合宿Ⅰ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
*りんside*
「「いただきまーす!」」
お風呂から上がった皆は、元気よく手を合わせた。
今日はカレーライス。
たくさん人数がいる時にはピッタリなメニューだ。
(な、何か緊張するな…)
スプーンを口元に持っていく皆を見て少し怖かった。
…………
一口食べて反応がない。
『あの…?』
恐る恐る聞いてみる。
案の定、皆固まっていた。
(お兄ちゃんは黙々と食べてるけど)
桃「…う、旨すぎるぜ」
桃城先輩の手が震えていた。
乾「新しいデータに加えなければ…」
菊「さいっこ~!」
不「うん。すごく美味しいね」
『あ…ありがとうございます//』
喜んでくれて、本当に良かった。
美味しそうに食べてくれる顔がすごく好き。
皆を見てたら、嬉しくて自然と頬が緩んだ。
夜、お風呂から上がって部屋に行く途中、すごいはしゃぎ声が聞こえた。
襖を覗いて見ると、桃城先輩と海堂先輩と菊丸先輩が枕を投げ合っていた。
(…楽しそうだな。)
呑気にそんなことを思っていると、急に襖が開いた。
その拍子に思わず転けそうになる。
リョ「…りん」
『お兄ちゃん!』
目の前にパジャマ姿のお兄ちゃんが立っていた。
「何でここにいるの?」と今にも言いたそうな表情をしている。
『えっと、前を通ったら、皆の声が聞こえたから!』
聞かれる前に答えると、お兄ちゃんは「そう」と短く呟いた。
リョ「りん、今から時間ある?」
『え?』
リョ「ちょっと…ついてきて欲しいんだけど」
予想外な言葉にびっくりして目を丸くした。
お兄ちゃんを見ると、気まずそうに顔を反らしていた。
ふと帰ってきた時の何か言いたそうなお兄ちゃんの顔を思い出す。
『…うん!ちょっと待ってて』
宿舎の前で待ち合わせをして、慌てて部屋に向かった。
桜乃ちゃんと朋ちゃんに事情を話して、着替えて髪を乾かして外に出た。
朋ちゃんはすごく羨ましがっていたけど…
宿舎から少し離れた所にお兄ちゃんがいた。
Tシャツを着て帽子を被っている。
『お兄ちゃん!』
そう呼んだらお兄ちゃんはゆっくり振り向く。
リョ「…行くよ。」
素っ気なく呟いてスタスタ歩くお兄ちゃんの後を、慌ててついて行った。
(どこに行くんだろ)
何にも言わないお兄ちゃんを不思議に思いながらも、どんどん景色は変わってゆく。
長い坂道を登って、森林を通り抜ける。
暗くて怖いと思ってたけど、お兄ちゃんがいるから安心だった。
(…それにしても、流石に疲れたよ…)
急な坂道はすごく大変だった。
練習の後だとゆうのに、涼しい顔で登るお兄ちゃんは本当にすごい。
声をかける前に、くるりとお兄ちゃんが振り向いた。
どうしたのかと思ってるうちに手を繋がれる。
『お、お兄ちゃん?あの、』
動揺して目の前のお兄ちゃんを見つめると、「あと少しだから」と言って再び歩き出した。
お兄ちゃんは本当に頼りになるなぁと、改めて感じた。
リョ「…目、瞑ってて」
急に言われ、疑問に思いながらもコクンと頷いた。
瞼を閉じてお兄ちゃんについてゆく形で歩く。
暫くしたら立ち止まった。
リョ「…いいよ。」
ゆっくり目を開けると、見えたのは…
『…わぁ…』
キラキラ輝く湖。
月の光と夜空の星が反射して、うっすらと湖に映っていた。
『すごい綺麗…』
あの宿舎からこんな場所があるなんて、想像もつかなかった。
(…お兄ちゃんは、これを見せたかったんだ)
チラリ隣を見ると、お兄ちゃんは黙って湖を眺めている。
『ありがと、お兄ちゃん!』
満面の笑顔で言ったら、「うん」と小さく聞こえた。
リョ「ランニング中に見付けて…りんに見せたかったんだ」
お兄ちゃんは微かに笑ってるように見えた。
リョ「暗いの苦手だってわかってたけど…どうしても見せたかった」
そんなことを言ってくれるお兄ちゃんは、すごく優しい顔をしていた。
『お兄ちゃん、』
本当に…合宿に来て良かった。
青学のマネージャーになって良かった。
『明日も…頑張ろうね!』
そう言ったら、お兄ちゃんはフッと笑った。
いつまでも、
こうして一緒に見ていたいって言ったら、また笑われそうだったからやめた。