誓い
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*りんside*
明日は白石さんが来るから、その買い物をしていた帰り道。
両手にぶら下がる袋を見て、いつも以上に沢山の食品を買ってしまったと小さく息を吐いた。
ふと上を見上げれば、もう夕焼け空。
(…そうだ)
突然足を止め、くるっと方向を変えて歩き出した。
小さい頃、お兄ちゃんと良く遊んだあの公園。
その奥にある、ほとりのような場所。
『変わらないなー…』
キラキラ輝く湖。周りにある色とりどりの花達。
…そして、大きな木。
あの頃と何一つ変わらず、まるでタイムスリップしたような感覚だった。
暫く思い出巡りをしていたが、やがて静かに腰を下ろした。
ここで、白石さんに初めて会ったんだよね。
゙どないしたん?゙
あの時声を掛けられなかったら、きっと…こんな風にはなれなかった。
指きりして、また会おうって約束した。
お兄ちゃんとも、確か指きりしたっけ…
゙ずっと妹で…傍にいで
私、本当に指きりしたがってたなぁ。
お兄ちゃんも白石さんも、困ってたんじゃないかな。
早く会いたいな、
二人に…
『…あれ…』
ポロポロと、何故か涙が溢れてきて。
自分でもわからない。
『な、んで…』
悲しがることじゃない。
明日にはすぐ会える。
なのに
今、傍にいない。
いくら電話で声を聞いても、手紙を貰っても
直接、会いたいって思ってた。
いつもみたいに、頭を撫でて欲しかった。
いつから私、こんなに欲張りになったのかな。
「また泣いとる」
その声に、顔を上げた。
ゆっくり後ろを見ると、夕日の光が反射して良く見えない。
だけど、すぐにわかった。
『白石さん…?』
何で?明日来るはずじゃ…
白「りんちゃんに早よ会いたくて、一日新幹線早めてもーた」
そう言って、ゆっくり近付いて来る。
白石さんの長い指が涙をそっと拭き、ドキンと鼓動が鳴った。
『…会いたかった、です』
白「…俺も」
『すごく、会いたくて…』
白「…うん」
どちらからかわからないけど、気付いた時にはお互いの背中に腕を回していて。
暖かくて、優しくて、白石さんだって実感した。
私…こんなにも好きだったんだな。
暫くして腕を解き、前を見ると白石さんは柔らかく微笑んでいた。
(うう…///)
その笑顔に、胸がキュウッと締め付けられるような感じがした。
顔に熱が溜まっていく気がして、慌てて俯く。
白「そや。りんちゃん、手出して」
『ふぇ?』
意気なりのことに目を丸くする。
言う通りに両手を出すと、ふわふわしたウサギのぬいぐるみが置かれた。
『これ…』
白「ホワイトデーのお返し。そんなんで悪いけど…」
良く見ると、そのウサギは小さな包みを背中に背負っていた。
白石さんを見れば、小さく頷かれる。
不思議に思いながらリボンを解くと…
『…指輪…?』
銀色の、シンプルな指輪。
驚いていると、白石さんは指輪を掴み私の指にそっとはめた。
左手、薬指。
白「…これからも、俺が好きなのはりんちゃんだけやから」
白石さんの指にも、同じような指輪がはめられてあった。
白「やから、ずっと俺の傍にいて欲しい」
ドキンと、大きく鳴る鼓動。
「アカン…?」と眉を下げて見つめられれば、断わるなんて出来ない。
それに…答えは決まってる。
『…はい』
真っ赤になりながらコクンと頷くと、白石さんは嬉しそうにふわりと笑った。
再びドキリとしてしまい、慌てて言葉を探す。
『で、でもこの指輪…高かったんじゃ、』
白「いや、姉ちゃんの店で買ったからそんなんでもないで。(小遣い前借りしたけどな…)」
でも、やっぱりすごく高そう。
私にも何か出来ることないかな。
貰ってばかりだと悪いし…
『あの、白石さんは何か欲しいものとかありますか?』
白「え?」
『えと、私も何かあげたいんです。白石さんに…私に出来ることでしたら』
そこまで言うと、白石さんは「んー…」と考えるように顎に手を添える。
私をチラリ見て、小さく笑った。
『?』
白「…じゃあ、」
近付いて来た白石さんに首を傾げていると、顔を下げて耳元にそっと囁かれた。
カァァと、一気に顔が赤く染まっていく。
パクパク口を開ける私に、ニッコリと笑う白石さん。
そ、それをしたら…白石さんは喜んでくれるんだよね。
だったら…
『えと、め、目を瞑っててくれませんか?///』
白「はい」
ははっと可笑しそうに笑ってから、白石さんは目を閉じた。
ドッドッと緊張の波が押し寄せて来る。
精一杯背伸びをして、そっと襟に手を掛けた。
゙りんちゃんからの、キスが欲しい゙
徐々に顔を近付けていく。
あと少しというところで、パッと襟を離した。
『やっぱり…無理です』
自分からなんて、絶対に出来ない。
やり方も良くわからないし……
白「…お手本、見せたるから」
え?と聞き返すより早く、白石さんは私の頬に手を添えた。
綺麗な顔がだんだんと迫って来て、反射的にギュッと目を強く瞑る。
「ねぇ、人の妹に何してんの?」