妹と弟
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『確かこっちの方だったような…』
試合終了後、りんは裕太を探していた。
あのショットは肩に負担がかかると不二が言っていたので、心配になって思わず飛び出して来たのだ。
キョロキョロと首を動かしていると、ベンチで飲み物を飲んでいる裕太を見つけた。
『あの…!』
りんがかけよると、裕太は驚いたように目を見開いた。
裕「あんたは…」
『その…肩、大丈夫ですか?』
りんが何を言っているのかわからないのか、裕太は目を丸くしている。
裕「…平気だけど?」
『そう、ですか』
『良かったぁ』と微笑むりんを裕太は首を傾げて見つめる。
裕「…あんたの兄貴、大した奴だよ」
『えっ』
裕「越前リョーマだろ。
(観月さんが言ってた)」
『…はい!』
そう言って笑い、りんもベンチに腰を下ろした。
裕「越前は…好きか?」
声を少し低くして裕太が聞いたので、りんは一瞬戸惑った。
でもすぐに、
『はい!』
満面の笑顔で笑うと、裕太は「そうか」と小さく呟いた。
『裕太さんは…不二先輩のこと、嫌いですか?』
真剣な顔で尋ねると、裕太はりんから視線を反らして前を向いた。
裕「…どうだろうな」
『……私は、』
小さく呟くりんを見る裕太。
『もしお兄ちゃんがテニス上手じゃなくても、それでも…お兄ちゃんを尊敬します』
きっと、それでも、大好きなお兄ちゃん。
暫く黙って聞いていた裕太が急に立ち上がった。
近くに置いてあったテニスバッグを持つ。
裕「俺も、上に行きたい」
それからくるっと振り返り、りんと視線がぶつかる。
裕「…ありがとな、りん。」
照れくさそうに鼻をこする裕太。
『…はいっ』
りんがふわりと微笑むと、裕太もつられて笑った。
『(不二先輩と、仲良くなれるといいな)』
去っていく裕太の背中を眺めながら、そんなことを思った。