贈り物
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『跡部さん、ありがとうございます。こんな高そうな服やアクセサリーを貸して頂いて…』
りんはシャンパン(勿論ノンアルコール)を飲む跡部の元へと近寄る。
跡部はジッとりんを見てから、再びグラスに口を付け「やる」と低く呟いた。
跡「元からやるつもりだったからな」
『え!?貰えませんよ、こんな高いもの…っ』
跡「だから…」
「誕生日プレゼントだ」と言い捨て横を向かれる。
その顔は微かに赤い気がして、りんはコクンと頷きそうになった。
『でも…もう貰ってますから』
跡「?」
その言葉に跡部は首を傾げる。
『今日こうして誕生日会を開いてくれたことが、私にとってはプレゼントです』
『ありがとうございます、跡部さん』とりんがふわりと微笑むと、つられるように跡部も口元を緩めた。
暫く談笑していると、突然会場の扉が開かれる。
「来たか」と呟き見に行く跡部に続き、りんも後を追えば…
金「りん~誕生日おめでとさーん!!」
『き、金ちゃん!?』
りんの姿を見付けるなり猛ダッシュで走って来て、ピョンと抱き付く金太郎。
『…金ちゃん、来てくれたの?』
金「当たり前やん!皆も来とるでー!!」
扉の方を指差す金太郎に合わせ目を向けると、礼装をした四天宝寺の皆が次々とやって来た。
小「イヤン、礼服って素敵ぃ~」
ユ「浮気かぁ小春!」
りんは慌ててパタパタと駆け寄るが、皆と目が合うなり目を丸くされた。
小「りんちゃんかわええなぁー本当のお人形さんみたいやわぁ。ねぇユウくん?」
ユ「………こ、小春の方が何倍もかわええで」
小「(…素直やあらへんなぁ)」
顔を赤く染めるユウジを不思議に思っている内に、少し遅れてやって来た人物が顔を覗かせた。
紅「りんちゃん、」
『紅葉さん!』
ニッコリと笑う紅葉の元へりんは少し小走りに近付く。
『来てくれたんですか?』
紅「うん。お店の方はオトンに任せてきた。まぁ明日には戻らなアカンけど」
『そうなんですか…えと、』
もしかしたらあの人もいるかもしれないと、淡い期待が芽生える。
りんの気持ちを察したのか、紅葉はフッと笑った。
紅「来とるで、蔵」
『っ!』
思わず会場の外に出ると、長い通路の先からこちらに向かって歩いて来る人影が見えた。
段々と近付く度にハッキリと見えてきて、りんの心臓もドキドキと高鳴ってくる。
気付いた時にはもう、駆け出していた。
白「りんちゃん、」
その声を聞くのも久しぶりで、そっと顔を上げると会いたかった白石の姿。
『白石さん…』
姿を見て、声を聞いて、本当は待っていたんだとわかった。
白「久しぶりやな」
『はい、』
白石は柔らかく微笑んで、右手を伸ばしりんの頬にそっと触れた。
今まで外にいたからか、その手は冷たい。
白「…誕生日おめでとう」
ドキンと大きく鼓動が鳴る。
手が触れている左頬を中心に、熱が溜まっていくのを感じた。
『あ、ありがとうございます…』
そう言えば、ふわりと微笑む白石。
その笑顔を真っ正面から見てしまった為、りんは慌てて目を逸らした。
財「…通路で何やっとるんですかね」
謙「完全に二人の世界やな」
紅「(早よくっ付けばええのに)」
ひそひそと扉の隙間から顔を覗かせ、二人を盗み見ていたのだった。
朋「では!プレゼントのお時間です!!」
桜「りんちゃんにプレゼントを用意してる方は、渡して下さい!」
りんは再び椅子に座らされて、何が始まるのかとおとなしく待つしかない。
柳生「りんさん、お誕生日おめでとうございます」
『あ、ありがとうございます』
柳生「これ、前に読みたがっていた小説です」
柳生は少し遠慮がちに一冊の本を差し出した。
見ると、それは前から買おうか悩んでいたもので、
『ありがとうございます、柳生先輩』
嬉しくて、りんはふんわりと綺麗に微笑んだ。
柳生は内心照れていたが、軽く会釈し、最後まで紳士に去って行った。
幸「(…あの笑顔付きか)」
手「(何か用意してくるんだったな、)」
俺としたことが…と、幸村と手塚は会場の隅で密かにうなだれていた。
色々な物を貰い、りんの手がいっぱいになって来たところで、司会の二人は顔を見合せ頷く。
桜「誕生日おめでとう、りんちゃん」
桜乃は「これ…」と恥ずかしそうに頬を赤らめながら、綺麗にラッピングされた包みを取り出した。
了解を得てリボンを解くと、中には……
『エプロン…?』
それは小花柄のエプロンで、細かなレースや刺繍が施され…後ろは大きなリボンと可愛らしいデザインだった。
『もしかして、作ってくれたの…?』
朋「うん。りんちゃんに似合うかなと思って」
桜「普段お料理する時に…」
りんはギュッとエプロンを握り締めて、二人を真っ直ぐに見つめる。
『…ありがとう。すごく嬉しい』
薄らと涙を浮かべるりん。
朋香と桜乃は顔を見合わせてから、良かったと安堵するように笑った。
雪「りんー誕生日おめでとう!はいプレゼント!!」
『ありがとう雪ちゃん。
うわぁ、可愛い!』
雪からは両横にポンポンの付いたニット帽を貰い、なんと猫耳の形になっていた。
紅「誕生日おめでとう、りんちゃん。これうちから、大したもんやないけど」
渡された袋を開けると、中には真っ白でふわふわのミトンが入っていた。
雪から渡された帽子とデザインが似ている。
『わぁー…可愛い』
『ありがとうございます』と微笑みながらお礼を言えば、紅葉も口元を緩める。
ふと、横から何かを感じたので紅葉が振り返ると、雪とバチリ視線が絡み合った。
雪「…………」
紅「…………」
雪&紅「「((で、出来る……っ))」」
お互い無言のまま見つめ合い、喜んで試着するりんの前で何故か手と手を握り合っていた。
一方、少し離れたところでは。
白「…………」
猫耳付きのニット帽を被り、ふわふわのミトンを身に付けるりんの姿を見て、白石は考え込むように顎に手を添えていた。
白「…あれはアカンやろ」
謙「は?」
呟いた白石の言葉に、隣で肉を頬張っていた謙也が反応し、何が?と聞き返すなりその視線の先を見る。
謙也はすぐさま納得した。
謙「(…ツボなんやな)」
珍しく親友が頬を赤らめる姿を見て、さすがはりんちゃんと染々思った。