愛のカタチ
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赤く染まっていく顔を不思議そうに見ていた白石は、りんの手が伸びていることに気付いた。
その時ー…
「ケーキ持ってきたで~!」
友「ちょ、アカンってお姉ちゃん…!イチャイチャ中かもしれへんやろ!」
『ひゃあああ!!』
勢い良くドアが開けられて、ズザザザザと後退りするりん。
まるでお化けを見たような反応をし、部屋の隅まで下がるりんに白石姉妹は首を傾げた。
友「ほら!そやからノックせな言うたやろ?」
「蔵ノ介ぇ、エロいことしてたん?」
『(ごめんなさいごめんなさい…!)』
責められる白石を見ながら、りんは心の中で謝罪する。
りんは自分がしようとしていたことをそういう類いのことだと思ったのだが、後の3人は違うものを指していた。
「紹介遅なってごめんなぁ。蔵ノ介の姉の文月(フヅキ)言います」
『は、はいっこちらこそですっ』
動揺からか変な挨拶をしていることに気付かず、りんはペコリと頭を下げた。
文「1日早いけど、誕生日なんやって?これ妹と作ってん」
友「りんちゃんの方がずっと上手やから恥ずかしいわ…」
『…ふ、え』
文月は手に持っていたショートケーキをテーブルに置く。
恥ずかしそうに笑う友香里と交互に見て、りんは胸の辺りがじん…と熱くなった。
『ありがとう』とお礼を述べ、近付こうとするりんだったが……
文「りんちゃんってほっそいなぁ。あ、Aカップなん?」
『ひゃ…!?///あああの、お姉さ…っ』
文「お姉さんなんて堅苦しいわ。文月お姉ちゃんって呼んで!」
白「っ!!?///」
意気なり背後に立った文月に胸を揉まれ、りんは顔を真っ赤にした。
そんな彼女より顔を赤くさせた白石が、「姉ちゃん…!」と慌てて姉を剥がす。
騒がしい兄妹を離れて見ていた友香里は、「りんちゃんもAなんや…」と密かに安堵していた。
文「何やねんもう。あんたやっていつでも触れるやろ」
白「!そういう問題ちゃうからっ」
『(さ、触る!?)』
ニヤニヤと笑う姉に、珍しく声を張り上げる白石。
2人の後ろでは顔を真っ赤にしたりんが、コンプレックスでもある小さな胸を隠していた。
文「蔵ノ介な、私の店で買えばええのにわざわざ「もう黙れって!」
文月から守るように前に立ち、白石は言葉を聞かせないようにりんの両耳を塞いだ。
そうなると、りんの目には白石の慌てた顔しか映らない。
こんなに慌てた顔も、叫んだ声も、りんにとっては初めて知る彼だった。
『(えと…)文月さんは、何処に住んでるんですか?』
文「何処って?」
『前に、白石さんが別のとこで暮らしてるって話してたので、』
「文月お姉ちゃんでええのに…」と文月は呼び方に納得がいかないようだった。
文「京都。旦那がよう出張するもんやから、たまに里帰りしてまうんよ」
『(旦那…?)!け、結婚されてるんですか?』
文「?そやで」
驚くりんの傍らでは、「たまになんてよう言うわ…」と弟妹達がコソコソと話していた。
更に、文月は25歳だということが発覚。
てっきり大学生の菜々子と同い年くらいだと思っていたりんは、驚きを隠せなかった。
友「お姉ちゃんな、大学生の頃から付き合ってて、そのまま結婚したんやで」
「ええよなー」と羨まし気に語る友香里。
翔太くんがいるのにとりんは思ったが、友香里に全力で否定される気がしたので、黙っておくことにした。
その時、何処からか携帯の着信音が鳴り響いた。
白石はりんに一声掛けると、携帯を持って部屋を出ていく。
友「りんちゃんケーキ食べてーや」
『うんっ』
唯一の男が抜け、部屋はすっかり女だらけになって。
りんはその言葉に甘えてケーキにフォークを通した。
文「そやりんちゃん!ええもの見せたる」
『ひいもの…?』
もぐもぐと小動物のように口を動かすりんに、文月はニッコリ微笑む。
「これーっ」と取り出したのは、分厚いアルバムだった。
『アルバム…?』
文「そっ見てみーこれ、3歳の蔵ノ介」
顔を近付けたりんの目は、『わぁ…』と輝く。
『白石さん、女の子みたいっ』
友「あははっくーちゃんかわええ~」
文「せやろ?あの頃はお姉ちゃんお姉ちゃん言うて可愛かったんやでー」
リボンで髪を結った姿は、本当の女の子にしか見えない。
他にも、着ぐるみを着て寝ている写真や、幼稚園のお遊戯会の写真。
どの白石を見ても、りんは『可愛い!』とコメントした。
白「ごめんなーりんちゃ「これなんてくーちゃんスカート履いとるやん!」
最悪のタイミングでドアが開けば、しん…と部屋中が静まり返る。
白石はアルバムを指差して笑う妹と、次々に部屋を物色している姉に目を向けた。
白「……何しとるんかな?」
文「え~ええやん、減るもんやないし」
ゴゴゴ…と白石の周りを黒いオーラが包んでも、文月には効果がないようだ。
怯える羽目になったのは友香里で、咄嗟にりんの服の裾を掴んでいた。(※りんはオーラが見えない)
『白石さん、電話大丈夫でしたか?』
白「……それがな」
180度違う態度をとる彼に、ツッコむ勇者はいない。
『何かあったんですか?』と純粋に心配してくれるりんに心を痛ませながら、白石は話し出した。
あれからりんは友香理の部屋へ移動し、2人でテレビを観ていた。
「めっちゃおもろい~」と無邪気に笑っていた友香里は、ハッと押し黙る。
そこには…ずーんと暗いオーラに包まれたりんがいたから。
-最近短期のバイト始めたんやけど、今店長から電話あってな
-急に人足りないから出て欲しい言われて
-無理やって断ったんやけど、5時まででええからって引かないねん
『…………』
-そういうことならしょうがないです。私は大丈夫ですから、気を付けていってきてくださいっ
りんの頭の中では、数分前に白石と交わした会話がエンドレスに繰り返されていた。
本当に申し訳なさそうに眉を下げる白石を見たら、自然と口にしていたのだ。
バイトをしているなんて、初めて知った。
『(一緒にいたかった…)』
膝の上に乗せていた手をきゅっと握った時、友香理が「大丈夫やって!」と背中を叩いた。
友「くーちゃんがバイトしとるなんて私も初めて聞いたけど、絶対早よ帰ってくると思うで」
『そうかな…?』
友「やってあの(溺愛しまくりの)くーちゃんやで?それしか考えられんもん」
出掛ける前、何度も何度もりんの頭を撫で、小さく手を振るりんへ何度も(以下略)振り返っていた白石なのだ。
例え津波や吹雪に襲われようとも、彼は絶対にりんの元へ戻ってくるだろう。
友「せやから、りんちゃんはうちと遊んでよ?なっ」
友香理に元気付けられて、りんは『うん…!』と笑顔で頷いた。
文「お客様がいらしたでー」
友「『ふぇ?』」
ぱっとドアの方に目を向けると、文月の後ろから姿を見せたのは…