妹離れ
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『あ、』
りんは、大きな木の下で昼寝をしているリョーマを見つけた。
『お兄ちゃ…』
傍に寄って声をかけようとしたが、余りにも気持ちよさそうに寝ている為りんは思いとどまった。
小さい頃、よく一緒にお昼寝をした。
寝ている時のリョーマは、あの頃と何も変わらないあどけない顔。
リョ「…ん…」
『!!』
リョーマが身動ぎをしたので、りんは驚いた。
ぱちっと目を開いた瞬間目が合う。
リョ「……何してんの?」
『えっと、そろそろ試合始まるから…!』
慌てて言うりんに、「まだ出番じゃないんだけど」と一言。
リョーマは無言で立ち上がり背中を向ける。
『お兄ちゃん、どこに…』
リョ「…走ってくる」
振り向かず呟く。
りんはギュッと拳を握り締めた。
『…私、何かした?』
すごく小さな声で、俯きながら言う。
『お兄ちゃん、目…合わせてくれないから…』
次第に涙声に変わってゆく。
溢れそうな涙を、ぐっと堪える。
リョ「………っ…」
リョーマは振り返りりんの近くまで来た。
頭に手をのせようとして、思いとどまる。
リョ「……早く戻れ。」
片腕をもとに戻し走り出した。
『お兄ちゃ…』
顔を上げてもそこには誰もいない。
心地よい風が、りんの髪を揺らした。
不「りんちゃん、遅かったね。越前は?」
『……えと、ランニングだそうです』
不「…どうかした?」
笑顔で話すりんを、不二は心配そうに覗きこむ。
『何がですか?いつも通りですよ!』
不「…そう。」
目が赤いことに、りんは気付いていなかった。
ダブルス2、ダブルス3と青学は勝利し、勝敗はシングルス3にかけられた。
『海堂先輩、頑張ってくださ「りんさーん!」
声のした方を見ると、葵がコートで手を振っていた。
海「…知り合いか?」
『は、はい』
りんは照れながらも、小さく手を振り返した。
葵「(よぉし、りんさんが見てるんだ。頑張るぞー)」
海「……」
葵「よろしくお願いしまーす」
海「あぁ…よろしく」
海堂は押し始め、試合は一気に4-0まで進んだ。
しかし、
15-0…30-0と葵のサーブが決まり、流れは一気に六角になってしまった。
葵「(入んなきゃ3年間ブスな女の子に良い寄られる…)嫌だ!!」
試合中、葵がこんな事を考えているなんてりんは知らなかった。
ライン上にボールが落ちると思ったその時、
海「ふざけるなぁー!!」
海堂が打ったボールが、相手コートに入った。
『先輩!』
海堂の頭から、血が流れる。
それをバンダナで結んだ。
体力が落ちた葵をジワジワいたぶる。
それが…海堂のテニス。
「ゲームセット ウォンバイ…青学海堂 ゲームカウント 7-5!」
桃「おぉー!やりやがった海堂ーっ!!」
青学の選手達は、両手を上げて喜ぶ。
『か、海堂先輩!大丈夫ですか?』
スミレの肩にもたれかかる海堂に、りんは急いで駆け寄る。
海「…平気だ。心配するな」
本当に心配そうな顔をするりんを宥めるように言った。
葵「りんさん!」
『葵さん、』
振り返ると、葵が複雑な表情をして立っていた。
葵「えっと…(かっこ悪い所を見せてしまった。嫌われたかな…)」
『試合…お疲れ様です!』
葵「!!」
笑顔で言うりん。
『同い年なのに…あんなにテニスが上手なんて、羨ましいです』
葵「あ…ありがとう//」
葵は照れたように鼻を指でこすった。
葵「僕、次は越前君とも試合してみたいなぁ」
それを聞いた瞬間、りんの顔が少し曇った。
葵はそれを見逃さなかった。
葵「りんさん、」
『はい』
葵「笑って下さい」
『…え』
葵「君には、笑顔が一番似合うと思う」
葵を見ると、ニッコリ微笑んでいた。
『……』
葵「じゃあ、もう行きますね」
きびすを返し背中を向ける。
『……葵さん、』
小さな声に振り返ると、りんが俯いていた顔を上げて真っ直ぐ前を見ていた。
『…ありがとう。』
そう言って優しく微笑む。
「どう致しまして!」と元気に返し、葵は皆の所まで走って行った。
佐「剣太郎、遅いぞ」
樹「顔真っ赤なのね」
葵「そそ、そんなことないですよ!//」
慌てる葵を見て、首を傾げる六角メンバーだった。