my darling
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*りんside*
校舎内を歩いていると面白い出し物をしている教室がいっぱいあって、目の前を通る度気になってしまった。
『"何でも占いの館"?』
白「確か当たるって噂のとこやで。友香里も絶対行くって騒いどったわ」
白石さんの説明を聞いたら更に興味がわき、折角ならと覗いてみることにした。
室内は女子生徒や一般のお客さんで溢れ、タロットカードや水晶玉で占う光景が広がっていた。
受付を済ませてから空いてるスペースに移動した瞬間、思わずドキンと胸が高鳴る。
『(さっきのマグロさん…!)』
マ「ようこそ……っ!!?」
校門にいたマグロさん(※正確にはマグロの被り物をした生徒)に再会出来た喜びで、私はわーと感動してしまう。
対するマグロさんは白石さんを見た瞬間、何故かわたわたと狼狽えていた。
白「……何でも見て貰えるん?」
マ「は、はい。何を占いましょう?(この人何でこんな睨んでくるんやろ…)」
『あ、えと、』
『相性占いで』と言いたいのに、本人が隣にいる恥ずかしさから中々言葉が出てこない。
ちらっと白石さんを見上げていると、マグロさんの方から「…お2人の相性占いなどどうですか?」と提案してくれた。
『は、はいっそれでお願いします…!///』
マ「(微笑ましいな…)」
白「(りんちゃん…)」
周囲をほわっとした気持ちにさせていると気付かずに、手相占いということでドキドキしながら片手を差し出した。
白石さんの手相と交互に見ながら、暫くすると「んー……なるほど」とマグロさんが頷く。
マ「彼氏さんはしっかり者で面倒見が良いので、おっとり甘え下手な彼女さんに合っとるみたいですね。
お2人の相性はとてもええと思います」
『っ!///』
「良かったなぁりんちゃん」と微笑む白石さんに、私も嬉しくなって『はいっ』と頷く。
2人で喜び合っていたのも束の間……「あ、せやけど待って下さい」と静止の声が掛かった。
マ「……これから、お2人の関係に変化が起こるみたいです」
『へ、変化?それって良いことですか…?』
マ「いや…今は何とも。ただ、何かが変わることは間違いないですね」
その説明を聞きながら、"変化"という言葉にドクドクと脈が速くなっていく気がした。
『(何か、胸騒ぎがする…)』
良いことかもしれないのに、ざわざわと落ち着かないのは何故だろう。
その後のことはあんまり覚えていなくて、「りんちゃん」と白石さんに名前を呼ばれていたことも、どうやって教室を出たのかも曖昧だった。
***
白「お、たこ焼き売っとる。ちょお買うてくるわ」
あれから外に出て、出店でお昼ご飯を買うことにした私達。
「人多いからここで待っとってな」と人混みから少し外れたところに誘導して、目的の場所に向かう白石さん。
私は行き交う人達を何処かぼんやりと眺めながら、先程言われた言葉を思い出していた。
『(……"変化"って、何だろう?)』
占いだとわかっていても、どうしても気になってしまう。
それに……モヤモヤする私と違って、白石さんはいつも通りで。
『(白石さんは、気にならないのかな)』
何だか寂しい気持ちになって、白石さんが向かった方向に視線を向けた時……ハッと気付いた。
たこ焼きを持った白石さんが、お店の中にいる女子生徒と話していることにー
話している内容は聞こえないけれど、2人の女の子達が頬を桃色に染めていることはわかった。
『(……!た、楽しそうっ)』
いつもこういった場面では困った表情をしている白石さんも、デレデレ笑っている。(※ように見える)
その光景にショックを受けた私は、同時にチクチクと痛む胸を押さえた。
見たくなくて思わず俯いていると、「あれっりんちゃん?」と声が掛けられた。
紅「やっぱりんちゃんやった」
『も、紅葉さん!?』
親しんだ声に顔を上げた瞬間、思わず目を見開いた。
そこに居たのは、装飾の付いた肩の広い服にマントを合わせ、薔薇を胸元に付けた紅葉さん……王子様だった。
ぱちぱちと瞬きしながら驚く私に、「やっぱ笑うやろ~?」とゆっくり近付いてくる。
紅「うちのクラス劇やっててな、出ないっちゅーのに何故かこれ着せられて……まぁ宣伝ゆうても歩いてればええみたいやし」
『紅葉さん、すごく似合ってますっ本物の王子様みたい…!』
紅「ほんま?ありがとう…照れるわ。まぁ自分でも様になっとる思うけど」
そう言ってキメ顔を作る紅葉さんに、くすくすと笑ってしまう。
でも本当にその通りで、紅葉さんは美人だし、元々黒髪のショートヘアーだからか男装しても違和感なく似合っていた。
「りんちゃん1人なん?蔵は?」と辺りを見渡す紅葉さんに、チクリとまた胸が痛み出す。
『で、デレデレ…(じゃなくて)えと、今たこ焼き買いに行ってくれてて、』
紅「(デレデレ?)………あーなるほど…」
紅葉さんは私の視線を追うなり、呆れたように肩をすくめた。
紅「りんちゃん、あんな浮気者放っておいてうちと回らへん?」
『え?』
紅「…姫、私にエスコートさせて頂けませんか」
『ふぇ!///(ひ、姫??)』
突然私の髪をさらりと掬い、顔を真っ直ぐに見つめてくる紅葉さん。
相手は女の子だとわかっているのに、王子様のような振る舞いにドキドキしてしまう。
どうしようとぐるぐる目を回していたら、「こら、りんちゃん困らすな」と紅葉さんの頭がコツンと叩かれた。
紅「あーあ、あとちょっとやったのに」
『!?///』
白「んな訳ないやろ…何口説いてんねん。ちゅーかその格好で言うと洒落にならんから」
紅「ふふん、男前やろ?りんちゃんにも似合っとるって褒められたし」
「なー」とウィンクされて、慌ててコクコクと頷く。
白石さんは小さく溜め息を吐いた後、私に視線を向けたのでドキッと心臓が跳ねた。
白「りんちゃん、待たせてごめんな。友香里の友達に捕まってしもーて」
『い、いえ…っえと、』
白「?」
"何のお話をしてたんですか?"なんて聞けなくて、しどろもどろになってしまう。
そんな私の心中を察してか、「えらい楽しそうやったけど?」と紅葉さんが聞いてくれた。
白「え、そうか?あー……りんちゃんの話してたからな」
『ふぇ!?わ、私…?』
白「うん。1人ですか?って聞かれたから、彼女とおる言うたら何でか興奮し出してな。色々質問されて大変やったわ…」
まさか私の話をしてたなんて思わなくて、カーと顔が赤く染まっていく。
更に白石さんが安心させるように優しく微笑むから、(←※良くわかってないが可愛い反応をされて頬が緩んだだけ)途端に恥ずかしくなって俯いた。
紅「(流石は友香里ちゃんの友達……りんちゃんも含めてファンなんやな)」
紅葉さんが1人で納得している中、恥ずかしさの限界がきた私は『も、もういいですから…///』と頭を撫でる白石さんに小さく抗議していた。
***
人混みを抜けて、白石さんと私は中庭のベンチに落ち着いていた。
さっき買って来てくれたたこ焼きはほっぺが落ちそうなくらい美味しくて、『美味しいですねっ』とお互いに感想を言い合った。
『それにしても、いっぱい歩きましたね』
白「せやなぁ。こんな文化祭満喫したの初めてやわ」
「りんちゃんのおかげ」と優しい眼差しを向ける白石さんに、又もやカァッと顔が熱くなる。
『つ、次は何処に行きますか?』と慌てて話題を変えようとパンフレットを取り出した。
白「そろそろ部活の出し物に行かなアカンねん。まだ一緒におりたいのは山々なんやけどな…」
『(あ…そっか、)』
自分でも落ち込んでいくのがわかって、パンフレットを握る手にきゅっと力が入る。
テニス部の皆のことは大好きだから、私も早く会いたい。
だけど……白石さんを独り占め出来る時間はあと少しなんだ。
そう思ったら途端に寂しくなり、美味しいたこ焼きの味も感じなくなっていった。
白「っっりんちゃん、そんな悲しい顔せんでや、」
『………っ』
白「そや、今のうちにイチャイチャしとくか?」
『え!!??///』
い、イチャイチャ!?と驚きでぴょんっと体が跳ねる。
ぶわわっと顔が真っ赤に染まっていき、そんな私を白石さんはじっと見つめてくる。
何か言わなくちゃと思うけれど上手い返しが見当たらずに、『え、えと、』と只々もじもじしてしまう。
『(ちょっと、甘えたい……かも)』
くっ付いたりしても良いのかな?と、不安気に白石さんをそっと見上げる。
肯定するように優しく瞳を細められて、私の胸はきゅううと苦しくなり……えいっと体を前に倒した。
白石さんの胸に頭を付けると、ドキドキと鼓動が速まっているのがわかる。
正面からぎゅっと抱き締めてくれたので、胸の中で安心して息が吸えた。
白「りんちゃんめっちゃドキドキしてへん?」
『し、白石さんこそ///』
白「せやな、自分から提案しといてなんやけど……結構恥ずかしいです」
そう冷静に呟きながらも、ずっと抱き締めてくれる白石さんが何だか可愛い。
私も離れたくなくて、この体勢のまま『…あの、』と切り出した。
『う、占いのことなんですけど』
白「占い?」
『(コクン)関係が変わるって言われたこと…白石さん気にならないのかなって』
モヤモヤを口にした瞬間に、言葉にしてしまったことを後悔した。
暫くして「んー…うん」と白石さんが頷いたので、やっぱりズキンと胸を痛めることになる。
白「もし占いが当たっても、ずっと一緒におるんやから怖くあらへんやろ?」
想像と違う言葉が返ってきて、自然と顔を上げた。
まるで当たり前のように言い切る白石さんに、『…ずっと?』と聞き返してしまう。
白「?うん。それに変化って良いことかもしれへんしな」
「まぁそしたら大歓迎なんやけど」と、何処か悪戯っぽく笑う白石さん。
私は何故か泣きそうになってしまって、堪えるようにきゅっと唇を噛み締めた。
すぐに気付いた白石さんは、「え!どないしたん?」と心配そうに顔を覗き込んでくれる。
『っな、何でもないです……ただ、不思議で、』
白「……?」
『さっきまで不安だったのに、もう全然大丈夫だから……魔法みたい』
モヤモヤをそっと掬い上げて、いつも、どんな時も力をくれるから。
白石さんの言葉一つ一つが真っ直ぐに届いて、私を幸せにしてくれるんだ。
途端に嬉しそうにする私を見て、「…何やそれ」と白石さんの頬も柔らかく緩んでいった。
白「あ、せやけど確かに魔法使えるかも。大体りんちゃんの考えとることわかるし」
『え…ど、どんな時ですか?』
白「んー?お腹空いたなぁとかまだ一緒にいたいなぁとか。白石さん大好きって思っとることとか」
『っっ!///』
「今も思っとるやろ?」とからかうように尋ねる白石さんに、私の頬はボボッと火が付いたように熱くなった。
凄く凄く恥ずかしいけれど確かにその通りなので、赤い顔のままコクンと頷く。
『……白石さんも?』
同じように想っていて欲しい。そう願いを込めるようにぎゅっと制服を握ってしまう。
中々返事がないので涙を滲ませながら様子を伺えば、何故か腕で顔を隠した白石さんがいて……
『!あ、あの、白石さん…?』
白「~~~っ今日も俺のりんちゃんが最強にかわええ…………」
『ふぇえ!!?///』
独り言みたいなボソッとした声を聞いて、驚きで声が裏返りそうになった。
『(お、"俺の"だって…っ)』
「そこ??」と何処からかツッコミの声が聞こえた気がしたけれど、私は上気したように赤くなる頬を両手でおさえて、喜びを感じていた。
更には腕を退けた白石さんが「…大好きに決まっとるやろ」と上目遣いで囁くから、きゅううんと胸を鷲掴みされる。
とろんとした瞳にお互いの姿だけを映していれば……「白石とりんみっけー!!」とザッとベンチの後ろから何者かが現れた。
『!?き、きき金ちゃん…っ??』
金「2人共探すの簡単やったで!"人目も憚らず兎に角イチャイチャしとるカップルを探せばええ"って財前が教えてくれてん!」
『い…ちゃ!///(※訳:イチャイチャ)』
驚きと恥ずかしさで、パクパクと口を開け閉めすることしか出来ない。
「りんタコさんみたいや」と無邪気な顔で覗き込まれて、『うう…』と小さく縮こまった。
白「金ちゃん、その格好で来たん?」
金「?せやで~動きにくくて嫌やってんけど、小春が脱ぐなって煩いねん……」
白「やっぱなぁ…俺も出来ることなら着たないわ」
2人の会話を聞いて『?』と顔を上げると、金ちゃんのしていた格好に目を丸くした。(←今更)
『えと、皆さんの出し物って……??』
ニコニコ笑う金ちゃんの後ろで、白石さんが憂鬱そうに溜め息を吐いていた。