初日の出
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(玩具の)剣の先端が腹部に当たると思い、桃城の死を誰もが感じた時、パシッと音がした。
りんは恐る恐る閉じていた目を開けると、桃城の前に手塚が立ち塞がり、剣を片手で受け止めていた。
碧「(な、何だよコイツ…!)」
手「………」
カタカタと剣を動かそうとするが、びくともしない。
手「………」
碧「……っ」
手塚の鋭い視線…基、無言の圧力に、自分より強いと碧は本能的に察する。
暫くして、ゆっくりと剣を鞘に納めた。
『(さすが手塚部長…)』
キラキラと目を輝かせ、手塚を尊敬の眼差しで見つめるりんだった。
菊「りんーあっちに綿飴あるよ!」
『本当ですか?』
出店が大好きな菊丸とりんは、お参りの前に無邪気にはしゃいでいた。
先を行く二人の後ろから続いて歩く皆。
桃「お前はいーのか?」
碧「おうっ俺はりんを見てるだけでいいんだ」
そう言う碧だが、出店から漂う香りに気を取られている様子。
桃城は小さく肩を落とし、自分のりんご飴を差し出そうとするが、それより先にスッと同じものが差し出された。
海「…おら、これでも食ってろ」
海堂を見れば、ほんのりと頬を赤く染め横を向いていた。
碧は一瞬躊躇ったが、心は正直で、
碧「ありがと…」
受け取ると嬉しそうに小さく笑う。
その姿を見て桃城と海堂も微笑んだ。
碧「…マムシ、良い奴だな」
海「な!」
゙マムジと言う言葉に反応する海堂。
けど悪気はなく、桃城は「まぁいーじゃねぇか」と怒る彼を宥めた。
ようやく参拝者の列に辿り着いた頃には、もうすぐで新年になるからか、お参りをするたくさんの人達で賑わっていた。
はぐれないようにと碧の手を握り締め、並びながらりんも新年を楽しみに待っていた。
碧「りんは何お願いするんだ?」
『んー…そうだね、』
不「ふふ、りんちゃん。人に言ったら駄目なんだよ」
『あ、そっか…』
そんな会話をしている間にも新年を迎え、周囲の人々は口々におめでとうと言い始める。
りんもくるっと振り向き、
『明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします…先輩///』
ペコリと礼儀正しく頭を下げる。
桃「こちらこそ、よろしくなぁ」
桃城にくしゃっと頭を撫でられ、顔を上げて皆を見ると笑顔で同じことを言ってくれた。
自分達の番がやって来ると、参拝の仕方を碧に教えながら、りんもパンパンと手を合わせ目を閉じた。
『(…今年は素敵な人達にたくさん巡り会えました。来年も、皆にとって素敵な年になりますように…)』
ここでも他人の幸せを願うりん。
『(お兄ちゃんが風邪を引かないで健康に過ごせますように……あとは……)』
ふと頭に浮かんだ人物がいて、りんはボンッと顔を赤くした。
『(あ、あとは…えっと、///)』
あたふたと慌てて、やがて決心したように固く目を閉じお祈りする。
そんなりんの横では、
菊「りん長いにゃー」
不「…誰のことを願ってるかは大体予想付くね」
手「…そうだな」
その姿を微笑ましく思い、皆目を細め見守るように見つめていた。
おみくじを引き、そろそろ解散する雰囲気になってきた頃。
『あの、私行きたいところがあるので…ここで、』
菊「にゃ?行きたいところ?」
桃「俺達も付き合うぜー」
桃城の優しさを嬉しく感じたが、りんは慌てて首を振った。
『いえ、大丈夫です!ありがとうございます』
皆は心配に思いつつも、手を振り別れた。
りんの頬が微かに赤かった意味を不二だけは知っていた。
不「(…由美子姉さんが言ってたこと、本当だったんだ)」
この神社には、古くからある言い伝えがあったのだ。
手「…不二?」
不「いや…女の子って可愛いなぁと思って、ね」
手塚は首を捻りながら、楽しそうに口元を緩める不二を見ていた。