すれ違い
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*りんside*
たこ焼きを食べ終え、繁華街のようなところを歩いていた。
白石さんにも付き合ってもらい、お土産屋さんに入り色んなものを眺める。
『(…これ、お兄ちゃん好きそう)』
真っ先に大阪限定の入浴剤セットを手に取り、思った。
繁華街を歩いていると、お兄ちゃんのに似た帽子や、夏祭りで取ってくれた猫のぬいぐるみにそっくりなものが売ってあって、それらに一々反応してしまいそうになった。
でも白石さんと一緒にいるのに、そんなことばかり考えてしまったら悪い。
ブンブンと首を振り、頭の奥にしまい込んだ。
家族や雪ちゃんにお土産を買った後、暫く繁華街をぶらぶらと歩いていたら、だんだんと日も暮れかかってきた。
白「あ、ちょっとごめんな」
携帯電話の着信音が鳴り響き、ポケットから取り出して耳にあてる白石さん。
その姿をぼんやりと見つめて、そろそろお別れかな…と思ったら無性に寂しくなって胸が痛んだ。
白「…あー忘れとった!
はいはい、ちゃんと行くから」
ピッと切ると白石さんは「まったく…」と溜め息を吐く。
振り返り首を傾げる私と視線を合わせた。
白「実は、りんちゃんに会いたい言う奴がおんねん。
少しでええから付き合うてくれへんかな?」
『?はい』
「ごめんな」と申し訳なさそうに言うと、白石さんは足の向きを変えて歩きだす。
その後を着いて行きながら、どんな人かなと気になり始めた。
待ち合わせ場所だった駅を通り過ぎ、住宅地に入って行く。
白「ここや」
足を止めた白石さんに合わせ立ち止まり、その視線の先を見上げると、
゙お好み焼き カエデ゙と書いてあり、外観は古い民家のような造りのお店だった。
その時、ガラガラと音を立てながら扉を開け、そのお店から一人の女の子が出て来た。
こっちをキッと睨み付けて、腰に手をあてながらツカツカと歩み寄って来る。
「遅いわー蔵ノ介!!」
白「堪忍な。楽しすぎてすっかり忘れとった」
「…ハッキリ言い切るな!」
ガルルと唸る女の子に苦笑する白石さん。
(…えと、)
話についていけずにいると、女の子が少し後ろで立ち尽くす私に視線を向けた。
思わずビクンと体が跳ねる。
「…もしかして、あんたがりんちゃん?」
『は、はい!』
じっと見つめられ思わず身構えた瞬間、ガシッと手を掴まれた。
「初めまして!うちは琴平紅葉言うねん。よろしゅう」
さっきの顔付きと打って変わって、柔らかく微笑まれる。
『こちらこそ初めまして…越前りんです』
握られていた手にキュッと力を込めて笑い返すと、紅葉…さんは「うわー」と呟きながら私の顔をじっと見つめた。
紅「めっちゃかわええ子やんか。想像以上や」
白「コラ、見すぎや」
白石さんはポカッと紅葉さんの頭を叩く。
その光景を見て、二人は仲が良いんだと悟った。
紅「さ、りんちゃん、入ってや!」
手を握ったまま、紅葉さんはお店の扉を開ける。
すぐに視界に飛び込んで来たのは…
金「あーりん!遅かったやん!」
『き、金ちゃん?』
お好み焼きをパクパク食べる金ちゃんと、その周りを囲む四天宝寺の皆。
白「…どーゆうことなんかな?」
紅「りんちゃんが来る言うたら、皆来てしもーて」
「ま、ええやん」と笑う紅葉さんに、白石さんは深い溜め息を吐く。
『わ、私も大勢の方が賑やかで楽しいですよ!』
白「ホンマに…?」
『はい!』
これ以上溜め息を吐く姿が見たくなかったから言ったはずなのに、白石さんは少し寂しそうな表情になった。
どうしてかわからないけど、チクッと胸が痛んだ。
白「りんちゃんがええなら、良かった」
『あの「二人共座りーや!りんちゃん、隣おいで」
小春さんが手招きをしてくれたので、壇になってる座敷に登り遠慮がちに腰を下ろした。
私の向かいには白石さんが座る。
小「蔵リンが焼くお好み焼きはめっちゃ美味いのよぉ」
『え、そうなんですか?』
白「じゃ、りんちゃんには特別に食わしたる」
小春さんが「キャー男前!」と叫ぶと、その隣のユウジさんは「浮気かぁ!」とすかさずツッコミを入れる。
白石さんはいつも通りで、さっきの表情は気のせいかな?と思ってしまった。