招待Ⅰ
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土曜日、立海大附属中は沢山の人々で賑わっていた。
『うわぁ…すごい』
キョロキョロと周りを見渡すりん。
手には先程渡されたパンフレットを持って、何処から行こうかと戸惑っていた。
取り合えずテニス部に行こうと思った時、ふと気付いた。
『(ここ…何か雰囲気が違うような…?)』
制服がどことなく違うし、皆大人っぽい気がする。
りんは近くにいた二人の男子生徒に慌てて尋ねた。
『あの、ここって中等部ですか?』
「え?高等部だけど」
くるっと振り向いた二人はりんを見て一瞬目を丸くした。
『そうですか…中等部は何処にありますか?』と聞くが、
「君、その制服って聖女?超お嬢様じゃん」
「可愛いね、良かったら案内しようか?」
『本当ですか?ありがとうございます!』
てっきり中等部まで案内してくれるのかと思ってたのに、二人に挟まれ高等部の校舎へと連れて行かれる。
『あの、私は中等部に…』
「俺のクラス喫茶店やってるんだよー」
『(き、聞いてない!)』
どんどん先に進んで行く二人の男子生徒の腕を必死に振り払おうとするが、男の人の力には適わない。
と、その時一人がドンッと何かにぶつかった。
顔を上げると…
真「お久しぶりですね、先輩」
「真田!?」
『真田さん!』
腕組みをしながらこちらを見据える真田。
その瞳は鋭くて、先輩と呼ばれた二人は体を硬くした。
真「すみませんが、そいつは俺達テニス部の知り合いなんです」
変わらぬ表情で、りんを顎で指す。
「別に、俺達はこの子が道に迷ってたみたいだったから…なぁ?」
「そ、そうだよ!」
「気ぃ付けてな!」と二人は逃げるように走り去ってしまった。
りんはポカンとしていたが、慌てて振り返り頭を下げる。
『あの、ありがとうございました』
深々と頭を下げるりんに真田は目を細め、「何故ここにいる」と低く問い掛ける。
『赤也先輩に誘われて来たんですけど、校舎を間違えてしまったようで…』
真田はそれを聞き納得したのか否か、スッと前を歩きだした。
りんが戸惑っていると一度足を止め、
真「…こっちが中等部の活動場所だ。ついて来い」
『!はい…っ』
パアッと笑顔になると、りんは後に続き歩きだした。
南門からぐるりと回り、北門の前に来た。
先程のように賑わっていて、仮装をした人が行き交う人々に出し物の宣伝をしていた。
『中等部だと雰囲気も変わるんですね』
キョロキョロと再び顔を動かす。
赤「りんー!」
『赤也先輩!』
こちらに向かって走って来る赤也に気付き、りんはホッと安堵した。
赤「探したぜー校門に居ないんだもん。…て、真田副部長?」
『ごめんなさい、ちょっと迷っちゃって…真田さんに案内してもらったんです』
りんが真田を見上げると、罰が悪そうに視線を逸らした。
赤也は「へぇ…」とどこか驚いたように真田を見つめる。
真「俺はもう行く。赤也、後は頼んだぞ」
赤「了解っス!監視役頑張って下さいね」
真田は背を向け行ってしまった。
良く見ると真田の腕には案内係と書かれたものが巻いてあって、りんは忙しいんだなぁと染々思った。
赤「さ、皆待ってるぜ!」
ぐいっと赤也に腕を掴まれて「こっちこっち!」と急かされる。
楽しそうに笑う赤也を見て、自然とりんも微笑んだ。