贈り物
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*りんside*
皆からたくさんプレゼントを貰って、どれも本当に嬉しかった。
裕太さんからは小さな花束、観月さんからは外国製の紅茶の葉っぱ。
不二先輩からはミニサボテン、菊丸先輩からは大きなぬいぐるみ、河村先輩からはかわむら寿司の食べ放題券。
丸井先輩からはスイーツ食べ放題券、赤也先輩からはゲームセンターの割引券。(何だか券ばっかりのような…)
河「りんちゃん、嬉しそうだね」
『はいっ』
青学の先輩達とケーキを食べていても、思わず笑顔になってしまう。
ふと四天宝寺の皆が近くにやって来て、それぞれの話に花を咲かせ始めた。
小「バンダナきゅん、タキシード姿も可愛いわね」
海「な、ジロジロ見るんじゃねぇ!」
小春さんと海堂先輩のやり取りが可笑しくて、笑いながらケーキの苺にフォークを通していると、お皿にもう一つ苺が置かれた。
反射的に振り返れば、白石さんと目が合いニコッと微笑まれる。
白「苺好きやろ?」
『あ、ありがとうございます!』
食べ掛けのショートケーキを見て、自分の苺を私にくれたんだとわかった。
白石さんと向き合う形を取ると、さっきはコートを着てたし、服装をちゃんと見てなかったけど、
白石さんは黒のジャケットの下にグレーのベストを着ていて、細身のパンツを合わせて履いていた。
白「?ん、」
『あ、ごめんなさい!えと、白石さんのそんな格好を初めてみたからっ』
慌てて手を横に振ると、白石さんは「あー…」と自分の服装を見ながら言う。
白「姉ちゃんの彼氏に借りたんやけど、こうゆうちゃんとした服って、俺持ってへんから」
『え?白石さんってお姉さんいたんですか?』
白「おるで、今社会人やけど。妹はりんちゃんと同い年」
『そうなんですか』
初めて聞いたことに驚きつつも、どんな人達なのかなと気になり始める。
やっぱり、白石さんと似てるのかな?
そんなことを思ってると突然会場の明かりが消えて、前のステージをライトが照らした。
何か始まるのかと皆意識を集中させると、出て来たのは跡部さんと忍足さん。
跡「今宵はこのパーティーに相応しい歌を、俺様が歌ってやる。
全員酔いしれな」
その言葉を合図に、忍足さんが持っていたバイオリンで演奏する。
跡部さんはそれに合わせ、歌い始めた。
『…跡部さん上手ー…』
綺麗な歌声は忍足さんのバイオリンと良く合っていて、本当にそう感じた。
集中していたから、その何気ない一言で白石さんがどんな顔をしたかなんて、わからなかった。
歌が終わると、拍手が沸き起こる。
丸「赤也、俺らも歌うぞ!」
赤「待ってましたぁ!!」
続いて丸井先輩や赤也先輩もステージに上がり、もうすっかり歌の会場になっていた。
桃「ありがとうございましたー!!」
菊「バイバイビ~」
これで何組目なのか、先輩達の歌が終わって、拍手の音が大きくなる。
ふと隣に視線を移すと、白石さんがいないことに気付いた。
『あの、白石さんは?』
謙「さぁ…トイレやないか?」
財「部長なら、二階に行ったで」
財前さんの言葉に『え?』と思わず聞き返した。
全然気付かなかったと自分自身驚き、二人にお礼を言い小走りで会場の二階に向かった。
財「他の男にあんな目輝かせて…部長も限界やったんやないですか?」
謙「あはは、白石はそんな嫉妬深くな…………………………うん、そーかもな」
辺りをキョロキョロと見渡す。
会場は二回建てになっていて、皆一階にいるからか人一人なく、さっきまでとは正反対に静まり返っていた。
(どこにいるのかな…)
ふと、バルコニーが視界に映る。
白石さんは背中を向けて外を眺めていた。
今更ながら緊張感が押し寄せてきて、スゥと息を吸うとゆっくり近付いて行く。
私が声を掛けるより早く白石さんは振り返り、一瞬目を丸くしたけどすぐに笑顔を向けた。
『あ、財前さんが、ここにいるって教えてくれて…』
白「…そーか」
白石さんはそれ以上何も言わなかった。
聞いちゃいけない気がして、私も黙って外の景色を眺める。
『…くしゅんっ』
12月の冷たい風が吹き、上着を着ていないことに今気付いた。
馬鹿だなと自分で思って落ち込んでいると、白石さんは突然ジャケットを脱ぎ私の肩に優しく掛けた。
『!あの、』
白「着ときや」
『でも、白石さんが寒いですよっ』
白「俺は平気やから。それに、りんちゃんが風邪引いた方が嫌やし」
「な?」と言い聞かせる白石さんに従い、素直にコクンと頷く。
白石さんは小さく笑い、ポンポンと私の頭を撫でた。