恋心
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『この前…』
白「え?」
ギュッと拳を握って、白石を見上げるりん。
『すみませんでした。突然帰ってしまって…』
頭を下げるりんにゆっくりと近付き、白石はそっと頭に手を乗せる。
驚いて顔を上げた時、優しく微笑む白石と目が合った。
白「気にしてへんよ。俺も強引に誘ったみたいで…ごめんな」
『え、』
白「ほら、遅くまで引き止めてしもーて」
苦笑する白石を見て、りんは違うと首を横に振った。
誤解してるから、解かなくちゃいけない。
―想っとるだけじゃ伝わらん
財前から言われた言葉を思い出し、意を決して口を開けた。
『…私も、楽しかったです…』
本当の気持ちは、
『白石さんと一緒にいれて…すごく、楽しかったです』
大好きな人と一緒にいて、つまらないわけない。
何の服を着て行こうか悩んで、大人っぽい白石と自分を比べて落ち込んで。
何であんな気持ちになったのか、今ならわかる。
本当は、ずっとずっと前から、
『(好きだったんだな…)』
今も心臓の鼓動がうるさくて、夕陽が照らしてくれなかったら、自分の顔が赤いことはきっとすぐにバレてしまう。
白「…………」
頭に置いていた手を頬に移し、白石は何も言わずりんを見つめる。
傾けた白石の顔が徐々に下りてきて、りんは反射的にギュッと目を閉じる。
が、ふと頭に手が触れる感触がしたのでそっと目を開けると、白石が柔らかく微笑みながら頭を撫でていた。
白「…そろそろ戻ろか」
再びりんの手を握り、元来た道を歩き出す。
『(ビ、ビックリしたっ)』
ちゃんと返事が出来たかわからないほど、りんの心臓はドキドキと高鳴っていて、
白「(何しとるんや俺…)」
白石もまた、赤くなった顔を隠すように前だけを見つめていた。
翌日の朝、りんと青学の皆は新幹線の駅のホームにいた。
金「おーい!!」
『金ちゃん!』
声がした方に顔を向けると、大きく手を振る金太郎と四天宝寺の皆の姿。
その隣には…
紅「りんちゃん」
『紅葉さん!』
見送りに来たと笑う紅葉にりんもふわりと微笑む。
だが、その後ろにいる人物を見て急に慌て始めてしまった。
近付いて来たと思ったらスッと通り過ぎ、手塚と話していたのでりんは肩の力が抜ける。
紅「頑張るんやで」
『え?』
ちょいちょいと手招きされたので近寄ると…
紅「告白に決まっとるやろ」
『!?///』
耳元で囁かれて、ドラマとかでしか聞いたことのない言葉に赤面するりん。
紅葉はそんなりんを見てハァと溜め息を吐く。
紅「告白しないでどないすんの」
『で、でも…っ///』
紅「蔵、結構モテるんやで?りんちゃんがそんなんやったら、誰かに取られてまうかもよ」
『…!嫌ですっ』
「なら頑張り」とガッツポーズをする紅葉。
チラリと白石を盗み見て、やっぱり無理だと思わず伏せてしまう。
不「りんちゃん、そろそろ時間だよ」
『あ、はい!』
それぞれに挨拶し新幹線に乗り込む。
小春が海堂と懸命に握手をしていて、ユウジにすかさず離されていた。
そんな光景を見て楽しかったなぁと染々思いながら乗り込もうとすると、「りんちゃん」と呼び止められる。
白「…またな、元気で」
『はい…白石さんも』
頭を撫でられて、ほんのりと頬を赤く染めりんはふわりと微笑む。
発車のベルが鳴り響き慌てて乗ろうとすると、再び名前を呼ばれたので振り返れば、
白石の顔がゆっくりと下りてきて…
「「「!!!」」」
ちゅ…という軽いリップ音と共に、りんの額に優しくキスを落とした。
呆然とする周囲に対し白石はニッコリと笑って、りんの頭を一撫ですると背を向け戻って行く。
『…………』
菊「りん!?早く乗らないと出発しちゃうよ~」
すっかり固まってしまったりんは、菊丸に慌てて腕を引っ張られ中に入って行った。
新幹線が見えなくなるまで見届けると、白石は色んな視線を感じていた。
白「何かなぁ財前?」
財「…別に(この天然絶頂エロ部長が)」
白「(…今絶対毒吐いたな)」
背後に真っ黒なオーラを放ちながら、二人は暫く睨み合う。
謙也とユウジは、冷や汗を流しながら関わりたくないと違う話をしていた。
金「なぁなぁ、ちゅーっておでこにするん?」
小「んーホンマは違うけど…金太郎さんも大きくなったらわかるわよー」
純粋な金太郎の発言を、小春は目を細めて和やかに聞く。
紅「またあんたは…」
白「やってりんちゃんが可愛くて…抑え切れへんかったんやもん」
紅「………」
無意識にそういうことすんなや!とツッコミを入れたかったが、白石があまりにも嬉しそうに笑うから言えなくて。
今頃りんは大変なことになってるんじゃないかと想像し、紅葉はハァと溜め息を吐いたのだった。
あとがき&おまけ→