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*りんside*
2月14日。
無事に大阪に着きました。
だけど、
だけれど、
『き、緊張する…』
チョコケーキと、手編みのマフラーの入った袋を抱え込み、ギュッと力を入れる。
今更ながら、どっどっと緊張が押し寄せて来た。
(な、何て言えばいいんだろう///)
ストレートに言った方が…ううんやっぱり遠回しに…………と、遠回しって具体的にどうすれば良いの!?
ぐるぐると色んなことが頭を駆け巡り、混乱して来た。
告白、という単語はテレビドラマや少女漫画の世界だけだと思ってたから、まったく面識がない。
兎に角行ってみなければ始まらないよ…っ
そう一人で頷き、前大阪に来た時教えて貰った、白石さんの家を目指して歩きだした。
白石さんに会いに行くって決意した次の日、朝から一人新幹線に乗り込んだ。
日帰りの予定だけど遠出するし、お母さん達に何て言おう…と悩んでいたら、菜々子さんから上手く説明してくれると言ってくれた。
前触れもなく部活を休むことも初めてだったから、先輩達にはすごく迷惑をかけてしまった。
こんな風に、自分の気持ちを優先して行動することは初めてで。
それほど私にとって大切な人なんだって、実感させられる。
そんなことを思っている間に、もう目的の場所に着いてしまった。
白石さんの家は紅葉さんの家とすごく近い。(幼なじみなんだもんね)
大きくて綺麗な家を見上げて、すぅと息を吸う。
(頑張れ私…っ)
ふるふると震える手を伸ばし、意を決して呼び鈴を鳴らそうとした瞬間……
ドンガラガッシャーン!
家の中で大きな音がした為、びくっと体を浮かす。
ついでに呼び鈴も鳴らしてしまった。
「はーい、今行きますー」と中から声が聞こえてきて、慌てている間にもガチャッと玄関のドアが開いた。
顔を覗かせたのは、私と同い年くらいの女の子。
「…どちら様ですか?」
その子は、立ち尽くす私を不思議そうに見つめる。
『えと、私越前りんと言います。白石さ…く、蔵ノ介さんの……』
はたと、息詰まってしまう。
白石さんの、何なんだろうか。
『…こ、後輩です』
慌ててそう説明する。
間違っては…ないよね。
女の子は特に驚いた様子もなく、「そーなんですか」と納得したように頷いた。
「申し訳あらへんけど、兄は今出掛けとりますねん」
『え…そ、そうなんですか』
ショックと言うより今までの緊張が一気に解けて、体の力が抜けていった。
あれ?今兄って…
『あの…妹さんですか?』
「はい!白石友香里言います」
この子が…と目を見開く。
私と同い年の妹がいるって白石さんが言ってたから、どんな子なのかなって気になってた。
気付かぬ内にまじまじと見つめていたら、友香里…ちゃんも私をじっと見ていた。
友「………かわええ」
『え?』
突然、小走りで私に近付いて来る。
友「めっちゃ可愛い!!
お人形!??」
顔をぐいっと近付けて、友香里ちゃんはきらきらと瞳を輝かせながら私を見つめる。
何だか気恥ずかしくなってくると、ハッと気付いたように私の手を握った。
友「な、な、りんちゃんやったっけ。お菓子作りとか得意ですか?」
『ふぇ?得意かはわからないけど…好きです』
私がそう言ったら、友香里ちゃんはぱぁっと嬉しそうに笑った。
友「なら、ケーキ作るの手伝ってくれはりません?」
『へ…』
思ってもみなかったことを言われキョトンと目を丸くする。
友香里ちゃんは、私の持つチョコケーキが入った袋を指差した。
友「それ、クーちゃんにあげるやつやろ?」
『!!』
カァァと顔が赤く染まっていくのがわかった。
俯きながらもコクンと小さく頷けば、「なら尚更や!」と声を上げる友香里ちゃん。
友「どーしても今日作らなアカンのです!もう一人やと訳わからんくて…お願いします…っ!」
必死で頭を下げる友香里ちゃんを見ていたら、何だか放っておけなくて。
いいよと微笑みながら頷くと、友香里ちゃんは顔を上げて「おーきに!」と嬉しそうに笑った。
友「え!何やりんちゃんって同い年かぁ」
友香里ちゃんに家の中へ促されて、躊躇いながらも足を進める。
それにしても…綺麗なお家だな。
家の人達はきっと綺麗好き何だろうなぁ。
そんな風に一人感心しているうちに、キッチンまで案内されていた。
友「材料はあるんやけど…本見てもいまいちわからんくて」
『…………』
友香里ちゃんはそう呟きながらキッチンに立つ。
私は、散乱する道具達を一目見て固まってしまった。
(さっきの音って…)
家の前に行った時聞こえた、何かが崩れ落ちる音を思い出す。
友香里ちゃんはそんな私に気付いて、えへへと苦笑しながら頭を掻いた。
友「あ、これな。さっき探してたら何故かこんなに散らかしてもーて、」
『…まずは片付けからだね』
何だか長く?なりそうです。