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『返した…!』
死角を突かれているはずなのに、リョーマは打ち返す。
"手塚ゾーン"で、僅かにボールの起動をずらしていたのだ。
それからラリーは続き、4-4までに追いついた。
タンホイザーサーブを連続で決め、跡部が5-4とリード。
しかしリョーマがすぐ追いつき、5-5に。
両者一歩も譲らない試合が続く。
『(…跡部さんじゃないみたい)』
今までの跡部は自ら持久戦を選んでいた。
しかし、今は部長としての選択をしている。
氷帝勝利の為の…超攻撃型テニス。
6-5と跡部がリードしていたその時、リョーマ目がけて突然照明が落ちてきた。
『お兄ちゃん!!』
慌ててりんが叫ぶと、リョーマは構わず隙間に打ち込む。
驚いて腰が抜けそうになっているりんを見て、リョーマは帽子を渡すように投げた。
そして再び跡部と向かい合い、
リョ「アンタが死角つかれてちゃ、終わりだよね」
跡「望むところだ。決着をつけてやる」
試合はタイブレークまで突入し、誰もがいつ終わるのかと目を見開いた。
ついに、リョーマと跡部が倒れてしまった。
90秒以内に次のプレーを始めないと相手のポイントになる。
つまり、起き上がった者が勝利する。
宍「おらぁーっ起き上がれ跡部!!」
海「越前立てコラー!」
観客席から聞こえる様々な声。
その時、跡部が立ち上がった。
乾「チェンジコートの際与えられる時間は90秒。あと12秒以内に越前がサーブを打たなければ、ポイントは跡部に加算される」
『…っお兄ちゃん!!』
立って、お願い!!
そう願い目をギュッと閉じるりん。
あと10秒。9…8…7…6…5…
…リョーマはゆっくり立ち上がった。
『!!』
ツイストサーブを打ち、相手コートへ。
しかし、跡部は動かなかった。
手「…気を失っても尚君臨するのか」
『(すごい…)』
りんと同じことを、この時リョーマも感じていた。
「ゲームセット ウォンバイ…越前リョーマ 7-6!!」
青学は準決勝進出を決めた。
菊「おっチビ~!!」
桃「ハラハラさせやがって!!」
青学の皆はリョーマに駆け寄る。
りんが嬉し涙を堪えていると、いつの間にかリョーマが目の前に立っていた。
『お兄ちゃ「届いたよ」
リョーマは真っ直ぐに見つめる。
リョ「りんの声が聞こえたから、諦めたくないって思った」
そう言ってポンとりんの頭に手を乗せるリョーマ。
『…うん、』
泣きたいのと嬉しいので複雑な表情になるりんを見て、リョーマは小さく笑った。
リョ「……そうだ、」
『え?』
撫でていた手を止め、くるっと跡部へと振り返った。
リョーマはバリカンを手に持ち近づいてゆく。
『お、おお兄ちゃん!?』
リョーマの行動を悟り、りんが慌てて駆け寄ろうとした時、跡部がバリカンを自ら掴んだ。
自分の髪を短く剃り、「頂点に立てよ越前」と一言。そのまま立ち去ろうとする。
『跡部さん…っ』
りんが呼ぶと一瞬だけ止まったが、跡部はそのまま振り向こうとせず行ってしまった。
忍「跡部、ええんか?りんちゃん」
跡「………」
芥「かわいそーだC!」
跡「こんなとこ、見せられるかよ」
そんな跡部の気持ちとは裏腹に、コートに残されたりんはというと…
『(私、何か跡部さんに嫌われることしちゃったのかな…)』
すっかり勘違いをしてしまっていた。