とうとする。
と、お兄ちゃんの手が伸びて来て半分以上の数を持ってくれた。
『ありがとう、』
「別に」と素っ気なく呟き、お兄ちゃんは背中を向け歩きだす。
慌ててその後を追いながら、優しいなと再認識した。
そうだ、お兄ちゃんも明日のお花見一緒に行くかな?
『あのねお兄ちゃん、明日なんだけど…』
言おうとした瞬間、はたと行き詰まった。
白石さんはただ一緒に行こうって言ってくれただけで……二人でとは言っていないけど。
でも、他の誰か誘ってもいいのかな。
何だか…悪い気がする。
リョ「…何?」
『あ…えと、』
どうしよう…誰か教えて下さい。
頭の中がぐるぐる混乱していると、ドドドとこっちに向かって何かがやって来ることに気付いた。
ね、猫?
違う、あれは…
菊「おっチビーズ~!!」
『菊丸先輩!』
抱き付く勢いでぴょんと跳ねた先輩。
それを受け止めようと近寄ろうとしたけど、急に後ろに手が引っ張られ…菊丸先輩は地面に落下してしまった。
『せ、先輩大丈夫ですか!?』
菊「うーん…何とか…」
リョ「(…まだまだだね)」
私の後ろでお兄ちゃんがそんなことを呟いていたなんて、全然気付かなかった。
『先輩、今日も教えに来てくれたんですか?』
菊「うんにゃ!それもあるけど、」
菊丸先輩の体を起こすのを手伝い、服についた汚れを払いながら問い掛ける。
秘密だけど…菊丸先輩といるとお姉さんになった気持ちになるんだよね。
菊「あのさ、明日お花見行こうよ!」
『え、』
思わず手を止めた私を見て、菊丸先輩はニッと飾らない笑みを浮かべる。
菊「高1組は全員大丈夫だったから、あとはりんとおチビと桃、海堂だけ!」
「行こ行こ!」ときらきら目を輝かせながら、私とお兄ちゃんを交互に見る。
どうしよう…言った方がいい、かな。
菊「みーんなりんに会えるの楽しみにしてるんだよ!手塚も明後日にはドイツ行っちゃうしさ」
(そっか…部長…)
皆に会いたい。
だけど…
嬉しそうに微笑んだ白石さんの顔が頭に浮かび、なかなか返事が出来ないでいた。
桃「あれー英二先輩!」
海「どうしたんスか?」
菊「おー二人共!実はさ…」
菊丸先輩は二人にも同じように誘う。
リョ「俺は別に「お花見?もちろん行きますよ!なー越前!!」………」
海「…先輩達が行くなら」
桃城先輩と海堂先輩の承諾を得て、盛り上がる面々。
立ち尽くしていると、くるっと菊丸先輩が振り向いた。
菊「よーし、決まりね!りんも行くでしょ??」
全員に一斉に見つめられて、思わず一歩下がる。
(い、言えない……)
ゆっくり、顔を縦に振った。
『え、じゃあ皆さんも来るんですか?』
《金ちゃんが行きたい煩くてな。今日の夜に出発するらしいわ》
今日のことを話そうと電話したら、白石さんから四天宝寺の皆も東京に来ることを聞いた。
お花見、そんなにしたかったのかな…?
私も、今日決まったことを正直に話したら、
《そうなん?まぁ、大勢の方が盛り上がって楽しいしなぁ》
それを聞いてほっと安心したけど、同時に何故かズキンと胸が痛んだ。
そうだよ。白石さんだって、始めから二人でなんて言ってなかったもん。
じゃあ、何でこんなに悲しいのかな…
《…りんちゃん?》
『あ、ごめんなさいっ』
ふるふると頭を横に振り、気持ちを切り替えようとする。
き、気のせい…っ
『あの、今日はありがとうございました。お母さんの買い物に付き合って頂いて…』
《はは、俺も楽しかったで?》
『本当「あらぁ、本当に?ありがとねー」