氷帝
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
*りんside*
桃城先輩のレギュラー落ちを聞いたのは、練習を見に青学へ行った時。
菊丸先輩に誘われて、お弁当を持ってお兄ちゃんと行くことにした。
でも、皆の雰囲気がちょっと違っていた。
大「こらそこ1年!声が出てないぞ!!」
いつも穏やかな大石先輩が怒っているように見えた。
乾「大石の奴、相当イラついてるな」
不「うん」
『乾先輩、不二先輩!』
不「りんちゃん。来てくれてありがとね」
『いいえ!あの、何かあったんですか…?』
不「…うん。実は…」
桃城先輩は、ここ最近練習に顔を出していないみたい…
(…心配だな)
教室から曇りの空を見上げて思った。
私にできることがあれば良いんだけどな。
(先輩の行きそうなところって…)
ある場所を思いついて、授業終了と同時に走りだした。
やって来たのはストリートテニス場。
桃城先輩、いるかな…
階段を上がりコートを見ると、杏ちゃんと試合をしてる先輩がいた。
杏「何か桃城くんらしくなってきたね、やっと。」
桃「そーか?何も変わんねーけどな」
何だか楽しそうで、声をかけるタイミングを逃してしまった。
杏「あれ、りんちゃん?」
どうしようか考えていると、杏ちゃんがこっちに気付いてくれた。
『こんにちは…』
杏「どうしたの?そんなに息切らして」
『えっと、桃城先輩を探していて…』
桃「俺を?」
桃城先輩は目を丸くして私を見た。
『その、先輩が最近部活に来ていないって聞いて…心配になって…』
もしかしたらすごく大きなお世話かもしれないって、喋ってる途中で気が付いた。
先輩は一瞬目を開いて、すぐに笑顔になった。
桃「……さんきゅーな」
そう言って、頭を撫でてくれた。
(先輩は変わってない)
安心してか、自然と笑顔になる。
桃「杏…いや、橘妹もさんきゅーな」
杏「何よ、言い直さなくたって!!」
3人で笑い合う。
「随分と楽しそーだな、桃城よ」
声が聞こえた方を見ると、男の人が観客席に足を組んで座っていた。
後ろには同じジャージを着た人達が立っている。
桃「…どーも」
「モテモテじゃねぇの」
(…誰?)
桃城先輩の反応からして、多分知り合いだ。
杏「……っ跡部…」
『え?』
杏ちゃんが悔しそうな顔で呟いた。
跡部って…杏ちゃんが言ってた人?
この人が…
跡「都大会では兄貴にまんまとやられたぜ。杏ちゃんよ」
跡部さんは杏ちゃんを見据える。
杏ちゃんのお兄さんは不動峰中の部長で、跡部さんは氷帝学園なんだよね…
跡「関東大会からは全員正レギュラーで臨ませてもらう。
二度とあんな間違いはない」
「おい跡部、こいつホンマに青学レギュラーなん?
大したことなさそーやん」
眼鏡をかけた人が、桃城先輩を見ながら言った。
桃「あ"?上等じゃねーか、コートに入れよ」
「悪いけど俺らダブルス専門」
「お前その娘達とでも組んでやる?」
いつのまにか、眼鏡の人の横に赤毛の人が座っていた。
桃城先輩は振り返り、杏ちゃんと私を交互に見る。
杏「テニスならりんちゃんの方が上手よ」
『え!そんなこと、』
杏ちゃんがウィンクしながら言った。
杏ちゃんの方がずっと上手なのに…
リョ「ねぇ、サボリっすか?桃先輩」
聞き慣れた声がして振り返ると、階段の所にお兄ちゃんがいた。
『お兄ちゃん!』
桃「越前!?」
杏「越前くん良いトコに、今ね…」
3人に一気に話しかけられてお兄ちゃんは迷惑そうな顔になった。
跡「…お前があの青学1年レギュラーか」
跡部さんが目を細めてお兄ちゃんを見ていた。
跡「あの山吹中の、怪物亜久津を倒したらしーぜ」
「え、あのチビが?」
(…チビ…)
「怪物亜久津も大したことあらへんなぁ」
「言えてるぜ侑士!
あの不良、煙草とか吸ってて体力続かなかったんじゃねーの!」
(………)
赤毛の人は可笑しそうに笑いながらジャンプした。
空中で回転して、桃城先輩とお兄ちゃんの後ろに降り立つ。
「俺がまとめて面倒みてやる、来いよ」
桃&リョ「「やだね」」
2人の声が見事に重なった。
その後暫く言い合いが続き、赤毛の人も「なんだ?こいつら…」と困惑していた。
桃「とにかく、コイツと組むくらいならりんと組むぜ俺は!」
『えぇ!』
リョ「ねぇ…それよりさぁ」
お兄ちゃんが私の前に立った。
真っ直ぐに前を見て、
リョ「そこのサル山の大将、試合やろーよ」
跡「あせるなよ」
リョ「逃げるの?」
「あのチビ、一丁前に跡部を挑発してるぜ」
「亜久津を倒したからって天狗になってんじゃねーの」
(………)
お兄ちゃんは…天狗になんかなってない。
それに…
跡「関東大会で直々に倒してやるよ。青学全員、完膚なきまでにな」
『…待って下さい』
立ち去ろうとする跡部さんに向かって、小さな声で引き止める。
皆一斉に私を見て、怖くて足が震え始めた。
『せ、青学は…負けません。桃城先輩も、お兄ちゃんも…すごく強いです、それに…』
俯いていた顔を上げて、
『お兄ちゃんは、チビじゃないです!』
………
「「「(そこ!?)」」」
私がそう言ったら、一瞬静まり返った。
何か変なこと言ったのかな…?
跡部さんは暫く私を見つめてたけど、すぐに背中を向けてしまった。
跡「…行くぞ」