約束
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*りんside*
菊「んまぁ~い!!」
『本当ですか?良かったぁ』
桃「試合後の飯は最高だなー!」
リョ「…桃先輩、試合してないじゃん」
沢山作って来たおにぎり。あっとゆう間になくなるのを見て、すごく嬉しかった。
『私、飲み物買って来ますね。お兄ちゃんはファンタでいいよね?』
リョ「一緒に行こうか?」
お兄ちゃんの優しさを嬉しく思いつつ、近いから平気と言って断った。
皆から離れ自販機を探しに早足で歩く。
キョロキョロと首を動かしていると、氷帝の皆が試合を見ている姿に気付いた。
「跡部様!オイラお弁当作ってきたんだっ!」
女の子が跡部さんにお弁当を差し出したけど、邪魔だメス猫と言って断られていた。
跡「さぁ行くぞ樺地、決戦だ!」
そう言って振り返ったところで目が合う。
私が声をかけるより先に、跡部さんが近付いて来た。
跡「…覚悟していろ」
ポンと頭に手を乗せて行ってしまった。
素っ気ない言葉と反対に、乗せられた手が温かくて優しかった。
忍「ほな、りんちゃんまた明日」
『はい!』
笑顔で手を振れば、さっきの女の子に睨まれた。
(うう…視線が…)
その視線から逃れるように俯く。
向「おい侑士…あそこ見て見ろよ」
がっくんの言葉に顔を上げその方向を見るとー…
大阪の四天宝寺。
(…あ、)
コートを見ている人の中に白石さんの姿があった。
後ろ姿を見ていると突然白石さんが振り向いたので、びっくりして手に持っていた小銭を落としそうになった。
(ど、どうしよう…!)
何か言った方が良いのだろうか。
でも、向こうは数日前のことなんて覚えてないかもしれないし…
軽くお辞儀をして、その場を去ることにした。
気のせいかもしれないけど、背中ごしに白石さんがまだ見つめている気がした。
自販機の前でピッとファンタのボタンを押す。
試合が終わったからか、ほとんどの学校が帰ってしまったらしく、少しの人しかいない。
飲み物を持って歩きだそうとした時、そのうちの1本が腕の間から落ちてしまった。
コロコロと転がるファンタを目で追っていると、大きな足元の近くで止まる。
ひょいと持ち上げた人を見て思わず目を見開いた。
(…何で)
ファンタを片手で持って、自分を黙って見据えている白石さん。
混乱している私に向かって白石さんはゆっくり歩いて来る。
『…あ、ありがとうございます!』
白「ええよ」
白石さんは小さく笑うと、私の腕の中にファンタを戻した。
『あの…覚えてないかもしれませんが、この前は声をかけてくれてありがとうございました』
ペコリ頭を下げたら、白石さんはちょっと目を丸くしてははと可笑しそうに笑った。
白「別にそんなん普通やで?大したことしてへんし」
(!そ、そうか…)
自分おもろいなぁと再び笑われ、何だか恥ずかしくなった。
赤い頬を手で押さえていると白石さんが急に真剣な表情になる。
白「…聞いてもええか?」
『?はい』
何をだろうと思いながら頷いた。
少し言いにくそうに口元に手を添えてから、白石さんは真っ直ぐに私を見つめる。
白「名前、教えて欲しいねんけど…」
『(そっか、まだ言ってなかったっけ)
越前りんです』
そう微笑んで言ったら、白石さんは目を見開いた。
変なことを言ってしまったのかと思い首を傾げていると、「そうか…」と呟くようにどこか嬉しそうに言われた。
『白石、さんは…下の名前なんて言うんですか?』
気のせいか、白石さんの表情が一瞬寂しそうに見えた。
でもすぐに元に戻って、
白「蔵ノ介…白石蔵ノ介や」
そう言って微笑んだ。
(くら…の、すけ)
゙蔵ノ介゙
聞いたことがあるような気がした。
『あの、私…白石さんを見ていると、その…懐かしい気持ちになるんです』
何故だかわからない。
でも、
まるで前から知っていたみたい。
白「…俺もや」
そう言って、ふわり微笑んだ。
その笑顔を見た瞬間、夢の中の男の子が頭を過った。
約束して指を離した後見せた、陽だまりみたいな笑顔。
ひどく安心して、優しい気持ちになれて…
あなたは、すごく、似ています。
いつの間にか辺りを夕日が照らしていて、白石さんの髪を赤く染める。
きっと、何かが始まる…そんな気がした。