ふたり。
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*りんside*
大きな声で応援してたら喉が乾いたので、試合の間を見計ってジュースを買いに来た。
…のは良いのだけれど。
「あの…白石くん!これ、貰ってくれる?」
自販機の前でジュースを買っていた時、大きな木の近くで知らない女の子と白石さんがいた。
女の子の手にはお弁当?があり、顔を真っ赤にしている。
(私お邪魔だよね…)
今日はこの光景をたくさん見るなぁ、と思いながらこの場から離れようとする。
…けど、
白石さんがどうするのか、何でかわからないけど…すごく気になった。
駄目だと思いながらも、自販機の影に隠れて様子を伺う。
白「…おおきに」
お弁当を受け取った白石さんに、女の子は本当に嬉しそうに笑った。
(…桜乃ちゃん、みたい)
その時、胸がズキンと痛くなった。
もしかしたら本格的な病気なのかもしれない…
う゛~と胸を押さえ考えていると、「りんちゃん?」と名前を呼ばれた。
『あ…し、白石さん!』
あたふたと慌てる私を不思議そうに見つめる白石さん。
手に持つジュースを見て納得したようだった。
『あの、試合お疲れさまです…っ』
そう言えば、「ありがとう」と笑顔で返ってくる。
白「最後…ほんまは負けてたかもしれん」
「もっと練習せなアカンな」と微かに笑う白石さんを見つめる。
本当は、悔しいはず。
不二先輩も、あんなに悔しがってたから…
白「…試合戻ろか」
黙って俯いてると、白石さんが一歩前を歩き出した。
何て伝えたら良いのか、何て声をかけたら良いのかわからない。
ただ1つ、確かめたいことがあるの。
『く…蔵、お兄ちゃん…』
小さく小さく呟いた声。
歩く足をピタッと止めて、白石さんがゆっくり振り返る。
目を見開いて驚いていた。
白「…覚えててくれたんか」
コクンと頷く。
『はい…忘れてて、ごめんなさい』
何も変わってなかったのに。仕草も、笑顔も。
白「りんちゃんは、変わらへんな」
『?』
白「すぐにわかった。あの時の女の子やって」
そう言って頭の上に伸ばされた手。
だけど、触れる前に下ろされた。
顔を上げると、少し寂しそうな表情の白石さん。
試合が始まる前、白石さんに会った時に見た顔と一緒だった。
…もしかして。
『あの、』
誤解させてるんだ。
『毒手のことは、確かにすごくびっくりしました。
…でも、白石さんは白石さんです!』
そう叫んだ私を見つめ、白石さんは目を丸くした。
白「そうか…」
ふわり、少し照れたように、嬉しそうに微笑んだ。
あの時と、何1つ変わらない。
『…どうしたら白石さんの腕が治るのか、私、頑張って調べて見ますね!!』
そう宣言すれば…
白「……ふ、」
『?』
白「はははっりんちゃ、めっちゃおもろい…ふ、ははっ」
『あ、あの?』
突然笑い出した白石さんを見て首を傾げる。
何か可笑しなことでも言っただろうか。
でも、白石さんの笑った顔を見てると何だかすごく嬉しくなった。
いつの間にか、胸の痛みも消えて…ズキンじゃなくて、ドキンと鳴いた。
『……?』
今日はやっぱり、何かが変だ。
謙「…なぁ、」
ユ「ん?」
謙「白石って…あんな風に女の子に笑う?」
ユ「…初めて見た気いする」