両想い
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雪「水城要(ミズシロ カナメ)23歳。身長は180㎝くらい?
本日聖華女学院に新任して来た、担当科目は化学。
生徒を受け持つのは今回が初めてみたい」
休み時間、雪は自分のマル秘ノートを見ながら冗舌に分析する。
「雪いつチェックしたのよ…」
「でもさ、あんなかっこいい人が担任なんてついてるねー」
「何かちょっとりんの彼氏に似てない?」
雪「え、そう?」
白石を直接見たことのある雪は、?と首を捻る。
確かに写真で見ると雰囲気が少し似てるかもしれないが。
雪「(りん大丈夫かな…)」
あれは自分が持って来た雑誌だと説明したにも関わらず、りんだけが呼ばれたのだ。
優しいりんのことだからきっと庇ってしまうだろうと、雪は心配になった。
職員室、
デスクに座る要の前に、りんは立たされていた。
叱られるものだとばかり思っていたのだが、要は職員室に着くなりクラスの名簿を出し、りんに質問攻めをしていた。
要「この子の特徴は?」
『ええっと…髪が肩くらいで、』
ふーんと言いながらスラスラと書いていく。
要「このくらいの歳の子って区別付かないんだよねー
あ、君は目に付く」
『え?』
要「髪の色。それって地毛?」
くるっと振り向き、じっと見つめられる。
りんは『地毛です!』と慌てて主張した。
要「まぁいいけど、その指輪も」
今度はりんの指元に視線を落とす。
その指をサッと隠すと、要は小さく笑った。
要「大丈夫、俺はそういうの煩くないから。男女の交際は自由だし」
ね、とりんを見つめ笑う姿に、少しだけホッと安心した。
では何故呼ばれたのだろうか。
雑誌についても怒られないし、髪の色も注意されていない。
りんが首を傾げていると、「よし、出来た」と要は名簿を見て満足気に頷いた。
要「これ、教室に持って行ってくれる?」
『え?は、はい』
山積みにされていた教材を渡される。
それは思ったより重く、小柄なりんには正直無理があったが、ぐっと精一杯の力を込めた。
要「あ、あと。君クラス委員ね」
『ふぇ!?』
いきなり指名され、目を丸くするりん。
『も、もしかして…その為に呼び出されたんですか?』
要「そう。一番従順で素直そうだから、君」
りんは暫く呆気に取られていたが、ギュッと拳を握り締めた。
『私は…美化委員がやりたいんです!だから委員は出来ません』
要「美化委員?」
『はい。一年生の頃から花壇のお世話を任せられてて。だから…続けてやりたいんです』
花壇に水を上げたり、新しい種を植えたり…花が好きなりんは、美化委員の仕事も大好きだった。
要は「そっかー」と呟き、納得してくれたように見えたが、
要「じゃあ二つやりなよ。委員が一つって決まりはないし」
そっか…とつられそうになるが、慌てて首を横に振る。
『でも、時間を取られたくないんですっ(帰ってご飯作りたいし…)』
要「…どうしても?」
『はい!すみません。(お兄ちゃんに゙おかえりなさい゙って言いたいもん)』
要「………」
要は顎に手を添え、暫くしてから…突然自身の眼鏡を外した。
キョトンと瞬きを繰り返すりんの元へと一歩近付き、壁に片腕を付く。
要「この顔を見ても…?」
『!え、えと///』
ずいっと顔を近付けられ、後ろに下がろうとするが壁がそれを塞いだ。
端整な顔立ち、
いきなりの事態に頭がパニック状態になり、力が緩んで持っていた教材が落ちてしまった。
『…はい、お断わりします』
顔を伏せて、小さく頭を下げた。
やがてゆっくりと壁から腕が離される。
要「…強情」
『え…』
さっきとは全然違う低い声音に、驚いて顔を上げる。
再び眼鏡を掛けた要と目が合い、ビクンと肩が震えた。
要「大体皆これで落ちんのに。
俺に好かれようとして」
「例外もいるんだ」と物珍しそうに笑う要をぽかんと見つめるりん。
けれど馬鹿にされたような気がして、床に散らばった教材を拾う要をキッと睨んだ。
『み、皆が先生の顔を好きだとは限りません!』
要「へぇ…理想高いね」
『!ちが…っも、もっとかっこいい人を知ってますから』
意地になり、りんはポケットに入れていた携帯電話を取り出した。
それを開き要の目の前に持ってゆく。
要「…彼氏?」
『は、はい///』
要「可愛いね、彼氏待ち受けにするなんて」
カァァと顔を真っ赤に染めるりん。
その反応が気に入ったのか、要は微かに笑う。
「でも、」と低く呟いた。
要「気を付けた方がいいよ。重いって思われるかも」
その言葉に、ドクンと鼓動が鳴った。
『重い…?』
要「相手も同じくらい好きだったらいいけど…
片方だけだとさ、うまくいかないんだよね」
片方…だけ…?
りんはその言葉の意味を深く考える。
『何でそんなこと…』
要「ん?経験者だから」
教材を腕の中で揃えて、りんに渡す。
要「委員長は諦めるよ、美化委員…頑張って」
微笑んだ要に、りんは何も言えなくて。
ペコリと頭を下げて職員室を後にした。
『(…重い……)』
白石の顔を想い浮かべて、教材を持たない反対の手でそっと指輪に触れた。