恋心
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*りんside*
合宿4日目、いよいよ練習試合が訪れた。
海「…昨日はすまなかった」
青学の皆は、海堂先輩と桃城先輩と列になって向かい合っていた。
その様子を、服の袖をギュッと掴み私も黙って見ていた。
海「全力で行こう。それで負けたなら、練習して次負けなきゃいい」
桃「行くぞ皆ー!!」
「「「おーっ!!」」」
皆の心が一つになって、練習試合が始まった。
桃「任せたー!」
飛んできたボールを、桃城先輩はペアに譲り、
堀「返せた!!」
堀尾くんは確かに相手コートに返し、自信が付いてきたみたいだった。
海「よし!次は俺の番だ」
海堂先輩がラケットを構えたら、スッと不二先輩が隣に立つ。
「先輩…?」と眉を寄せる海堂先輩に、ニッコリと笑い掛ける。
不「僕とのダブルスも、試してみたいと思わない?」
菊「!ズルいぞ不二ーっなら次は俺の番!!」
大石先輩がすかさず止めたけど、菊丸先輩はピョンと飛び出しコートに走りだして行ってしまった。
乾「良いじゃないか。俺達の伝えたいことは、あいつらに届いたんだから」
手塚部長は強く頷き、コートに目を向ける。
『桃城先輩!』
桃「おーりん!」
先輩の元へ小走りで近付き、『良かったですね』と言葉を掛ける。
桃城先輩は一瞬キョトンとして、私の頭に手を乗せニッと笑った。
桃「今までもこれからも、青学テニス部は全国ナンバー1のチームだ」
全国で共に戦った先輩がいなくても、
永遠に変わらないものは、確かにあるから。
『…はい!勿論です!』
『一番ですよ』と笑えば、桃城先輩は嬉しそうに笑い頭を撫でてくれた。
練習が終わり、大阪で過ごす最後の夜ということで、四天宝寺の皆と青学の皆で食べに行くことになった。
(紅葉さんのところかな…?)
行き付けの店だと言っていたから、もしかしたら…と思っていると、ふと後ろから名前を呼ばれた。
白「ちょっとええか?」
『ふぇ?!』
私?と確かめるように白石さんを見ると、うんと頷かれる。
白「先行っとって。すぐ行くから」
謙「りょーかい。ほな後で」
金「え、何処行くん?わいも行く「金ちゃん、ほら」
謙也さんに襟首を掴まれて、金ちゃんは泣く泣く引きずられて行った。
状況が理解出来ず戸惑いを隠せない私に、「こっちや」と言い前を歩きだす白石さん。
慌てて着いていくと、ふと手を握られた為ビクッと体が硬直してしまった。
白「暗いから、足元気ぃ付けてな」
『はい…っ』
そっか、暗いから…
白石さんの優しさを嬉しく思ったけど、繋いだ手から伝わってしまうんじゃないかというくらい、心臓がうるさく鳴っていた。
暫く歩き、裏山?らしきところに入って行き、どんどん登って行く。
時折白石さんは私の様子を見てくれて、ふと目が合うと慌てて逸らしてしまったり…
そうしてる間にも頂上までたどり着き、白石さんは手を離し前を見つめた。
白「あっちや」
不思議に思いながらも、指を差した方を見ると…
『…うわぁ…』
オレンジ色に染まる夕陽が、辺りを照らしていた。
高いところから見ると、いつもよりも綺麗に感じる。
白「俺のお気に入り。りんちゃんにも見せたくて」
横を向くと、白石さんは真っ直ぐに私を見ていた。
『あ、ありがとう…ございます』
『嬉しいです…』と顔を俯かせて呟く。
お気に入りを教えてくれて、連れてきてくれて…話し掛けてくれて。
そっと顔を上げると、白石さんはふんわりと微笑んでいた。