kiss
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ー…ちゃん
ーりんちゃん
白「りんちゃん」
『!白石さんっ』
目の前には大好きな白石さんがいて、名前を呼んでくれることが嬉しくて微笑んでいると、
白「今日は俺が朝ごはん作るからゆっくりしとき」
『ふぇ?あ、ありがとうございます…』
朝ごはん?と不思議に思いながらお礼を言う私にふ、と微笑み、白石さんはエプロンを身に付ける。
この状況に対する疑問より、エプロン姿もかっこいいなんて呑気に思ってしまう。
白「今日はフレンチトーストにするな。あいつら好きやし」
『あいつらって??』
白石さんの手捌きに見惚れていた私は、ドタドタと階段を下りる足音に気付いた。
「ママ~~~!!おはよう!」
『え、えええ!?』
マ、ママ!?
腰にぎゅーっと抱き付いてきた小さな女の子。
顔を上げてニパッと笑った時、ドキンとした。
この子…………
『(私にそっくり…!)』
小さい頃の私に瓜二つのその子は、たたた、と今度は小走りでキッチンに向かう。
すると、同じように白石さんの腰にぎゅーっと抱き付いていた。
白石さんはその子を見ると、すぐに抱き上げる。
白「おーおはよう。ぐっすり寝れたか?」
「うんってパパ、私もうそんなに子供じゃありません!」
白「ははっ堪忍なぁ、つい」
『(パ、パパ!?)』
白石さんのこれまでにない優しい表情を見つめながら、ぐるぐると頭が混乱する。
な、何がどうなってるの??
『…あの、白石さん、』
「ママ今日変だよー?パパのこと"白石さん"だなんて」
『へ…』
変…??パパ?だ、誰の??
ぐるぐるぐるぐる頭を回し、やっとその可能性にたどり着いた。
…けど、同時に恥ずかしくなって、白石さんの顔が見れなくなって。
白「コラ。ママいじめたらアカンで?」
「いじめてないもんっっ」
『(…ママって、やっぱり……)』
ドキドキ高鳴る胸にそっと手を当てて、ぎゅっと目を瞑る。
白石さん、じゃなくて、
『く、蔵ノ介さん…///』
やっとの思いで絞り出た声に、白石さんは何故か顔を赤くした。
その腕の中の女の子もきょとんとしてるし、間違えてしまったのかもしれない。
『(じゃあ、)ぱ……パパ……?』
お父さん以外で、こんな風に呼ぶことがあるなんて。
不安で泣きそうになりながら呟けば、白石さんはふわっと微笑んだ。
白「はい」
くすっと笑いながら、返事をしてくれる。
実際に呼んでみると、何だかくすぐったくて恥ずかしい。
だから、もう一度。
『パ、パパ』
白「はい」
『…パパ』
白「はいはい」
くすくす笑いながら嬉しそうにする白石さんが、私も嬉しくて。
女の子もそっちのけでお互い微笑み合っていると、ピンポーンとチャイムが鳴った。
「あ、私出るー!」
白「走ったら危ないでっ」
ピョンと女の子が白石さんの腕から抜け出し、玄関の方に走っていく。
その後を慌てて追う白石さんと私。
微かに聞こえた声に、一瞬だけ時が止まったように感じた。
『(っあの声って………)』
いつも、いつも、夢で私を呼ぶ声だ。
「ママっママの知り合いの人ー?」
女の子がくるっと振り返ると、玄関の外にはその声の人物がいて。
光が反射して顔が良く見えない。
その瞬間、視界が歪み、ふっとそこにいた筈の女の子が消えた。
『!?』
慌てて隣を見るけど、一緒にいた筈の白石さんもいなくなっていた。
『…どうして、』
今まであった温かい感触がなくなり、急激に身体が冷えていく。
あっという間に辺りを暗闇が包み、また、独り取り残される。
涙が溢れそうになった時、「りん、」とあの声が呼んだ。
『誰………?』
何で、名前を呼ばれただけで、こんなに安心するんだろう。
白石さんのように柔らかい優しさではないけど、力強くて胸の奥がじんわりと温かくなる。
『私のこと、知ってるの……?』
知りたい、
その人物は頷き、一歩近付く。
瞬間、霧が晴れたように姿が明るく映し出されていった…………
チュンチュンと何処かで鳴く雀の声。
そろそろ起きなきゃと目を開けようとしたけど、布団の温かさがそれを妨げてしまう。
『(ふわふわする………)』
何だか、今朝はいつもより布団がふわふわしてるような……
鼻を掠める優しい石鹸のような香りは、私の大好きな匂いで。
『(何だっけ……)』
そうだ、白石さんの匂いだ。
そんな犬みたいなことを思って、ゆっくりゆっくりと目を開けた。
白「…………」
『……………』
白「…………」
『(……………ふぁあああ!?)』
目の前には、瞼を閉じる白石さんの顔。
少し顔を上げたら触れそうなほど近くにあって、抱き枕のように抱きしめられていた。
『(…な、なな何!?どどどうして…!)』
ドッキンドッキンと鼓動がうるさくて、心臓が爆発してしまう。
一体何があってこのような事態にっ
ふわふわと白石さんの香りに包まれて、恥ずかしくて倒れそうだ。
「ん…」とピクリ動いた白石さんに、身体を硬直させた。
白「……………」
『(………お、起きてない?)』
すー…と静かな寝息を聞き、肩の力が抜けていく。
私は気絶しないように、白石さんの息がかからない程度に顔を下げた。
…でも少しだけ。
少しだけなら、見てもいいかな?
『(…わ……)』
そっと顔を上げると同時に、また鼓動がドキドキと鳴り出す。
前に白石さんの写真を見た友達がかっこいいって言ってたけど、確かに整った顔立ちをしてる。
『(…かっこいいなぁ)』
何で、こんなかっこいい人が私のか、彼氏(←小声)なんだろう。
性格も優しすぎるくらいで、面倒見も良くて、何でも真剣に向き合って。
白石さんは私にはない、素敵なところがたくさんたくさんある。
駄目なところなんて、あるのかなぁ。
気付かぬ内にじっと見つめてしまっていると、閉じてあった筈の瞳と視線が合う。
…………………合う?
白「……ん。おはようりんちゃん」
『……!!?おはっおはようございます…っっ///』
驚いてビシッと敬礼する勢いで挨拶をしてしまう。
白石さんはぱちぱちと長い睫毛を瞬きした後、ふはっと笑った。
『???』
白「ほんま…おもろいなぁ、りんちゃんは」
「見てて飽きひん」とクックッと笑う。
その姿にもドキドキと胸が鳴るから、もう自分に呆れてしまう。
『あ、あのあの、昨日一体何があったのでしょうか…』
白「?何って………」
恥ずかしさから身を縮めて問うと、白石さんは少しだけ考える素振りをして。
私をじっと見てからハァ~とわざとらしく溜め息を溢した。
白「なーんも覚えてないん?」
『??はい』
白「言うとくけど、りんちゃんからお願いしてきたんやで?一緒に寝て?って」
『ふぇ!??』
そんな大胆で迷惑きまわりない発言をしたなんて。
白石さんがからかって言ってるだなんて知らなくて、私は慌てて起き上がろうとした。
…だけど、すぐに布団の中に戻されてしまった。
白石さんに真上から見つめられて、ドッキンドッキンと鼓動が加速していく。
『、白石さん……?あ、あんまり見ないで、ください…っ(心臓壊れちゃう…!)』
白「(かわええ)一晩中ずーっと我慢してたんやで?」
白石さんはそのまま顔を下げて額にキスをすると、「充電」と呟く。
何だか上手くはぐらかされている気がして、少しむすっとしてみるけど。
白「充電、アカン…?」
そんな感情なんて、白石さんの前だと意味がなくなる。
『…………アカンく、ない』
もう、心臓壊れてもいい。
子犬みたいに眉毛を下げる白石さんを見たら、自然と思ってしまって。
ふ、と優しく微笑んだ白石さんは、そのまま顔を下げてきた。
『(……くるっ)』
固く目を閉じて、ふわっと近付くのを感じた時………
リョ「りん、石鹸って持ってる?」
『っ!?お、おおお兄ちゃん!?』
突然部屋に入ってきたお兄ちゃんに驚いて、バサッと反射的に白石さんに布団を被せた。
膨らんだ布団を隠すようにして座り、慌てて答える。
『いつものやつだよね?鞄に入ってるよ…!』
リョ「勝手に取っていい?」
『ど、どうぞ!』
ブンブン頭を縦に振る私に首を捻りながら、鞄を探るお兄ちゃん。
何だか、すごくいけないことをしているみたい……
ドキドキしながらお気に入りのレモン石鹸を手に取るお兄ちゃんを見つめていると、「あ、」と動きが止まった。
リョ「…これ、何だっけ。カブリエル?」
『へ「カブリエルやって!!??」
ぽつり呟いた言葉に、ガバッと布団を剥がして反応する白石さん。
「何処や何処や?」と立ち上がってお兄ちゃんの傍まで行くと、ハッとした。
リョ「……………………」
白「……(あー…)おはよう、越前くん」
リョ「…………何でいんの?」
『(はわわ……!)』
その時、お兄ちゃんの頭に怒りマークが見えた気がした。