ふたり。
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金「何すんねん!う゛あ、白石…」
白「何やっとるん?そろそろ出番やで」
後ろ襟を掴まれ振り向いた金太郎は、白石の姿を見て言葉を詰まらせた。
金「でも見てみぃあそこ!謙也のゆうとった、めっちゃ図太い体で指から毒素を出し、3つの目でごっつう睨んでくるアメリカ帰りの大男…コシマエや~!!」
『………』
りんがその人間像を想像していると、白石がゆっくり向かって歩いて来た。
りんはリョーマの後ろにいて姿は見えず、白石は気付いていない。
白「ほんまや。
まぁ正確には、めっちゃ図太い神経で唯我独尊、三白眼でごっつう睨んでくる…アメリカ帰りの越前や」
「なぁ?」と言って、白石はリョーマを見据える。
『(…お兄ちゃん、そんな風に思われてるんだ)』
りんは悔しくなり思わず俯いた。
白石がそんな風に思っていることがすごく嫌だった。
白「りんちゃん?」
顔を上げると、少し驚いた表情の白石と目が合う。
『こ、こんにちは…っ』
頭を下げるりんを見て、リョーマが口を開こうとした時、
金「せっかく東京に来たんや~めっちゃ戦いたいわ!
しーらーいーしー!今から空いてるコートで野試合したらあかんの?」
金太郎がぴょんと飛び跳ねた。
白「ダメ」
金「いやや、わいはやる!」
白「アカン」
金「いやや、やる!!」
白「…しゃーないわぁ」
白石はそう言うと、左腕を高く上げた。
りんが目を丸くしている横で、金太郎は「ほ、包帯とんの?」と肩を震わせる。
白「仕方あらへんやろ?
金太郎が聞き分け悪いよって、」
金「ちょ、ちょっとタンマ!毒手いやや、まだ死にとぉない!!」
勢い良く手を横に振り、後ろに下がる金太郎。
りんがポカンとして状況が読み込めていない内に、白石は左腕の包帯を解き始める。
金「わい漫画で読んだでぇ、毒手って…焼けた砂と毒を交互に突き続けて、2週間位苦しみ続けると毒が染みて、その手に触れし者は死に至るっちゅーやつやろぉ!!??」
白「金ちゃんは死にたいん?」
金「死にとぉない、死にとぉない!!」
金太郎が慌てて首を横に振ると、白石は包帯を元に戻した。
白「せや金ちゃん。野試合やらへんでも次の不動峰戦に勝てば、コシマエ達の青学と当たるで」
金「ほ、ほんまか!?」
白「ほんまや」
金太郎は「よっしゃ」と叫んでリョーマへ振り返る。「コシマエ、またなぁ」と満面の笑顔を向け走り去ってしまった。
金「りんも、またなぁ~!!」
くるっと振り返り大きく手を振る金太郎を見ても、りんはそれどころではなかった。
『(…ど、毒手…?)』
金太郎の言葉がぐるぐる頭を駆け巡る。
白「…りんちゃん?」
白石が手を伸ばした時、ビクッとりんの体が震えた。
暫く沈黙が続き、目の前に伸ばされた手は静かに元に戻された。
白「…お騒がせしてしもうたなぁ」
ふっと小さく笑い、白石は背中を向けて歩き出す。
寂しそうな顔が、りんの頭の中にいつまでも残っていた。