海外合宿
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―立海大附属中学校、テニス部
赤「一年、もっと声出せー!!」
「「「はい!!」」」
今年から副部長となった赤也は、全国大会を目前に控え一層の練習に励んでいた。
幸「赤也、頑張ってるね」
赤「幸村部長!」
振り向けば、以前テニス部を束ねていた部長である幸村が立っていた。
部員に整列の合図をしようとする赤也を、幸村は苦笑しながら制する。
幸「いいよ、かしこまらないで。もう部長じゃないんだから」
赤「そんなことないっス!部長はずっと俺の部長です!」
「嬉しいな」と微笑する幸村。
あんなに手が掛かった後輩が立派になって…と何処か保護者目線で見てしまう。
赤「ところで、今日はどうしたんスか?急に」
幸「ああ、そうだったね。…実は合宿の件で話があって」
赤「ああ、高校生と合同で行く奴っスね!」
赤也は思い出したようにポンッと手を叩いた。
幸「そう。で、他の学校の部長と話をしたところ、どこも同じ考えだったみたいなんだ。
だから合同ですることにしたよ」
赤「合同合宿ってこと?」
幸「うん、その方が跡部の別荘で出来るみたいだし…………安上がりだから」
幸村はニッコリと微笑む。
その顔を見ながら、変わってないなこの人と改めて感じた。
ふと、゙跡部の別荘゙という言葉が引っ掛かった。
赤「別荘って…もしかして海外とかっスか!?」
きらきらと期待に満ちた瞳で見上げる赤也の視線を受け、幸村はふっと口元を緩めた。
幸「うん、場所はね―…
ハワイ」
―合宿当日の朝
菊「…と」
桃「……と、」
菊&桃「「飛んだー!」」
そりゃ飛ぶだろう、と色んなところからツッコミの声が聞こえた気がした。
ハワイ行きの飛行機の中、飛び立つと皆は一斉に窓にへばりついた。
不「くすっ僕も初めて飛行機に乗った時は、あんな感じだったなぁ」
リョ「いや、先輩修学旅行で行ってるはずじゃ…」
隣に座るリョーマは、はしゃぐ先輩達を呆れたように見つめる。
海「チッみっともねぇ」
乾「いいじゃないか。合宿と言えども、海外に行くんだから」
その後席の人は落ち着いて座っていて、温度差が凄かった。
桃「何だよ、越前も楽しみだろ?ハ・ワ・イ」
リョ「…まぁ」
小等部はアメリカで過ごし一人暮らしもしたことのあるリョーマは、飛行機は乗り慣れていた。
だがハワイは初めて行くので、内心同じくらい楽しみにしていたが…それを面に出さないところはさすがと言える。
河「あれ、そういえばりんちゃんは?見ないけど」
大「何処か他の席に遊びに行ってるんじゃない?」
「彼氏もいるし」と全員納得したが、声に出すと無性に切なくなるので発する者はいなかった。
一方、りんはというと……
芥「やった、上がりー!」
岳「クソクソ、また負けたぜ!!」
『ジロちゃん強いねー』
現在トランプ大会真っ最中の三人。
日頃から仲の良い組み合わせなので、なんてことのない光景である。
岳「あーもうやめた!人生ゲームやろうぜ」
芥「いいよ~」
宍「ちょ、お前ら人生ゲームって……」
どう考えても機内でするゲームではない。
だが「宍戸もやる?」とにこやかな笑顔で言うジローを見ると、ツッコむ気もなくなる。
日「…まったく先輩達は…」
鳳「いいじゃない、楽しそうだし」
前の席を覗くように座っていた宍戸は、再び正面に向き直る。
隣に座る鳳と、斜め前に座る日吉はオセロに没頭していた。
宍「(どっちもどっちだな……)」
ここの飛行機は跡部財閥のもので、危険物以外だったら大抵の持ち込みは許可してくれる。
が、氷帝の皆は自由すぎやしないか。
丸「お、楽しそうじゃん」
赤「俺も入れて下さいよ!」
『丸井先輩、赤也先輩!』
トイレの帰りなのか、偶然通り掛かった二人は興味深そうに顔を覗かせる。
岳「おー!じゃ、皆でやろーぜ」
芥「大勢の方が楽しいC!」
新たな参加者が加わり、一層盛り上がっていくのだった。
また、それに負けないくらい自由な人達がここに……
金「わ~千歳!めっちゃ高いでぇ!!」
千「そやね、金ちゃん」
飛行機の窓に手を付き、瞳をきらきら輝かせる金太郎。
その正面に向かい合わせて座る小石川と銀は、静かに本を読んだり瞑想したりとゆったり過ごしていた。
それはまだいいとして、
謙「おっしゃ、この調子でいけば一人勝ちやで~!」
ユ「何やとぉ!小春とのポッキーゲームは俺のもんや!!」
小「謙也くんとだったら別にええわよぉ」
ユ「こ、小春ぅ…」
ここの三人も、トランプの大富豪で大盛り上がり中の様子。
「勝った者は小春とポッキーゲーム」と、ほぼ罰ゲームのような(ユウジを除く)賞品が付けられ、謙也は勝ちたいけど勝ちたくない複雑な気分だった。
しかし賑やかな集団に対し、不機嫌な男もいた。
白「…………」
紅「…元気ないなぁ、お兄さん」
白「……別に」
ハワイの観光雑誌から顔を上げる紅葉。
正面に座る白石は、先程から目に見えて不機嫌だった。
その原因はもうわかっている。
紅「(りんちゃん不足やな……)」
同じ飛行機に乗ってるにも係わらず、白石とりんの距離は遠い……と言うより、学校ごとの距離が遠かった。
その為姿も見えないし、声までも聞こえないのだ。
財「…自分から行けばええやないですか、会いに」
紅葉の隣で、今まで黙々と音楽を聞いていた財前がふと口を開けた。
自分が言おうとしていたことを先に言われ、紅葉は何処かほっとする。
白「…せやな」
「行ってくる」と立ち上がって早足で去っていった。
財「始めからそうすればええのに」
紅「ははっきっとりんちゃんが来てくれるの待ってたんよ」
財「…面倒くさい人ですね」
紅「そやなー…でもアンタも人のこと言えへんで?」
「会いたいんやろ」と言えば財前は微かに目を見開く。
赤くなった耳を隠すように、再びヘッドホンを付けた。