すれ違い
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『白石さんの家ってどの辺りですか?』
望遠鏡を覗きながらふと疑問に思ったことを問い掛けるりん。
とその時、りんより一回り大きな手がふわっと上に重なった。
『(はわ!?)』
驚いて勢い良く身を引くと、白石が一緒になってレンズを覗いていた。
白「んー…あの辺やと思うけどなぁ」
望遠鏡をずらしてくれたのを見て、慌てて覗くりん。
『そ、そうなんですか!』と平生を装ったが、心臓が飛び出してしまうんじゃないかと言うくらいドキドキと鳴っていた。
「わ、超可愛いあの子」
「マジ?ほんまや、めっちゃ可愛い」
傍にいた男達は、一生懸命望遠鏡を覗くりんを見てヒソヒソと話す。
だが、
白「………」
隣にいる白石から真っ黒なオーラが放たれていて、男達はビクンと体を震わせた。
そそくさと退散して行くのを見届けて、りんに視線を向ける。
白「(…アカンな、)」
さっきから色んな男がりんを見ているので、白石は内心舌打ちをしたい気分になっていた。
りんの普段と違った姿を見て本当に可愛いと思ったが(←むしろ言ってしまった)他の男から言われるのは気に入らない。
白「………」
自分は相当独占欲が強いのだろうかと溜め息を吐きそうになった時、望遠鏡を覗いていたりんがくるっと振り向いた。
『大阪ってやっぱり東京と違いますね』
『来て良かったです』とふわり微笑む。
白「(…そうや)」
折角一緒に過ごせるのだから、嫉妬ばかりしていたら勿体ない。
同じようにふわりと笑って、白石はりんの頭を優しく撫でた。
通天閣を出て、次にやって来たのは大阪城。
『大きい』とか『すごい』という言葉をキラキラ瞳を輝かせながら連呼するりんを見つめて、白石は口元を緩ませる。
ふとハッと気付いたりん。
『(いけない…っ)』
子供っぽいと思われたかなと不安になり、白石をそっと見上げる。
ガキだと言われたことが余程ショックだったのか、りんはそんなことばかりを気にしていた。
白「俺も久しぶりに来たわ」
しかし白石は何とも思ってないようで、ホッと安心して肩を落とした。
天守閣内は歴史資料や美術品が展示されていて、夏休みだからか観光客もそれなりにいた。
『こんな歴史があったんですね…』
歴史資料を眺めながらフムフムと一人納得して頷き、すっかり学習モードに入ってしまったりん。
再びハッと気付き顔を動かすと、白石もじっと歴史資料を見ていた。
その姿に安心し、二人で暫く資料を眺めながら回っていた。
時折りりんは無意識に白石を盗み見てしまい、ふと顔を上げた白石と目が合うと慌てて視線を逸らした。
赤くなった頬が早く直らないかなと思っていたら、突然白石の顔がずいっと近くに来た。
ドッキーンと今までにないくらい心臓が鳴る。
白「…りんちゃん、もしかして…」
『あ、あの…///』
俯いても顔がどんどん赤くなる。
そんなりんを間近で見つめ白石は口を開けた。
白「お腹空いとるんやないか?」
『へ…』
予想してなかった言葉にキョトンと目を丸くし顔を上げた。
白石は自身の腕時計を見ながら「もう昼時やもんなぁ」と呟く。
そう言えば朝から何も食べてなかった、とりんは今更ながら思い出した。
白「この近くに美味いたこ焼き屋があんねん。そこでええか?」
『はい、大丈夫です』
一旦大阪城を後にして、りんは白石に着いていく形で歩き出した。
たこ焼き屋は少し歩いた所にあって、渡されたソレを見て『美味しそう』とりんは瞳を輝かせる。
中は混んでいるので、お店の外の長椅子に腰掛けた。
白「熱いから気ぃ付けてな」
『はい!』
フーフーと息を吹き掛けてハムッと口に運ぶ。
中はトロトロで、周りはサクッてしていて…
『おいしい…』
本当に美味しくて、りんは自然と口元を緩ませる。
白「(変わらへんなぁ)」
初めてあった時と何一つ変わらないりんを見て、白石はフッと笑うと自分も食べ始めた。
白「他に行きたいとこある?」
『えと、』
んーと考えながら首を傾げると、突然白石の腕が伸びてきた。
あまりにも急だったので身を引くのを忘れてしまったりんの口の横を、白石の指が触れる。
白「ソース付いとった」
『!!///』
ペロリと指を舐める白石。
口をパクパクと開け、りんは真っ赤になって『あ、ありがとうございます…』と呟いてから俯いた。
白「?」
真っ赤になってしまったりんを見て張本人は不思議そうに首を傾げる。
一方のりんは、美味しいと感じていたたこ焼きも、今の出来事で頭が混乱しわからなくなってしまったのだった。