幸せ日和
夢小説設定
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『どうしよ…』
思い切って来てしまったが、普通に考えれば皆授業中だ。
大きな校舎を目の前にしてりんは一人取り残された気分になり、泣きたくなってきた。
「…りん?」
聞き慣れた声音に俯きそうだった顔を上げると、
『赤也先輩…!』
赤「やっぱりんか。びっくりしたー!」
ようやく知り合いに会うことが出来て、心から安心した。
赤也は体育の持久走で走っていたら、りんに気付いたと説明する。
赤「突然どうした?」
『あの、明日バレンタインデーなので///』
『これ…』と大きな鞄から綺麗にラッピングされた包みを取り出す。
赤「…俺に?」
『はい。先輩にはいつもお世話になってますから』
りんは恥ずかしそうに頬を赤く染めて、ニッコリと笑った。
赤「ありが「りん!」
『丸井先輩、仁王先輩!』
赤也が受け取ると同時に、丸井と仁王が早足で近付いて来た。
仁「赤也、いたんか」
赤「走ってる時気付いて…って、先輩達授業は!?」
仁「ブン太がりん見付けて急に走りだすもんじゃから、」
『!え、ごめんなさいっ』
授業の邪魔をしてしまったと思い慌てて謝るりん。
丸井は「気にすんなって」と首を横に振った。
『あの、これを先輩達に渡したくて…』
赤「(やっぱ先輩達にもか)」
りんの性格を知らなかったら、先程の態度や表情では勘違いしていたかもしれない…と赤也は染々思った。
ラッピングされたそれを差し出されて、二人は目を丸くする。
丸「…チョコ?」
『はい!お口に合うかわからないんですけど…』
中身は、チョコ味の小さなカップケーキ。
丸井は食べていいかと確認を取り、ゆっくりと口に運ぶ。
丸「すげー美味い…」
『!本当ですか?』
『良かったー』と嬉しそうに微笑むりん。
丸井の顔は見る見る内に赤く染まっていった。
それを見た仁王は、ニヤリと口角を吊り上げる。
仁「良かったのぅ、ブンちゃん。やっと好きな子から貰えて」
丸「な…!///」
更に顔を赤く染め仁王をギロリと睨むが、対するりんはキョトンと目を丸くする。
ずっと同じ表情でいたが暫くすると顔が赤くなり、俯いた。
『わ、私も…丸井先輩のこと好きです///』
丸「…へ!?」
予期せぬ言葉に本気で驚く丸井。
仁王や赤也も目を見開いてりんを見ると、俯いていた顔を上げて…
『仁王先輩や赤也先輩も…立海の先輩方はすごく優しくて、大好きです!』
はにかむように、ふわり微笑んだ。
ふと自身の腕時計を見て、ハッと気付いたように慌て始める。
『あの、これから他の学校にも行かなくちゃいけないので…
これ、幸村さんや他の先輩達にも渡して貰えますか?』
丸「…あ、ああ」
さっき渡されたのと同じものを預けられる。
『お時間取らせてしまってすみませんでした。じゃあ、失礼します』
りんはペコリと礼儀正しく頭を下げて、背中を向け小走りで去って行った。
呆然とその場に立ち尽くす丸井の肩に、ポンッと手を置く仁王。
仁「完全な義理チョコじゃの」
丸「………」
数分間の花が飛び散る程の淡いオーラから、今は冷たい風が吹いてるように見えて、
赤「(…天然ってこえー)」
と、心から思う赤也だった。
一つ目的が果たせたりんは、次に青春台駅へと降り立った。
マネージャーのりんは青学へ行くことがもう習慣になっていた為、迷わず学校に辿り着くことが出来た。
『先輩達いるかな…』
もう昼時なので、中庭やベンチには数人だが学生の姿がある。
りんは取りあえず着いたことを知らせようと、携帯を取り出しメールを打った。
…その時、
「わぁ、りんちゃん?」