合宿Ⅱ
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試合が終わって、氷帝メンバーは帰り支度をしていた。
『あの…っ』
振り返ると、りんがおずおずとした様子で立っていた。
宍「何だ?」
『えと、』
全員にじっと見られ、りんの体は少し強張る。
『良かったら、一緒に夕食を食べませんか?』
日「…夕食?」
『はい!たくさん作ったので…皆さんのご迷惑じゃなければ』
そうニッコリ笑うりんを見て、皆は顔を合わせる。
芥「マジマジ!?食べたいC~!!」
向「俺も!スゲー腹減った」
ジローと岳人は勢いよく身を乗り出した。
それから跡部をじーっと見る。
跡部は小さく溜め息を吐き、体を宿舎に向けた。
跡「勝手にしろ」
それを聞いたジローは、「やったー」と大きく手を上げる。
りんもつられて笑顔になった。
桃「うめーな、うますぎるぜ…!!」
菊「やっぱりんの料理はサイコーだにゃ!」
今日のメニューはハヤシライス。
喜んで食べる青学メンバーと違って、一口食べて固まってしまった氷帝メンバー。
『(も、もしかして…不味かったのかな?)』
跡部の別荘から来ただけに、きっと美味しいものをたくさん食べているだろう。
今更だが、りんは恥ずかしく思った。
忍「…なんやこれ、」
『(やっぱり…!)』
忍「こんな旨い思わんかった…」
『え、』
忍足の言葉で顔を上げると、パクパクと食べる姿が瞳に映った。
鳳「これは…味付けはどうしてるの?」
宍「……旨いな。」
向「何杯でもいけるぜ!」
日「…芥川先輩、寝ないで下さい」
どうやら好評だったみたいだ。
りんはホッとして肩の力を抜いた。
…けれど、黙って食べている跡部の姿が。
『あの、跡部さ「なぁ、りんって呼んでいいか?」
岳人はニッと笑って話す。
『はい!もちろんです』
向「俺も岳人でいいぜ」
芥「じゃあじゃあ、俺も名前で呼んでね!」
今まで寝ていたジローが勢いよく体を起こす。
2人に一気に話しかけられ少し困惑したりんだが、すぐに笑顔になった。
『えっと、じゃあ…がっくんにジロちゃん、で//』
先輩を名前で呼んだことがない為、すごく恥ずかしかった。
ジローも岳人も、そんなりんを見て嬉しそうに笑った。
『あれ…?』
夕食後、何故か青学VS氷帝でトランプ大会をすることになった。
りんが洗い物を終え皆のいる部屋へ行く途中、縁側でジローが眠っていた。
『ジロちゃん、風邪ひくよ?』
体を少し揺さ振ると、パチッと目を開く。
「んー…」と伸びをしながら欠伸を繰り返すジロー。
芥「…ん?りんちゃん?」
『うん』
芥「つい気持ち良くて寝ちゃったC~」
ジローはへへへと笑う。
りんも縁側に腰掛け空を見上げた。
真ん丸の満月が暗闇に映えていて…とても綺麗だった。
『これから…また跡部さんの別荘?』
芥「んーん、多分もう帰るよ」
『そうなんだ…
(皆と少しだけ近付けた気がして嬉しかったのに…)』
しゅんと肩を落とすりん。
それと同時に…ずっと胸に引っ掛かっていた疑問を思い出した。
『お兄ちゃんと跡部さんの試合を見て、思ったの…』
芥「え?」
『跡部さんは…本当はすごく優しい人なんだって』
ジローは一瞬目を丸くしたが、すぐに「うん」と頷いた。
芥「跡部はさ、誤解されやすいんだよね。
でも、いつも俺のこと探して起こしてくれるし、誰よりも仲間思いなんだよ」
空を見上げながら話すジローを、りんはただ黙って聞いていた。
芥「この練習試合もさ、手塚に頼まれたからなんだよ」
驚いてジローを見る。
芥「電話があってね、青学との練習試合を頼まれたから来たんだ。
竜崎先生に案内してもらってね」
『(…そうだったんだ)』
この練習試合はスミレが計画したものだと思っていたりんは、驚きを隠せなかった。
『…私…行ってきます!』
芥「え?どこに…」
ジローの言葉は届かず、急いで走って行ってしまった。
芥「…あんな子もいたんだなぁ」
小さく呟いた言葉は、闇夜に消えていった。