侵入者
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連れて来られたのは、宿舎に隣接しているロッカールーム。
りんが躊躇う間もなく、ドンッと壁に背中を押し付けられる。
顔の横に両手が付かれ、出口はない。
白「………俺が大丈夫って、何で言い切れるん?」
『っそれは………白石さん、だから』
「ふーん」と呟いた声は低く、その目を見た瞬間、背筋が凍った。
切れ長の瞳は真っ直ぐに自分を見つめているのに、感情が全く読み取れない。
静かな怒りを感じ、無意識に肩を震わせるりんに白石は薄く笑う。
白「…そのすぐ信用するとこがアカンのや」
『!ん…!』
顎を掴まれた瞬間、すぐに唇を塞がれた。
息継ぎが上手く出来ず、僅かに離れた隙間から『は…っ』と息をする。
舌でくぐ…と唇を押されるとりんは反対に固く結んだ。
その様子が面白くないのか、白石は眉を寄せる。
白「…抵抗のつもりなん?」
『……っ(違う、)』
抵抗とかではない。ただ、今の白石が怖いだけ。
ふるふると首を横に振っているのに、未だに口を開けようとしないりん。
白石は瞳を細め、その細い首に歯を立てた。
じわりと広がる痛みに堪えきれずその身体を押し返そうと試みても、びくともしなかった。
『!や、やだぁ…』
白「………やめへんで」
白石は短く返すと、りんの服に手を掛ける。
ポロシャツを肩まで下ろされればあられもない姿となり、りんは慌てて下着を隠そうとする…
だが、すぐに両手を掴まれ、頭上で押さえられてしまった。
『……っん、…やめてっ』
白「せやから、やめへんって言うたやろ」
『ひゃ…あ!』
胸を触られるだけでも相当なのに、白石の熱い舌が這うとりんの身体は飛び跳ねた。
もう、恥ずかしさでどうにかなってしまいそうだ。
『…ん…っん……』
白「声抑えんでええのに」
『ひ、う!や、め…て、くださ、』
白「せやから、」
羞恥心と恐怖でポロポロと涙を流すりんを無視し、白石の唇が重なる。
舌と舌が絡まる濃厚な口付けにりんは次第に酸素を失っていく。
精一杯の力を振り絞って腕をほどき、ドンッとその身体を押した。
思いの外強く突き飛ばしてしまい、バランスを崩した白石の身体は地面につく。
ハァハァと肩で息をしながら、りんは『何で…?』と掠れた声で問い掛けた。
白「…はっ何でって……りんちゃんはほんま鈍感やな」
嘲笑うような笑みを浮かべた白石は、「1つだけ聞いてええか?」と呟いた。
白「跡部とキスしたん?」
『………!』
途端に、カアッと顔が赤くなっていく。
青い瞳が、肌にかかる息が、低く囁く声が。
そのすべてが自分に向けられていたことを、思い出した。
『急だったので、避けられなくて…!想像もしてなかったんです。わたし……』
必死に繋いでいた言葉は、最後まで伝えることが出来なかった。
白石の顔を見た瞬間、ドクンと大きく心臓が揺れた。
ただ、悲しそうに顔を歪め、今にも泣いてしまいそうな……
消えてしまいそうな、そんな顔をしていたから。
『……ご、めん……なさい』
ぽつりと口から溢れた時、りんはしゃがんでその身体を抱き締めていた。
『ごめんなさい、ごめんなさい、白石さん』
ごめんなさいと、何度も何度も呟く。
消えてしまうのが怖くて、ぎゅっと背中に回した腕に力を入れる。
『……そんな顔……しないで………っ』
胸の奥が、張り裂けそうなほど痛い。
どんな痛みにも耐えるから、望み通りにするから、どうか…彼を笑顔にして。
りんはただ、背中に腕が回るのを、大好きな声で「りんちゃん」と呼んでくれるのを、待つことしか出来なかった。