合宿Ⅱ
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*りんside*
息を切らして走る。
宿舎を飛び出して向かったのは…テニスコート。
ふとラケットにボールがあたる音がしたので更に近寄ると、1人サーブを打つ跡部さんがいた。
跡「……何か用か?」
『!え、えと…』
気付かれていたとは思ってなかったから、慌てて言葉を探した。
『跡部さんに、言わなきゃいけないことがあって!』
そう言うと、跡部さんは少し目を見開いた。
『…ありがとうございました』
頭を下げてお礼を言う。
『お兄ちゃんの為に…試合をしてくれて』
跡部さんは、お兄ちゃんの最大限の力を引き出す為にスマッシュを連打した。
練習の成果で手首はマヒしないで済んだけど。
跡「…自惚れるな。
俺様達は暇潰しに来ただけだ」
『でも、』
跡「それに…」
跡部さんは言葉を濁した。
跡「お前らは氷帝に勝ったんだ。決勝で簡単に負けるようじゃ…プライドが許さねぇ」
私が目を丸くしている間に、跡部さんはラケットをバッグにしまい立ち去ろうと背中を向けた。
『ハ、ハヤシライスは…美味しかったでしょうか』
跡部さんはゆっくり振り返ると暫く私を見つめ、それから吹き出すように笑った。
『??』
可笑しそうに、試合の時とは全員違う顔で。
跡「変な女だな」
不思議に思い首を傾げていると、また小さく笑われた。
(やっぱり…)
笑うと優しい顔になるところとか
言いにくいことを言う時に顔を背けるところとか
お兄ちゃんに、似てるんだ。
「旨かった」と優しい顔で言ってくれた。
跡部さんの笑顔が見れて何だか嬉しくて、気付いたら私も微笑んでいた。
大波乱だった(らしい)トランプ大会も終わり、氷帝の皆は帰ることになった。
今はバスの前へ見送りに来ている。
大「今日はわざわざ来てくれてどうもありがとう」
跡「決勝戦、全力でいけよ」
芥「りんちゃん、またね~!」
向「じゃあな!」
『うん!』
すっかり仲良くなったがっくんとジロちゃん。
バスに入ってもずっと手を振っていた。
跡部さんが最後に中に入ろうとした時、くるっと振り返った。
跡「…じゃあな、りん」
"りん"
『…はい!』
満面の笑顔で笑ったら、跡部さんも笑ってくれた気がした。
バスが見えなくなるまで手を振っていると、何だか視線を感じた。
『…あの…?』
菊「何かりん、跡部と仲良しだね」
海「…まさか、す、好きになったとか…」
『はい!跡部さんは好きですよ?』
本当のことを言っただけなのに、皆一斉に目を大きく開いた。
不「…りんちゃん、意外とああいう人が好きなんだ」
『跡部さんは優しい方ですよ』
「「優しい!!??」」
更に驚いた顔をする皆。
私、そんな変なこと言ったかな?
『もちろん、先輩達皆大好きですよ!』
元気よく言うと、驚いていた先輩達が一斉に私を見た。
菊「俺も俺も!」
不「僕も、りんちゃんが大好きだよ」
『えへへ///』
大好きな皆にそんな事を言われて、すごくすごく嬉しかった。
リョ「(…今度試合したら絶対倒す)」
だから、お兄ちゃんが1人火花を散らしていたなんて気付きもしなかった。
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