絆
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*リョーマside*
日米親善試合まで、3日間ある。
合宿最終日、選抜メンバーが発表された。
竜「では、メンバーを発表する!
立海大附属から、幸村、真田。
氷帝学園から、跡部、忍足。
四天宝寺から、白石。
そして、青春学園からは…
菊丸、手塚、越前」
菊「やったー!あれ?一人多いような…」
竜「ああ、一人は補欠じゃ。試合の組み合わせは、当日の直前にわかるからね」
明日は、とうとう本番。
緊張はしないけど、絶対に選ばれたい。
願わくば、シングルス1に…
(…今何時だ?)
ベッドに入ってもなかなか寝付けない。
近くの時計を見れば、夜中の2時を過ぎていた。
明日は早いのに、目が覚めてまったく寝れない。
「 …はぁ、」
溜め息を吐くと同時にベッドから起き上がり、階段を降り始めた。
ふと、居間に着くと人影が視界に映る。
首を傾げながら歩み寄ると、その人影はバッと振り返った。
『お、お兄ちゃん!』
「りん?」
『びっくりしたぁ』と安心したように肩を落とす我が妹。
いや、俺もびっくりしたんだけど…
『なかなか寝れないから、何か飲もうと思って。でも怖くなっちゃって…電気探してたんだ』
「…ふーん」
俺と同じじゃん。
言おうと思ったけど何だか恥ずかしくて止めた。
ま、一々口で言わなくてもわかるだろうけどね。
『お兄ちゃんはどうしたの?』
…そうでした。こいつは鈍感でした。
「…別に。何か喉渇いただけ」
気恥ずかしさから思わず素っ気なく言うと、りんは『一緒だ』と嬉しそうに微笑んだ。
りんはココアを2つ作り、ソファーに座る俺の隣に腰を下ろす。
『はい、お兄ちゃん』
「…ん、」
渡されたココアを飲めば、ほんのりと甘くて優しい味がした。
『…あのね、』
静かな居間に、りんの声が響く。
『私、クリスに会ったら…ちゃんと話したい』
「え?」
唐突な発言に、思わず口に含んでいたココアを溢しそうになった。
『今更かもしれないけど、クリスがあの時どうしてあんなことしたのか…本人には何も聞いてないから』
「………」
りんを見れば、真剣な表情で真っ直ぐ俺を見つめていた。
…そうだ。
りんは、
いつも、真っ直ぐ前を見てるんだ。
「あいつは、理由もなしにあんなことしない」
ずっと一緒にいたんだから
「…優しい奴だったから」
俺達が、救わなくちゃ。
抱えているものを、わかってやらなくちゃ。
暫く俺を見つめていたりんは、コクンと頷いた。
ふと口元を緩めて小さな頭を優しく撫でてやると、ふわりと笑い気持ち良さそうに目を細めた。
「…あのさ、」
『何?』
急に手を下ろし前を向く俺を、キョトンとして見つめるりん。
「…合宿中、何もなかったよね」
『え?』
「…だから、何もされなかったよね?」
『な、何を?』とまたしても鈍感な反応を見せる我が妹。
だから、俺が言いたいのは…
「男、たくさんいたじゃん」
『えと、』
うーんと考えた後、ようやく内容を理解したように頷いた。
ふと、りんの顔がカァーっと赤く染まっていく。
え、何この反応。
『な、何もされてないよ!』
手を慌てて横に振るりんだが、その様子からして。
(…されたな)
思い当たる人物を思い浮かべ、俺の中でゴオッと火がついた気がした。
(…ったく、いつの間に)
りんは隙だらけなんだよ。
ハァと溜め息を吐き、暫く沈黙が続く。
「…りんは、」
ずっと、気になってたこと。
今なら、聞いて言いよね?
「白石さんが、好きなの?」
…………
少し待ってみたが反応がない。
俺が隣を見るより早く、肩にポスッと何かが当たる感触がした。
まさか…
(…やっぱり)
俺の肩に頭を乗せ、スースーと静かに寝息を立てるりん。
何かこういうの、前にもあった気がするんだけど…
思いきって聞いてみたのに…とうなだれていたけど、やっぱり。
この寝顔には適わない。
ふっと口元を緩めて、冷めない内にとココアを口に運んだ。
戦いたいのは、クリスともだけど、
今、りんの心の半分は支配してる、あいつとも戦いたい。